とら食堂。ラーメンマニアなら絶対に知っている、福島のご当地ラーメンに過ぎなかった白河ラーメンを全国区にした立役者。
初代店主の竹井寅次氏が作るラーメンが美味しいと評判になり、弟子入りを志願する人が後を立たずにやって来た結果、白河市内どころか福島県各地、松戸や福岡など全国各地に分店(のれん分け店)・系列店が広がるようになりました。今では孫弟子さん達が独立して白河ラーメンの店をオープンするようになり、とら食堂の流れを汲むラーメン屋一門を表す「とら系ラーメン」という言葉もできているほどの一大勢力になっています。
そのとら系ラーメンの総本山・とら食堂本店は、最寄り駅のJR白河駅から東へ5kmも離れた交通アクセスの悪い場所にあるのですが、食べログの口コミによるとなんと4時間待ちの時もあるのだとか…
何という恐ろしいお店…でも、せっかく福島に行くのなら、これを機会に制覇しておきたい…そんなことを考えながら、ある日曜日の朝に早起きして白河の地に足を踏み入れたのでした…
とら食堂本店へ向けて気合と根性で公共交通機関利用!駅からお店への行き方は?
ある晴れた日曜日、郡山からローカル列車に飛び乗って、朝8:30頃に新白河駅に到着。車を持たない旅行者の僕は、ここからバスに乗り換えてとら食堂の本店へ向かいます。
それにしても、とら食堂の開店時間は11時。「いくらなんでも早過ぎない?」と思いませんでした?そんなあなたに大変残念な情報を1つ。下の画像をご覧ください…
これ、新白河駅前のバス停からとら食堂方面へ向かうバスの時刻表です(一番左の「刈敷坂経由石川」がそのバスです)。これによると、朝8:40のバスを逃すと次にバスが来るのがお昼の12:35。そう、開店時間に間に合わないわけです。
なので、開店1巡目での入店を目指すにはこのバスしかないのです。たとえ開店まで2時間待とうと、中途半端な時間に到着して4時間待ちになるよりはるかにマシってものです。
バスは白河市街を抜けて(このバスは、途中でお隣のJR白河駅にも停ります)、阿武隈川に沿って東へと向かっていきます。周りに田んぼと山しかない田園地帯をしばらく走り、乗車から20分ほどで目的の双石(くらべいし)バス停に到着しました。
さて、このままお店に直行したいところですが、その前に必ずやらなければならない仕事が1つ。それは「帰りのバスの時刻チェック」。来たのはいいけれど帰りのバスがない…そんな恐ろしい事態は避けなければなりません。帰りのバスの時間までにしっかり完食する。それが難しそうなら、残念ながら勇気ある撤退…自分の知らない土地であれば、こうしたリスクマネジメントは特に重要です。
では、双石バス停から白河駅方面へ向かう帰りのバスの時刻表はどうなっているのでしょう?下の画像をご覧ください…
11時に無事入店できたとして、最初の帰りのバスが14:42。はい、バスサンドの旅、決定〜っ!バスがあるにはあるんですが、ラーメン食べ終えてから帰りのバスまで3時間待ちはさすがに…ねぇ。いいんですよ、別に。僕はそれを覚悟でとら食堂までやって来たんですから。幸い天気も良いし、5kmくらい小学生の遠足でも歩きますからね…(涙)
というわけで、車もバイクもない人が公共交通機関だけを使ってやって来るには、それ相当の覚悟が必要です。でも、平日であれば11時の開店と同時に入店して、ラーメンを食べて11:42のバスで白河駅へ…というウルトラC級の離れ業をすることができるかもしれません。
開店時間の2時間前にとら食堂へ到着!さて、待ち時間4時間の噂は本当か?
双石バス停から徒歩3分、目的地のとら食堂本店に到着しました。さすがに開店の2時間前ですから、店頭にはお客さんっぽい人は1人も見当たりません。
とら食堂では記名帳システムを採用していて、店頭に設置されてある記名帳に名前を書いた順に店内に案内されます。ここに名前を書いておけば、一旦お店から離れても大丈夫。行列にずっと並んでなきゃいけないとか、並び方がどうとか、細かいことを考えなくても良いのは嬉しいですね。
でも見てください。僕が到着した朝の9時ちょうどの記名帳はこんな感じ…
この時点で、すでに20名以上の先客がいたのです!みんな、何という食い意地の強さ、恐ろしすぎる(自分のことを棚に上げて文句言う奴)…大都市圏のラーメン屋なら、すでに2巡目以降確定くらいの待ち人数ですな。幸い、とら食堂は公式情報で総席数が48席(カウンター席、テーブル席、座敷席含む)の、都会ではなかなか見られない規模のお店。なんとか無事、一巡目は確保できそうです。
さて、次の問題は待ち時間の過ごし方。街中のラーメン屋なら、近くのコンビニで立ち読みしたり、カフェで時間を潰したりできるわけですが、もちろん今回はそんな手は通用しません。おそらくですが、最寄りのコンビニまで徒歩1時間レベル。行って帰ってくるだけで2時間経ってしまうかもしれません。
僕は開店までの2時間、ふらふらと周囲を散策したり、手持ちの小説を読んだりして過ごしました。少し風が強かったくらいで、概ね天気が良かったのが幸いして、待ち時間は思ったほど苦ではありませんでしたね。途中で自然現象がやって来た時も、お店の裏にあるトイレが使えるので安心です。
そんなこんなで待つこと1時間、それまで静まり返っていたとら食堂に徐々に車やバイクが集まり始めます。地元福島のナンバーだけでなく、お隣の栃木県ナンバーや仙台、埼玉、東京、横浜、さらに富山ナンバーの車もありましたね。開店30分前くらいには、お店に併設された30台分はあろうかという広さの駐車場がほぼ満車状態に。この時間になると、記名帳を一目見て待ち人数の多さにビックリ!というお客さんも結構いましたね。
開店時間を迎える頃には、冗談抜きで80〜100人近い人数が記名されていたと思います。とにかく、ものすごい混雑ぶりです。とら食堂の待ち時間の目安として、記名帳1枚で約1時間。開店時には記名帳3枚目の終わりに達してましたから、この日の開店時にお店に到着した人は入店まで3時間は待つ計算になります。4時間待ちの噂、本当でしたね…いやぁ〜、2時間前に来ておいて良かったぁ〜!
とら食堂の基本メニューは手打中華そばとつけ麺の2種類…さて、どちらを選ぶ?両方いっちゃってもいいよね?
店員さんに名前を呼ばれたら、まずは入り口をくぐって目の前にある券売機で食券を購入します…
とら食堂の基本メニューは、上の画像にあるように手打中華そばとつけ麺の2種類。バリエーションとして、手打中華そばにはワンタンとチャーシューをつけられるのに対して、つけ麺の方は冷たい麺と暖かい麺の2種類からお好みの方を選べます。
さて、どちらを選びましょうか?次に福島に来るチャンスがいつ来るかわからないのですから、ここで選択をミスって後悔するようなことは許されません。普通に考えれば、看板メニューの手打中華そばは外せないところですが…時を改めてつけ麺を食べに来るなんてハードル高すぎるし、ここは両方いっちゃってもいいよね?ということで、2枚の食券を購入してお母さんに手渡しました。渡した瞬間、お母さんちょっとビックリしてましたね…とら食堂で連食する人、あまりいないのかな?
とら食堂のラーメンメニュー(普通盛り 値段は税込)
- 手打中華そば 750円
- ワンタン麺 970円
- 焼豚麺 1050円
- 焼豚ワンタン麺 1270円
- つけ麺[冷] 800円
- つけ麺[温] 820円
焼豚ワンタン麺:一発勝負の旅行者にはとら食堂の最上級メニューがおすすめ!さて、気になるお味はいかに?
食券を渡して待つこと約10分、先に運ばれて来たのが焼豚ワンタン麺。看板メニューの手打中華そばにワンタンとチャーシューをアドオンしたとら食堂の最上級メニュー…
今後もしかしたら白河に来るチャンスがないかも…と考えると、一杯で全てを堪能できる焼豚ワンタン麺を選択するのは後悔をしないためのベストな選択。遠方からの福島旅行者には、お腹と財布が許す限りこいつがおすすめです。
では、早速スープをいただきましょう…口に入れた瞬間「あれっ、薄い?」と感じるほどあっさりした醤油スープなのですが、一瞬遅れて鶏ガラや豚から出た旨味がふわ〜っと口の中どころか身体全体に広がっていく感じ。これには驚きました。優しい味なんだけと力強く、栄養にもなりそうな感じ。化学調味料不使用だし、風邪を引いた時にこのスープを飲むだけでも体調回復しそうな気がします。
もしスープがあっさりし過ぎ!と感じるなら、この生タマネギを投入するのがおすすめです。玉ねぎのシャキシャキ感を楽しめるだけでなく、「スイカに塩」の理論で生タマネギのピリ辛がスープの旨味を一層引き立ててくれます。
一方、これに対する麺は手打ち感が残る形が不揃いな中細麺。この不揃いな部分が、スープを吸い上げるのにプラスに働いていいんですよねぇ…口の中に入った後は舌や口の粘膜を軽く刺激して気持ちいいですし、高加水麺のプリプリ食感と喉越しの良さも健在です。
そしてアドオンしたチャーシューとワンタン。パッと見、チャーシュー少なく見えますが、実はワンタンの下、さらに丼の底にもチャーシューが隠れていて、数えたらチャーシュー10枚にワンタンが5つもありました。とにかくすごいボリュームです。チャーシューは赤身の部分を使っていて肉肉しさ抜群、ワンタンもトゥルッとした皮の食感に加え、豚ひき肉に振られた胡椒の香りが気持ちよくてたまりませんな。
わざわざ関西からやって来て、開店まで2時間待って肝心のラーメンが「まずい」となったら最悪…なわけですが、やっぱりそこは福島県ラーメンランキング1位の名店、そんな心配は不要です。車やバイクなしでもう一度2時間待ち、さらに「帰りは駅まで歩き」はさすがに勘弁ですが、自由に動ける足があれば近くに来た時に再訪するのは全然ありだと思います。
つけ麺[冷]:とら食堂が提供するもう1つの主力メニュー、手打中華そばとはまた味が違って…
そして、焼豚ワンタン麺を2/3ほど食べ終えた頃に運ばれてきたつけ麺[冷]。まだ焼豚ワンタン麺を食べ終えていないので、つけ麺を置く場所に少し困りましたが、とりあえず画像はこんな感じ…
平皿に盛られた手打ち麺に、刻みネギが浮いた醤油系のつけダレ。現代風のつけ麺とは違って、見た目は至ってシンプルです。ちなみに[冷]ではありますがスープは温かく、冷やし中華的な感じではありません。
まずはスープを一口…おそらく手打中華そばと同じスープをベースにしていると思われますが、唐辛子の辛味と柑橘系の酸味が強く、動物系の旨味はマスクされていますね。香りも香味油で香ばしく、身体に優しい中華そばとは打って変わって刺激的な味になっています。広島のばくだん屋で食べた廣島つけ麺と味の方向性は似ていますが、とら食堂の方がスープがサラッとしていて、柑橘系の風味が強いのが特徴です。ばくだん屋の方は冷やし中華感が強かったですが、こちらのスープはお店のオリジナリティを感じます。
これにとら食堂の自家製手打ち麺を合わせます。この自家製麺はさすがですな。スープをしっかり吸い上げるし、プリプリ感が気持ちよくて…スープが代わっても、その存在感は変わりません。
ちょっと見た目に寂しげなスープですが、器の底には刻みチャーシューが沈んでました。麺にトッピングされた千切りチャーシューと合わせれば、それなりの量の肉を摂取できます。ただ、肉好きの人のためにチャーシュー増量のオプションがあってもいいかもしれません。
こんな感じで、手打中華そばとはまた違った魅力のあるとら食堂のつけ麺、全体的なクオリティはやはり高く、リピートした時に食べてみる価値は十分にあると思います。ただ、せっかくの冷やしなので、スープも冷たくする方がいいんじゃないかな。こってり濃厚スープではないのでスープ割は要りませんが、麺を冷やしているので後半スープが冷めてきますし…お店の方、もしこの記事を見ることがあったら、冷たいスープバージョンの開発を考えてくれませんか?
遠方の方にはお土産用生ラーメンやカップ麺の通販も…手打中華そば とら食堂へのアクセスは、JR東北本線・新白河駅から福島交通バス石川営業所行きバスに乗り換え、双石バス停下車徒歩3分
そんな福島の名店・とら食堂、「やっぱり遠くて行けないよ…」というなら、まずは通販で雰囲気だけでも味わってみてはいかがでしょうか?とら食堂監修のお土産用生ラーメンや、ワンタン麺のカップラーメンがAmazonなどを使ってお取り寄せできます。下に購入用のリンクを貼っておくので、興味がありましたら是非一度お試しください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
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