京都ラーメンは1938年に中国人が始めた屋台が発祥と言われているようですが…その屋台の流れを汲んで現在も営業を続けているのが、今回ご紹介する「新福菜館 本店」というお店。創業から80年以上、時代が変わっても変わらぬ味を守り続ける京都ラーメンの源流。そんな名店を訪問するのに、畏怖の念を抱かずにはいられません…
新福菜館本店|京都ラーメンのルーツはここにあり…黒いスープの中華そばを求めて今も昔も絶えない行列が
京都駅の烏丸口から東へ歩いて4分ほど。京都駅南側へ向かう陸橋沿いにお店はあります。新福菜館本店のお隣には、同じくラーメンの行列店・本家第一旭があるので、入る店を間違えないように気をつけなければなりません(まあ、どちらに入ってもハズレではないのですが…)。
店内に入ると、中はまさに昭和のラーメン屋そのままの様相。調理場の前にカウンター席が3-4脚、その後ろには4人掛けのテーブル席がスペース一杯に配置されているのですが、空いたスペースにビール瓶やら給水器やらが雑多に配置されていて、最近のラーメンブームや若者志向に乗っかる気配など微塵も感じられません。それでも老若男女、観光客から地元客まで、ひっきりなしにやって来てはテーブルを埋めていきます。
新福菜館の中華そば:醤油で真っ黒だけど塩辛くない…意外とあっさりしていてコクもある不思議な一杯
さて、新福菜館と言えば真っ黒なスープの中華そばが有名です。関東の人からすると、
関東のうどんの黒い出汁はダメと言うくせに、これはいいんかい!
by とある関東人
と厳しいツッコミが来そうなくらいの色をしているのですが、食べてみると意外とあっさりしているんですよね。そのギャップが、長年続く人気の秘密の1つかもしれません。
では、そのスープの黒さをご覧ください。新福菜館の代表メニュー・中華そば(並)で、お値段700円です…
評判通りのスープの黒さで、丼の中を全くうかがい知ることができません。そんなスープの表面には、豚のバラ肉が何枚も浮いています。確認しておきますが、これ、チャーシュー麺ではありません。標準バージョンの中華そばです。それなのにこれだけ肉が入っているのは、すごく得した嬉しい気分になりますよね。
では実食…スープは安定の黒さで、口に含むと鶏ガラ+豚の風味が後を引きます。意外とコクがあるんですよね…これに対する麺は中太のストレート目で、あっさりスープを適度にまとい、口の中でもちっとした歯ごたえを残します。
そしてチャーシューはしっかりと醤油ダレに浸かっていて、豚の旨味やスープと一体になっていい感じのジューシーさを保っています。ラーメンの具としてもいいですが、白ご飯のおかずとしても試してみたい感じです。
スープがあっさりしていてちょっと物足りない…という場合には、テーブルに備え付けの豆板醤をどうぞ。ピリ辛の刺激がスープに加わって、言葉では説明しにくい独自の風味を楽しめるようになります。
新福菜館ではヤキメシも黒い!でもラーメンと同様意外と食べやすい
そしてこの日はもう一品、チャーハンならぬヤキメシもオーダー(お値段500円)。実はお店の中のほとんどのお客さんが中華そばとヤキメシをセットで注文していて、ヤキメシも新福菜館の人気メニューであることがうかがい知れます。
そして、これがそのヤキメシなのですが…
やっぱり普通のチャーハンより黒いです。でも、中華そばと同じように塩辛くはないんです。ご飯はしっかりパラパラしてますし、昔ながらのチャーハンの味…に加えて、若干ですが焦げた醤油の香ばしさがありますね。なるほど、そういうことですか。焦がし醤油のおかげでチャーハンの味が一段深くなっています。この絶妙な醤油の焦がし具合が、ヤキメシ人気の理由の1つなのかもしれません。
肉多め(チャーシュー麺):たった200円の追加で肉の量が大幅にup!
ちなみに、中華そばを肉多め(いわゆるチャーシュー麺 お値段 950円)にするとどうなるかというと…
相変わらず真っ黒なスープの丼…肉の量以外は見た目から中身までまったく変わらない一杯。食べながら数えてみると、この丼の中に豚バラ肉が全部で15枚もはいっていました。
たった200円の追加で肉の量大幅up。これは肉好きにはたまりません。醤油スープにつかったジューシーな豚バラ肉で、白いご飯を巻いて食べたら…そんなの絶対美味いに決まってます。うん、この次こそ肉多めに白ご飯をつけて、豚バラ肉巻きご飯にして食べてやろう!もう決めました!
まかない丼:何も計算されていない素朴な美味さ…これこそザ・まかない飯
こちらはヤキメシと並ぶ新福菜館のご飯メニュー・まかない丼(お値段 500円)。丼からのぞく白いご飯の上に、チャーシューと刻みネギがこんもりと盛られています…
どうやらまかない丼に使われているチャーシューは、中華そばの豚バラ肉とは違うものを使っているようですね。脂の少ない部位の肉を使っていて、どちらかというと淡白な感じのチャーシューが7〜8枚くらい入っているでしょうか。
チャーシューとネギの山をかき分けて中を探ると、そこには茹でたもやしが大量に隠れていました。このもやしの存在で、見た目のボリュームがかなりかさ上げされているように見えます。
では、実食…ん!ちょっとピリッと辛味を効かせた醤油味。よく見ると、丼全体にまんべんなくかかっている醤油だれの所々に赤い粉唐辛子がポツポツと点在しているではありませんか。
このさりげないピリ辛具合が、この丼にすごくマッチしています。シャキシャキのもやしとネギが必要以上の辛味を感じさせず、ボリューミーながらサクサク食べ進められるだけの軽さをあわせ持った丼。
何と言っても、何も狙っていない美味さというか、本当に店の残り物を集めて作りました!という行き当たりばったりな感じが個人的にはすごく好印象。「まかない飯」と名を打っておきながら色々と手を加えている凝った料理にはない潔さが素晴らしいと思います。これこそ、ザ・まかない飯です。
昔ながらのスタイルでお持ち帰りにも対応…新福菜館 本店へのアクセスは、最寄り駅のJR京都駅から徒歩4分
新福菜館も天天有と同じく、京都市内のみならず大阪の京橋や東京の秋葉原、麻布十番などに店舗を開いていますが、それぞれ支店ではなく経営は別のようです。
それでは、店舗の詳細です。
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P.P.S. 京都から遠く離れた秋田にも、新福菜館本店の暖簾分け店があるのを知ってますか?
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