京大病院の裏側、閑静な住宅街に、東京にある煮干そばの名店「中華そば しば田」で修業していた人が独立して店を構えました。2015年11月にオープンしてもうすぐ4年。今ではラーメン激戦区の京都でも行列店の仲間入りを果たしただけでなく、ミシュランのビブグルマンにも認定されるような名店になってしまいました…
煮干そば藍|京都では珍しい煮干専門店…ミシュランにも認められた2種類の煮干そばを食べ比べてみた
周りの風景には明らかに溶け込んでいない、木材で壁面を覆った外観。店内も同様に木材で壁を覆っており、クジラやらトンボやら、何とも不思議な絵が描かれています。調理場を囲んでカウンターに7席、奥にテーブル席もありますが、おそらくお客さん10人が精一杯でしょう。
煮干そば藍のメニューは、基本的にスープであっさり系とこってり系にわかれます。この2つの味それぞれにラーメン、つけ麺、油そばがあって、合計6種が基本メニュー。この日は夜遅くにうかがったせいもあり、こってり系のメニューがすべて売り切れ状態。残ったメニューから煮干そば(お値段700円)を選びました。
入り口を入って左手の券売機で食券を購入。右手の小上がりになったカウンター席に案内されて着席すると、目の前に2019年のミシュランガイド掲載を示す額縁が誇らしげに置いてありました。
煮干そば:ほのかな煮干の風味がじわじわ効いてくる…シンプルだけど味わい深い一杯
食券を出して5分ほどでしょうか。わりとすぐに注文した煮干そばが目の前に運ばれました…
見た目にクリアーなスープに、器の中でキレイに折りたたまれた細麺。その上に豚と鶏のチャーシューが1枚ずつ乗った、非常にシンプルなビジュアルです。
まずはスープを一口…ん⁉︎なんかオイリーです。もちろん煮干しの香りもするのですが、それに加えて舌の上で少しまったりしたような感覚があるのです。
この感覚の正体は、煮干の風味をつけた鶏油。スープの表面に薄く膜を張った鶏油が、ひと口目で舌に違和感を与えて、煮干の風味とともに鼻と脳を刺激します。一口目で意表を突かれると、この後は何があるのか…と次を期待する気持ちになってしまいますよね。
そのままスープを飲み続けていくと、鶏油の影響が取れて純粋な煮干スープの味に落ち着きます。いわゆる淡麗系で、ほのかな煮干の風味とじわじわと存在感が出る甘みが心地よく、丼を持ち上げてグビグビいきたくなってしまうようなスープです。
これに対する麺は、京都の有名製麺所・棣鄂製の全粒粉麺。その割にプチプチした感じがなく、弾力があってしなやかな印象があります。スープとの相性が良く、気持ち良くツルツルすすれる麺です。
具材は胸肉ともも肉の2種類の鶏チャーシューのみ。このシンプルさが煮干「そば」という雰囲気にマッチしていて好感がもてます。淡白でスープの味を引き立てる胸肉と、脂肪分を含んでそれ自体で旨味を発揮するもも肉…シンプルな一杯であるが故に、この2つの味が楽しめるのはなお嬉しいですね。
濃い煮干そば|煮干の旨味も苦味も増幅されたスープ…そこに動物系の出汁が加わりマイルドに変化
さて、その煮干そばの日から間をあけずに2回目の訪店。せっかくなので、普通の煮干そばと濃い煮干そばを食べ比べてみたくなったのです。
今度は濃い煮干そばを確実に頼めるように、夕方の開店10分前にお店に到着。店の中から煮干の香りがふんわり漂ってきます。ドアのガラス越しに見える券売機には「濃い煮干そば 800円」の文字が。売り切れランプがついていないのを確認し一安心。一番乗りで入店して、早速濃い煮干そばの食券を購入しました。
食券を渡して5分ほどで、濃い煮干そばの着丼です。パッと見、スープが濁っている以外に麺やトッピングに違いは無さそうです。では、2種類のスープはどう違うのかというと…
というわけで、スープをレンゲにすくって一口…前回の煮干そばと同様、煮干の風味と一緒に鶏油のまったりとした感覚が舌の上に広がります。スープ自体も、ねっとりまではいかないものの、煮干の残りの成分を舌の上に感じるくらいの質感を感じます。
普通の煮干そばと比べて、明らかに濃くなった煮干の旨味と苦味。でも、想像していたようなガツンというインパクトはなく、全体的にはマイルドな仕上がりになっています。
どうやらこのスープには、煮干以外にも動物系の出汁が加わっているようです。濃くなった分煮干の苦味成分も増幅されていますが、動物系の出汁が加わったことで苦味が必要以上に強調されずに、優しい感じに収まっているのでしょう。
おまけ:炙りチャーシュー丼…ラーメン一杯でお腹が物足りないときの〆の一杯
こちらは濃い煮干そばと一緒に注文した「炙りチャーシュー丼(お値段 300円)」。これは券売機で食券を買うのではなく、直接の注文になります…
バーナーで炙られたチャーシューが香ばしく、生玉ねぎが口の中でシャキシャキと音を立てます。ラーメン一杯では物足りない…という方には、〆の一杯としておすすめです。
京都では珍しい、煮干の旨さを追求したラーメン屋…煮干そば藍へのアクセスは、最寄り駅の京阪電鉄・神宮丸太町駅から徒歩9分
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
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