たびたびテレビや映画の撮影が行われる、風情漂う祇園白川。ここに鳥新という老舗鶏料理店があります。創業約120年の鳥新は水炊きを名物とする格式高いお店で、とても1人で気軽に行けるところではありません。ただ幸いなことに、鳥新のすぐそばに系列店・とり新を運営しており、こちらでお一人様でも気軽に名店の味を楽しめるようになっています…
とり新|京都で創業120年の老舗が運営…名店の味を気軽に楽しむ鶏料理専門店
白川筋には連日多くの外国人観光客が訪れて、至るところで記念写真を撮っています。その一角にある「とり新」には、ランチタイム限定の親子丼を求めて行列ができることもあるようですが、開店直後の訪店が功を奏したのか、もしくはこの日はたまたまラッキーだったのか、すんなりとお店に入ることができました。
今回のターゲットとなる親子丼は、普通盛りでお値段 800円(税込)。大盛りでもお値段 950円と、1000円を超えない良心価格。老舗鶏料理店の味がこの価格で気軽に楽しめるなら、ちょっとくらい並んでも食べたくなってしまいますよね。京都って何となくすべてが高いイメージがありますが、とり新のように格式高くありながらリーズナブルに利用できるお店も少なくないのです。
親子丼|あっさり京風出汁で引き立つ鶏肉と卵の旨味…控えめながらしっかり味のある上品な一杯
では、早速ですがその親子丼のご紹介といきましょう…
丼を一面に覆い尽くす黄色の卵の所々に、青ネギの緑色が映えます。その中央には卵黄が鎮座し、かなりの量の卵が使われていることが伺えます。実際のところ、この親子丼1杯に2.5個の卵が使われているのだとか。
ふわふわ半熟状態の卵を口に入れると、京風出汁の風味が広がっていきます。とは言え、出汁はかなりあっさり目で、それによってむしろ卵本来の うま味が引き立つような印象があります。卵黄をつぶして一緒に食べると、卵黄のとろとろと半熟卵のふわふわが合わさって至福の食感を味わえます。
一方、半熟卵の所々に埋もれた鶏肉…こちらも割とあっさりした肉質です。小さくカットされていて、熱の入り方が絶妙で柔らかくいただけます。噛むと中から肉の旨味がじんわり…これもあっさり目の京風出汁に引き立てられて、控えめながらしっかり鶏の味を楽しむことができますよ。もし物足りなければ、七味や山椒を振りかけてお食べください。
ただ、ちょっとボリューム的には物足りないかな…という感じは否めません。男性であれば、最初から2杯頼んでおいてもいいかもしれません。
夜のとり新は焼き鳥中心のメニュー…ご飯物がついたコース料理もありますが、祇園仕様でボリュームは少なめ
日を改めて、夜にとり新を再訪。とり新って本当に飾り気のない素朴なお店なんですが、その素朴さが時にすごく恋しくなるんですよね。あなたにもそんな時ありませんか?
昼とは違って、夜のとり新では焼き鳥が基本メニュー。下の画像に示すように、約20種類の焼き鳥が2本セットで各550円。お食事つきのコースメニューもあり、僕はその「おまかせ白川コース(お値段 3300円)」を注文することに。ただ、焼き鳥8串とスープ、ご飯物で完結するこのコースでは胃袋が満足してくれるかどうか…ということで、季節限定のひすい鶏(鶏と銀杏の焼き鳥)を追加しました。
注文を終えてから付き出し、焼き鳥とリズム良く目の前に出されます。焼き鳥は2本ずつ、部位はおまかせで塩、タレ、塩、タレと交互に出てきて、8本の串でいろいろな味を楽しめるようになっています。
それでは、おまかせ白川コースの内容を画像つきでご紹介します。
付き出し
まずは付き出しから。小鉢に入った鶏レバーの煮付け。甘く味付けしてあって、次からのメインに対して気持ちを穏やかに整えられます。
ずりと三角(塩)
まずは歯ごたえと弾力があるずりと、表面がパリッと香ばしく焼けている三角のセット。
せせりと鴨ネギ(タレ)
続いて、せせりと鴨ネギの2本セット。このせせりは、他店でいただくものより脂は少なめで、淡白な印象を受けます。
心臓と椎茸ミンチ(塩)
コリコリした心臓と、椎茸の傘の下に鶏肉のミンチを乗せたもの。心臓の食感と、椎茸の風味をじっくり味わえます。
焼き鳥と手羽先(タレ)
鶏のもも肉と手羽先はタレで。ともに肉質がしっかりしています。
ひすい鶏
銀杏と一緒に。塩もほとんど振られていなく、肉の旨味がそのままダイレクトに味わえます。
ここまで10串食べてきての率直な感想として、かなりボリュームは少なめです。実際、食べログをはじめ他のフードブログにも同じことが書かれています。とは言え、祇園という場所を考えると、きっと芸妓さん仕様でそのようにしているのでしょうね。そう考えてみると、京都ではデフォルト的調味料の山椒も全く使われていませんしね(お好みで足すことはできます)。
では、話を元に戻してコース料理の紹介を続けます。焼き鳥に続いて出てきたのは鶏のスープ。こちらも画像を見ていただければわかると思いますが、白濁した濃厚スープではありません…
これもやっぱり芸妓さんへの配慮なのでしょう。僕としては、鳥岩楼やとり伊のような濃厚スープを想像していたので、ちょっと梯子を外された感じがしましたが。あっさり鶏の出汁に、煮切り酒のような風味をほんのり感じます。
そして最後のつくね丼…
小ぶりな丼に、タレをまとったつくねが3つ、温泉卵、海苔、ししとうががトッピング。つくねはふっくら柔らかく、噛むと香ばしさが鼻へじんわり抜けていきます。甘いタレと温泉卵を混ぜて、上等な卵かけご飯のようにしていただきました。
やはり全体的にボリュームが少ないので、特に男性にとっては食べ足りない気持ちが残ることでしょう。事前に何か食べてくるか、この後もう一軒行くくらいのつもりで来店する方が良いのではないでしょうか。
素朴な雰囲気で鶏料理を…とり新へのアクセスは、最寄駅の京阪電鉄・祇園四条駅から徒歩4分
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. 京都で美味しい親子丼をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄ってみてください…
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