宇和島鯛めしは、漁師たちが火の使えない海の上での酒盛りの際に、ご飯の上に生の鯛の身をのせて食べたのが始まりとされています。以来、新鮮な鯛の刺身をご飯にのせて食べるのが宇和島流の鯛めし。
その宇和島鯛めしを100年以上提供し続けてきた元祖…その元祖の味を、宇和島まで行かずに松山で食べられるのは、旅行者にとっては非常に嬉しいことではないでしょうか。
丸水|創業100年以上の歴史を誇る宇和島鯛めしの元祖…天然真鯛を使った鯛めしは愛媛県の誇る高級ご当地ファーストフード
創業100年を超える宇和島鯛めしの老舗・丸水(がんすい)。その店名の意味は、昔宴席で揉め事があったときに間に入った高僧の「丸く水に流して収めましょう」という言葉から来ています。その高僧のありがたいお言葉を店の理念としてずっと守り続けてきた丸水が、宇和島を飛び出て愛媛県庁のある松山市に支店を2店舗オープンしました。
そのうちの1つ、2015年4月から松山の繁華街・大街道に店を構える丸水 松山店は、カウンター席が7脚、2人掛けテーブル席が3卓の小さなお店。今時のこぎれいな居酒屋のような雰囲気をもったお店には、開店と同時に老若男女問わずぞろぞろとお客さんが入ってきます。
この丸水の看板メニュー・宇和島鯛めしですが、丸水では天然真鯛と養殖真鯛の2種類から鯛を選ぶことができます。いや、選べるというのは少し正確ではないかもしれません。天然真鯛は当日の仕入れ次第で販売数が変わるため、せっかくお店に行っても天然真鯛は食べられない…ということもなきにしもあらず。天然真鯛にありつけるかどうかは、開店直後を狙えるスケジュールと、その日の運にかかっているというわけです。
というわけで僕も開店直後に入店して、カウンターの一番端の席に座ります。お目当ての天然真鯛を使った「天然鯛めし」は税込2100円(ちなみに、養殖真鯛を使った宇和島鯛めし・鯛一郎クンは税込1600円)。途中で鯛の切り身を追加できますし、下に示すように鯛以外の海鮮メニューも注文することができます。実は、丸水は第10回全国ご当地どんぶり選手権のファイナリストに選ばれた実績をもっているので、鯛めしではなく丼物を頼むのも面白いかもしれません。
丸水 松山店のその他のメニュー
- 刺身三種盛り合わせ 1350円
- ちょこっと刺身
- 天然真鯛3切れ 750円
- 養殖鯛3切れ 400円
- その他刺身 450円から
- じゃこカツ 450円
- イカの珍味丼 1200円
- 縞鯵たたき丼 1600円
- サーモンユッケ丼 1200円
- カンパチ飯 1450円
- イカ飯 1200円
- 縞鯵飯 1600円
- サーモン飯 1200円
天然鯛めし:身の締まった鯛の切り身を出汁溶き卵とシソの香りに包み込んだ、卵かけご飯の究極の形
さて、今回注文した天然鯛めしですが、調理がほとんど必要ないので出てくるのは早いです。ある意味、愛媛県のご当地ファーストフードですね。滞在時間も短くできそうですし、美味しいものを食べたいけれど急いでいるときには特に重宝しそうです。
このように、一見刺身定食と見間違えてしまいそうなプレゼンテーションで運ばれてくるのですが…左上の醤油出汁が入った生卵の器、これに急須の口のようなものがついているのにお気づきですか?実は宇和島鯛めしには、食べ方にちょっとした作法があって…
宇和島鯛めしの食べ方
- おひつからご飯をよそう
- 生卵をかき混ぜて、出汁となじませる
- 鯛の身と薬味を出汁の中に全部入れる
- ご飯の上に具を半分のせて、出汁をかけて食べる
- 残った半分はさらに出汁を染み込ませて、おかわりとして食べる
宇和島鯛めし初心者の僕は、この食べ方にならっていただくことにします。まずはおひつからご飯をよそい…
細く切りそろえられた鯛の身とネギや海藻などの薬味を…
生卵を溶いた出汁にすべて放り込み…
そこから半量をご飯の上にのせて…
その上に出汁をちょっとだけかけていただきます(この時に先ほどの急須の口が活躍します)…
では、実食…まずは鯛の切り身。箸を当てただけで身がギュッと詰まっているのがわかります。養殖物との直接の比較はできませんが、さすがに瀬戸内海の急流に揉まれて育った天然真鯛、身の締まり方は半端じゃありません。
その鯛の身をコーティングするのが、ほんのり甘く上品な醤油出汁。生卵を溶いたことでわずかにとろみがつき、新鮮な鯛の身にしっかり出汁がからみます。口に入れると薬味で投入したシソの香りがふわっと広がっていき、刺身と生卵をぶっかけただけの食べ物とは思えない優雅さすら感じられます。ある意味、究極の卵かけご飯の1つの形として後世に残していくべき食文化だと思います。
一杯目を平らげて二杯目に突入。ちょっと多めに残しておいた具材をご飯の上に全部のせします。
この宇和島鯛めし、際限なくお腹に収まっていきそうな感がありますが…さすがにコスト的にはキツイですね。ご飯はおかわり自由なので、おひつが空になったらお店の人がすぐに追加を持ってきてくれます。ただ、鯛の身をおかわりしまくると、最終的にいくらお金がかかるのか想像もつきません。いつの日か、そんなことも気にせずとことん海の幸を堪能してみたい…そんな野望を抱いて丸水を後にしました。
宇和島市の本店は現在閉店中ですが、松山では2店舗で営業中…丸水 松山店へのアクセスは、最寄り駅の伊予鉄道松山市駅線・大街道駅より徒歩4分
実はこの丸水、宇和島市の宇和島本店の方は現在閉店中だそうです。事情はよく知りませんが、本店が閉店とは珍しいですね。まあ、そのうち復活するかもしれませんし、少なくとも松山市で営業している2店舗はバリバリ元気です。
それでは、お店の詳細です。まずは松山城周辺エリアの松山店から。店舗データはこちら…
丸水 松山店
住所:愛媛県松山市大街道3丁目6-4
電話番号:089-931-8122
営業時間:ランチ 11:00-15:00、ディナー 17:00-20:00
定休日:水曜日
駐車場:なし
クレジットカード払い:可
伊予鉄道の松山市駅からは徒歩でも行けますが、JR松山駅からは路面電車の利用が便利です。
そして、もう一店舗は道後温泉そばのハイカラ通りにある道後店。2019年6月に火事に見舞われたようですが、現在はもう営業を再開しています。
丸水 道後店
住所:愛媛県松山市道後湯之町13-10
電話番号:089-968-1861
営業時間:ランチ(月〜金) 11:00-14:30、ディナー(月〜木、日) 17:00-21:30
駐車場:なし
クレジットカード払い:可
P.S. 鯛めしもいいですが、鯛茶漬けもいいですよね…
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