前からイカリヤ食堂や葱や平吉の辺りを通るたびに、あるお店の店頭に出ているメニューが気になっていたんです。それは雑炊なのですが、土鍋の真ん中にドカンと柚子がまるまる1個鎮座していて「何これ?」と好奇心がふつふつと湧いてくるんですよね…
この「葱ゆず雑炊」なるものを食べたくて、ある日の夜そのお店に向かいました。そのお店は…
高瀬川くりお|静かに食事したいならここ!京都らしさ満点でリーズナブル、駅からも近い三拍子そろった和食レストラン
京町家ごはん 高瀬川くりおという、築100年以上の京町家を改装した雰囲気のあるレストラン。店内に入るとすぐ左手に厨房、奥には高瀬川に面した客席が10席ちょっとあって、先客さんがお酒を片手に談笑していました。
2階に案内された僕は、土間で靴を脱いで階段を上がっていきます。2階に上がると左右に分かれて客席スペースがあって、左側は大きな窓越しに高瀬川を見下ろせる席、右側は京都らしい坪庭を鑑賞できる席と、どの席に案内されてもバッチリ目の保養ができる造りになっています。総席数は36席。大人数での利用には不向きですが、静かに食事したいときには最高のセッティングです。
この日の僕はラッキーなことに、高瀬川沿いの窓際席をゲット!今はシーズンではありませんが、桜の季節にこの席をゲットできたら、さぞかし気分よく食事ができることでしょう…
葱ゆず雑炊と土鍋豆腐…2つの名物メニューが楽しめるコース料理は3980円(税別)。でも…
高瀬川くりおには、葱ゆず豆腐の他にも土鍋豆腐という名物メニューがあります。これらはもちろん単品でもオーダーできるのですが、コース料理「京の伝統野菜と名物土鍋豆腐(お値段 3980円+税)」のメニューに組み込まれているので、リーズナブルに両方を楽しみたいならこのコース料理がおすすめです。
僕も最初はこのコース料理を頼もうと思っていたのですが、コース料理は2名から注文可ということがお店についてから判明しまして…止むを得ずそれぞれ単品で注文すること。その他、豊富なアラカルトメニューの中から野菜、肉、魚料理をそれぞれ1品ずつ、合計5品( +ウーロン茶)をオーダーしました。
土鍋豆腐:濃厚な豆乳をにがりで固めたできたておぼろ豆腐。自然な甘味を持った柔らか豆腐が舌の上でとろっと溶け出して…
さて、運ばれてきた順番とは前後しますが、まずは高瀬川くりおの二大名物料理からご紹介しましょう。まずはこちらの土鍋豆腐から…
新鮮で濃厚な豆乳から作られた手作りの土鍋豆腐。出来立ては中央部分がまだ固まっていないので、周りから食べ始めるのがお約束なんだとか。味付けはピンク色の岩塩と鰹出汁の効いた出汁醤油の2種類。早速、端っこを小皿にすくってそのまま食べてみると…
味付けなしでもかなり濃厚な大豆の味がして、後から自然な甘みがふわっと舌の上に感じられます。さらに、絹ごし豆腐ほどにも固まっていないおぼろ豆腐が口の中でとろっと溶けるような感覚がたまりません。
これに岩塩と出汁醤油で味をつけてみます。岩塩はかなり塩気が強く、少量でも豆腐に塩味をつけるには十分です。塩気が加わることで、豆腐の持つ本来の甘味がグッと引き立ってきます。一方の出汁醤油は、そのまま舐めると鰹の出汁がかなり強く感じられます。まだとろとろで固まりきってない半分豆乳状態の豆腐にサッとかけて、スープのようにしてさらさらいただくのがおすすめです。
葱ゆず雑炊:見た目はデカいが味はさっぱり…昆布出汁と柚子の香りで身体に新たな活力を
そしてもう一品。本当は〆で出てきた葱ゆず雑炊をご紹介…
冒頭に出した画像のように「柚子が1個まるごとドカン!」ではないのが残念ですが、この鍋の中にゆずのスライスが2枚入っています。それにしても、画像では伝わりにくいかもしれませんが、この土鍋のでかいことでかいこと…葱ゆず雑炊は2人前からのオーダーなのですが(なので、この画像も2人前の分量です)、普通に4〜5人、あるいはそれ以上で鍋をつつく時に使うような巨大な土鍋で出てきたんです。
早速小碗に取り分けていただきます…昆布でとったあっさり出汁に、ゆずの香りがしっかりと乗り移っています。まるごと柚子よりスライスの方が香りの移り方が良いのかもしれませんね。和食でよく使われるような、皮をちょっとだけ削って料理に乗せる使い方とは香りの移り方が全然違います。
でも、あまり調子に乗ってスライスを鍋に入れたままにしておくと、時間が経って皮のえぐみが強く出てくるようになります。美味しくいただくためには、欲張らず早めにサッと鍋から取り上げるのがおすすめです。
柚子の風味がしっかり移った昆布出汁が、身体にしみわたるというかむしろ新たな活力を与えてシャキッとする感じ。卵にはやや熱が入りすぎた感がありますが、ご飯粒は一粒一粒しっかりほぐれ、葱のシャキシャキ感も残っていて、味と香りだけでなく食感も楽しめます。この雑炊に、土鍋豆腐で使った出汁醤油を足してもイケるんじゃないか?と思います。お店の人が先に片付けてしまったのですが、きっとハマると思うのでチャンスがあればぜひ試してみてください。
実はボリュームも満点…高瀬川くりおへは2人以上での来店がおすすめ
それでは、残りのスペースで他に注文した3品をご紹介しましょう。
まずはじめに、定番メニューの「若鶏のからあげ さっぱり胡麻酢醤油(お値段 580円+税)…
実は5品のうちこれが最初に出てきたのですが、まずはこのボリュームに驚きました。けっこうなサイズの唐揚げが全部で7〜8ピースくらいあったでしょうか。この一皿を2人でシェアしても全然違和感がないくらい。このような雰囲気のあるお店で580円というのが、ちょっと信じられませんでした。
衣はやや厚めですが柔らかく、あごの力が弱い人でも食べやすい唐揚げです。酢醤油に胡麻の風味が加わったことで、味覚だけでなく嗅覚にも心地よい刺激が伝わってきます。
続いて二品目に出てきた「生麩と水菜のサラダ 九条葱のドレッシングで(お値段 750円+税)…
これが出てきた瞬間、正直僕は「失敗した!」と思いました。画像で伝わるかどうかわかりませんが、こちらも2〜3人でシェアするくらいのボリュームがあるのです。
水菜の他にサツマイモ、きゅうり、トマト、オクラと野菜がたっぷり。ドレッシングは中華風の味付けですが、オイリーな感じはなくさっぱりいただけます。
そして三品目は「鯛のあら炊き(お値段 950円+税)」…
こちらはさすがに2〜3人でシェアするほどのボリュームはありませんが、この一皿で食事が完結してしまうくらいの量は十分にあります。日本酒の効いた甘めのタレでじっくり煮込んであり、ゼラチン質の部分が口の中でプルプルとして、なんともたまりません…
京都府外からのお客さんにきっと喜ばれます…高瀬川くりおへのアクセスは、最寄り駅の阪急京都線・京都河原町駅から徒歩2分
こんな感じで、高級感ある雰囲気に反してボリュームのある料理を提供する高瀬川くりお。1人ではいろいろ楽しめないので、ぜひ2〜4人での訪店をおすすめします。バイトさんと思われるスタッフの接客も申し分なく、とても居心地の良いお店です。
こういうお店、遠くから京都に遊びにきた友人知人やお客さんなどを連れていくと、きっと喜ばれると思います。京都らしい雰囲気でリーズナブルに食事ができる貴重なお店。あなたのお気に入りレストランのストックに加える価値はあると思います。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
京阪電鉄の祇園四条駅から徒歩4分、清水五条駅からでも徒歩11分で行けます。京都駅から高瀬川くりおまでは、四条河原町方面の市バスをご利用ください。
P.S. 京都で居心地のいい居酒屋をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
コメントを残す