大阪発の新しいカレーとして世の中に浸透しつつあるスパイスカレー。しかし意外にも、スパイスカレーと他のカレーを明確に区別する定義や決まりはありません。
あえて一言で表すと、独自でスパイスを調合して作ったカレーは全部スパイスカレーを名乗る資格があります。そんなアバウトな定義でいいんですか?いいんです。何せそのスパイスカレーの先駆者とされるお店のカレーが、他の追随を許さないほど独創的なのですから…
スパイスカレーの超人気店・コロンビア8 北浜本店には開店前にどれくらいの行列ができるのか?
その超独創的なスパイスカレーを提供するお店として知られるコロンビア8は、2008年に創業して現在大阪市内に4店舗を構える超人気カレーショップ。2018年からミシュランのビブグルマンを4年連続で獲得している正真正銘のカレーの名店、最近名古屋にも支店を開いたそうで、いよいよ全国的に勢力拡大開始!という感じでしょうか?
そのコロンビア8の北浜本店に、とある土曜日の午前中に到着。開店までは随分と時間があって、さすがにこの時間からずっと並び続けるのは気が引けるな…という時間帯。もちろんお店のある雑居ビルの周辺には、お客さんらしい人は全然見当たりません。
僕もとりあえずお店の入り口をチェックした後どこかに時間をつぶしに行くことにして、お店のあるビルの2階へ上がっていくと、偶然お店の中で仕込みをしていたマスターと扉越しに目が合ってしまいました。
中から出てきたマスターは、ロン毛にヒゲを蓄えた見た目とは裏腹に、とっても物腰柔らかい人でした。北浜本店は土曜日12時開店なのですが、
と、行き方も身振り手振りを交えて詳しく教えてくれました。この時点で僕は「この店、当たり!」と直感。細かい気配りのできる人が、お客さんにまずい料理を提供できるわけないのです。
そんなわけで、せっかく教えてもらった堺筋本町店ではなく、北浜本店でランチを食べると心に決めた僕は、近くを散策して時間を潰して開店30分前に帰ってくることにしました。そして開店30分前…
道路を挟んでお店の反対側に、ちょっと不自然な位置でじっと立っている2名を発見。声をかけてみると、やはりコロンビア8開店待ちのお客さんでした。どうやら北浜本店の開店前に並ぶときには、道路の反対側にある歩道上に並ぶ暗黙の了解(?)があるようです。初めて北浜本店に行くときにはご注意を。
その後次々とお客さんが行列に加わっていき、20人を超えた頃に待望の開店!お店はカウンター7席のみの小さなお店ですが、僕は先頭から3番目なので無事一巡目をゲットしました。できるだけ待ち時間を短くしたいなら、開店30分前から並ぶか、平日ならビジネスマンがランチを終えた時間帯に来店するのがいいのではないでしょうか?
キーマカレー:「右手にスプーン、左手にししとう」が合言葉!極限にまでスパイスを感じる、他店では味わえない独創的な一皿
さて、それではコロンビア8のフラッグシップメニューであるキーマカレー(お値段 税込900円)をご紹介しましょう。画像はこちら…
このビジュアルだけでも、このカレーの独創性が十分に伝わるのではないでしょうか。中央に盛られたターメリックライスを中心に、外堀を埋めるシャバシャバのカレールー、さらにその上から振りかけられる大量のスパイス、ライスの頂上には自家製オニオンピクルスと、コロンビア8のカレーを象徴する1本の素揚げししとう。この見た目からして、一般的なキーマカレーとは大きくかけ離れています。
そして、このキーマカレーにはデフォルトでグレープフルーツジュースがつきます。このグレープフルーツジュース、実は単にお店のサービスで出てくるものではないんです。このグレープフルーツジュースにはもっと重要な役割が託されているのですが、その役割については後ほど…
さて、初めてコロンビア8を利用する人には、マスターからカレーの食べ方の説明があります。合言葉は「右手にスプーン、左手にししとう」。まずはししとうを左手に持ってちびっとひとかじり。一本丸ごと口に放り込んではいけません。先っぽだけちょびっとかじって、その苦味を十分に舌で感じるのです。
この作業を済ませてから、カレーを口の中に放り込んでみます…正直なところ、一口目でその美味しさはよくわかりません。ルーから感じるのは、ただただスパイスの味と香りだけ。スパイスの刺激はあるものの、他に塩気や酸味がほぼゼロで、30種類以上と言われるスパイスの味と香りだけで構成された味になっています。
このスパイスの風味を十分に味わうために用意されたものが、先ほどご紹介した素揚げししとうとグレープフルーツジュース。ししとうの苦味やグレープフルーツジュースの酸味をあらかじめちょっとだけ味わうことで、スイカに振る塩のような味の対比効果が生まれます。その状態を作っておいてカレーを食べることで、スパイスの味と香りを最大限に感じられる、というわけです。
でも、スパイスの味だけで一皿完食するのは少ししんどそう…と思いません?大丈夫。カレールーの中に浮かぶインゲンやレーズン、カシューナッツ。これらの具材が、ほぼ無味に近いルーの味を調整する役割を担っています。
特にインゲンにはかなり強めの塩味がついていて、これを口の中で噛むことによって塩味が一気に弾けて(通称・味爆弾)、スパイスと塩分が一体となった味を楽しめるようになっています。ルー全体に塩味を含ませるのではなく、お客さん側で好きなように塩味を調整できるわけです。一見奇抜なだけに見えるコロンビア8のキーマカレーですが、実はめちゃくちゃロジカルに考え込まれているんですね。
コロンビア8のキーマカレー、おそらく人によって好き嫌いがはっきり分かれるのではないかと思います。実際口コミでも「まずい」という投稿もありますし…
確かに「これ、めっちゃ美味いからおすすめ!」と言えるものではない一皿。でも、なんか食べ終わった後も気になっちゃうんですよね。そして、あのスパイスの風味をもう一度確かめたくなってしまうんです。
そうなったら、あなたもコロンビア8のキーマカレーにハマった証拠。不思議な中毒性を持つこのキーマカレー、この記事を読んであなたも気になったら、ぜひ一度試してみてください!
花火:コロンビア8初来店では注文不可の辛口キーマ、そのお味はいかに?
コロンビア8のカレーメニューからもう1品、初来店では注文不可の花火(お値段 税込900円)もご紹介。キーマカレーとは違って、スープカレーのような出立ちで出てきましたよ…
お皿ではなく器で出てきている分、スパイスの香りが周りに拡散せずダイレクトに鼻に届きます。う〜ん、たまりませんな、この香り。
では、ししとうを手に取ってちびりとかじり、その苦味に舌を慣らしたところで、
花火を口の中に放り込みます…数秒後、額からドッと汗が噴き出すさすがの辛さ。体感的には谷口カレーのチキンカレー辛口と同じくらい?いや、さらにその上をいくかも。そりゃあ、初来店で注文できないのもわかりますわ。
でも辛いだけでなく、やっぱり美味いんですよね。唐辛子系の鋭い辛さに加えて、嗅覚を刺激する黒胡麻の香ばしさ、豚肉キーマの歯応え、さらに喉を通り過ぎた後にやってくるカルダモン系の清涼感…「辛くてちょっと休憩したいんだけど、やっぱりもう一口!」と、正直自分でも何をやっているんだか意味不明な状態に陥ってしまいます。
この花火にも通称・味爆弾が入っているのですが、花火の場合はすでに味がついているのに加えて、辛さで舌が麻痺するのでいらないかも。スープカレーっぽいですが豚ひき肉がたっぷり入っているので、見た目以上にボリュームがしっかりありますね。
この花火を食べた後、「本当はこっちがコロンビア8のカレーの真骨頂なんじゃないの?」と僕は思うようになりました。相当辛さに強い人でないと完食は難しい1皿ですが、キーマカレーを食べたことのある人にはぜひこの花火までいってもらいたいものです。ホント、おすすめです。
余談ですが、2022年2月、コロンビア8がついに東京にも進出したようですね。この独創的なカレーが、今本当に全国的に広まりつつあります。旧ヤム邸シモキタ荘と一緒に、スパイスカレー大阪代表として頑張ってもらいたいものです。
ご自宅でもレトルト版キーマカレーを楽しめます!コロンビア8北浜本店へのアクセスは、最寄り駅の大阪メトロ堺筋線・北浜駅から徒歩3分
そんなコロンビア8のキーマカレー、エスビー食品からレトルトバージョンが発売されているので、あなたのご自宅でも楽しむことができます!
これで「大阪まで行けないしな…」という言い訳はできません。スパイスカレー好きを名乗るなら、やっぱりその先駆者の味は押さえておかなければならないのではないでしょうか?大阪府外にお住まいのあなたも、ぜひ一度コロンビア8自慢のキーマカレーを通販で試してみてください!
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
コロンビア エイト 北浜本店 (カレー / 北浜駅、なにわ橋駅、堺筋本町駅)
昼総合点★★★★★ 5.0
住所:〒541-0045 大阪府大阪市中央区道修町1丁目3−3 戎道修町ビル 2F
電話番号:06-6203-7788
営業時間:平日 11:00-15:00、土曜 12:00-17:00
定休日:日曜日、祝日
駐車場:なし(近隣のコインパーキングを利用)
クレジットカード払い:不可(現金払いのみ)
P.S. 大阪で美味しいスパイスカレーをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄ってみてください…
P.P.S. コロンビア8のスパイスカレーがお好みなら、きっとこれもハマると思いますよ…
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