大阪の宇野辺という本当に何もない住宅地に、明らかに周囲の光景とミスマッチの行列をつくるラーメン屋があります。
そのお店・麺や紡(つむぐ)は、元々は東大阪でオープンし、2012年4月に茨木・宇野辺に移転してきたラーメンの人気店。テレビ番組「松本家の休日」で松本人志が大絶賛し、ラーメン激戦区・大阪でも現在3本の指に入ると言われるほどの有名店。どんなラーメンを食べさせてくれるのか、気になって行ってみると…
麺や紡|松本人志も大絶賛!平日昼のみ営業の「大阪で3本指に入る」孤高のラーメン屋、そのお味はいかに?
ある晴れた日の午後1時頃にお店に向かって歩いていると、一ヶ所だけ不自然な人だかりができている場所を遠目でも確認できました。そこが今回の目的地・麺や紡。あえてランチタイムのピークである12時台を避けて遅めに行ったのに、まだ20人弱の人がお店の前に並んでいました。
そして、僕の後にも次々とお客さんは並んでいきます。みんなこんな時間に仕事しないで何やってるんだろう…と思うくらい(他のお客さんから見たら、僕もその1人と思われているでしょうが…)。どうやらこの麺や紡というお店、開店から閉店まで空いている時間を期待するのが間違いなようです。何時間も並ぶくらいの気合いと覚悟がないと、実際にラーメンにありつけるまでにヘトヘトに疲れ切ってしまうかもしれません。
ちなみにこの日、僕が並び始めてから入店まで約50分かかりました。店頭の張り紙に「1時間に約20杯のラーメンを提供」とありますので、ほぼ計算通りの待ち時間と言えますね。
麺や紡のラーメンメニューは鶏清湯の淡成らー麺と鶏白湯の熟成らー麺の2種類…絶大な人気のあったつけ麺はもうやっていないかも
行列待ちも終盤になって入店間近になると、店の中からお店の人が注文をとりに出てきます。麺や紡のラーメンメニューは、鶏清湯の淡成らー麺と鶏白湯の熟成らー麺の2種類のみ。ネット上で大絶賛されていたつけ麺はメニューに載ってなく、もうなくなってしまったかもしれません。
僕の前に並んでいたお客さんの注文を聞いていると、どうやらほどんどの人が熟成らー麺を頼んでいるようです。いつも状況が同じとは限りませんが、スープがなくなると営業時間中でも食べられなくなってしまうので、食べたいものが決まっているなら早い時間から行列に並んでおく方が良さそうです。
ちなみに1人でらー麺2杯の注文は禁止なので、特に男性の方はご注意を…
麺や紡の全メニュー(値段は税込)
- 淡成らー麺:並 650円、大盛り 850円
- 熟成らー麺:並 650円、大盛り 850円
- チャーシュー丼:400円
- メンマ丼:400円
- キムチ丼:400円
- 単品キムチ:400円
- 皿メンマ:300円
- 皿チャーシュー:300円
- 瓶コーラ:200円
- チョーヤウメッシュ缶:350円
- エビスビール缶:350円
淡成らー麺:とにかく静かな味の鶏清湯スープが印象的な新しいタイプの一杯
さて、この日の僕がオーダーしたのは、他のお客さんの逆を行って鶏清湯スープの淡成らー麺(並)とチャーシュー丼。まずは淡成らー麺からご紹介…
このように、見た目にはすごくシンプルな醤油ラーメン。このラーメンのどこに多くのお客さんをひきつける力があるのか?まずはスープから試してみると…
今まで食べてきたラーメンの中でも1、2を争うくらい薄味のスープです。ラーメンのスープとは思えないほどインパクトがないというか、すごく静かなスープと表現するのがいいかもしれません。
誤解のないように言っておきますが、もちろん全く味がないわけではありませんよ。鶏の胴ガラを弱火でじっくり炊き上げたというスープからは、えぐみのない鶏の旨味成分がほのかに感じられますし、それと合わせた魚介の出汁も同じくらいの割合で静かに感じられます。
だけど、舌先に集中を向けないと十分に味わえないというか、逆にいうとそのように食べさせるためのスープなんでしょうね。ラーメンを食べていながら座禅を組んでいるような、スープを飲んでいてまた新しいラーメンの食べ方を提唱されているような気がしました。
一方の麺の方ですが…何やら麺の中に小さなつぶつぶが見えますね。全粒粉の入った麺ですね。日本そばのように角の立ったストレートな細麺は、京都の名店・猪一を思い起こさせます。極薄味のスープには、やっぱりこれくらいの細麺がよく合いますね。スープ同様口当たりが上品であり、もっちりした食感もあって、全粒粉麺らしく噛むとプチっという独特の感触も得られる高機能な麺になっています。
さて、もう一品のチャーシュー丼ですが、このようにご飯の上を覆い尽くすようにバラ肉チャーシューが4枚敷かれていて、その上に刻みネギがトッピングされ、最後に軽く赤唐辛子がまぶされています。
着丼の直前にバーナーで炙られて脂身がとろけた感じになり、かつ炎で炙られて香ばしくなったチャーシューが、ラーメンのチャーシューとはまた一味違った種類の旨味を発揮します。赤唐辛子は見た目ほど辛くなく、どちらかというとチャーシュー丼の味をスッキリ整えるのに役立っている印象。醤油ダレでしっかり味もついているので、淡成らー麺の薄味に物足りなければ追加でオーダーしてもいいかもしれません。
ラーメンを食べ終わってみて、確かに「大阪で3本の指に入る」と言われている理由はよくわかる気がします(同時に、ほとんどの人が熟成らー麺を頼んでいる理由も…)。今回僕はかなり難しいラーメンを選んでしまいましたが、もしこれから麺や紡に行く人がいれば、まずは熟成らー麺から頼むのがおすすめです。
熟成らー麺:醤油と魚介と鶏白湯が絶妙なバランスで調和する、麺や紡で圧倒的に人気の一杯
さて、一方の熟成らー麺の方もご紹介しておきましょう。下の画像は熟成らー麺の並盛に味玉(+100円)と追加チャーシュー(+300円)をつけています…
丼からはみ出るようにチャーシューが6枚。その下にあるはずのスープや麺が見えないような盛り付けが、チャーシュー好きの心を満たしてくれます。さらに、着丼の直前にチャーシューがバーナーで炙られているため、その香ばしさが鼻まで漂ってきて期待感倍増!なわけです。
そのチャーシューをかき分けて、まずはスープを一口…最初のインプレッションは「醤油」でした。もちろん鶏の旨味は濃厚で、そこに合わせた魚介の出汁もしっかり感じられるのですが、醤油の塩分がそれらの味よりやや上回っている印象でした。
正直、淡成らー麺を食べた後の想像として「めちゃめちゃ淡麗なラーメンとの対比で超濃厚なんじゃないか?」と僕は思っていたのですが、鶏も魚介も「程よく濃厚」といった感じ。途中で食べ疲れを起こすことなく、最後の一滴まで飲み干せる絶妙な濃度のスープになっています。
これに対する麺は、淡成らー麺の時とは打って変わってツヤのある中太ストレート麺。見た目に全粒粉は入っていそうですが、配合比率は低めで、パツパツとした歯切れよりももっちりとした歯応えが楽しめます。ねっとりしたスープが麺に絡みつき、口の中に入るとツルッとした麺はスープの旨味を解放してスルスルと喉元を通っていきます。
味玉も黄身がちょうど良い半熟加減で期待通り。鶏白湯スープと黄身を口の中で混ぜ合わせて鶏・魚介・卵黄の三位一体の重厚な美味さが!チャーシューも見た目以上に分厚くて食べ応えがあって、想像通り全体的な満足度はかなり高いです。
確かに、食べ比べてみると熟成らー麺の方が人気が高い理由がわかります。淡成らー麺と比べると雲泥の差とも言える味のわかりやすさ…でも別の言い方をすると、他店の鶏白湯から際立って光るものがあるようには思えませんでした。美味しい鶏白湯ラーメンは他でも食べられる中、麺や紡でしか食べられない味となると、淡成らー麺に分があるように僕は思います。
行列で並ぶ間のルールにかなり厳しい…麺や紡へのアクセスは、最寄り駅の大阪モノレール・宇野辺駅から徒歩9分
ただ今回ご紹介した麺や紡は、そのラーメンにたどり着くまでにかなり高いハードルを設置しているお店でもあります。基本的に平日の昼間しか営業していないので、食べに来られるお客さん層はかなり絞られます。アクセスもお世辞にも良いとは言えず、行列の待ち時間が長く、並ぶ間のルールも厳しくて、ルールを守れない人にはお店側からはっきりNo!を言い渡されたりします。
側から見ていて「接客が悪いって悪評立つんじゃないか?」と気になるくらい、迷惑行為をするお客さんには厳しいお店でもあります。特に初めて行かれる方は、その点肝に銘じておくほうが良いでしょう。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. 大阪で美味しいラーメンをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
P.P.S. こちらのラーメン屋も、おそらく大阪で3本の指に入るお店の1つです…
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