インターネットの発達によって、食べログなどを通じて全国的に有名になったとんかつ屋が京都にもいくつかありますが、地元の京都市民にとって最も有名なとんかつ屋さんは、七条大宮にあるとんかつ一番かもしれません。昭和35年の創業と歴史が長く、昭和時代の懐かしいスタイルのとんかつを守り続けるお店。その一方で、2021年版から3年連続でミシュランのビブグルマンを獲得するほどの実力も兼ね備え、創業から60年以上経った今も京都の第一線で活躍する老舗のとんかつ屋さんです。
そのとんかつ一番で食べられるとんかつがどんなものか、僕はずっと前から気になっていて、ある日のお昼過ぎに近くを通る機会があったので、「このタイミングを逃すべからず!」とばかりにお店に向かったのですが…
実は本当の歴史はもっと古い…京都の老舗・とんかつ一番 本店はこんなお店
京都の老舗・とんかつ一番は、公式には昭和35年創業となっていますが、実際の歴史はもっと古いです。先代の創業者は東京の帝国ホテルで修行を積んだフレンチの料理人で、戦後間もない昭和24年に木屋町でとんかつ屋を開いたのがお店の始まり。その後、京都市内に店舗を拡大していく流れの中で、昭和35年にとんかつ一番 七条店としてオープンしたのが現在のお店。やがて他の系列店が閉店していく中で、唯一残ったこの七条店が本店となって、平成4年から2代目を中心に営業を続けています。
そんなとんかつ一番の店舗は七条大宮の交差点の南東側のエリア、観光客が足を踏み入れることがなさそうな閑静な住宅地にあります。お店の建物も京町家造りで周囲に完全に溶け込んでいるため、Googleマップなどを頼りにしないとお店を見つけるのに苦労するかもしれません。
お店は2階建てになっていて、1階に厨房と4脚のカウンター席、4人掛けのテーブル席が3卓あります。2階は宴会の時に使われるようで、普段は利用できません。建物だけでなく店内の設備も昔からのものをそのまま使っていて、店内のどこをとっても作り物ではなく正真正銘のレトロ。最近京町家をリノベーションしたおしゃれなお店が増えてきましたが、リノベーション前の京町家の様子を知りたければ、とんかつ一番に来店すればきっと100%望みが叶います。
昭和〜平成時代のお値段で食べられるとんかつ一番 本店のメニューの数々…平日昼には数量限定でさらにお得なランチメニューも
さて、ここらでとんかつ一番 本店で食べられるメニューを一部ご紹介すると…
- とんかつ(単品) 1150円
- ヒレ肉のとんかつ(単品) 1400円
- ソースカツ丼(並) 800円
- 当店自慢のクリームコロッケ(単品) 950円
- 有頭大エビフライ(単品) 1700円
- ミンチカツ(単品) 1000円
- カツカレー 1050円
こんな感じ(値段は税込)。最近はこの倍以上のお値段がするとんかつも珍しくなくなりましたが、ライスと味噌汁をセットでつけても(お値段 +250円)2000円でお釣りが返ってくるって嬉しくないですか?高級豚を使ったレアとんかつもいいんですが、昔ながらの素朴なとんかつもいいですよね。お値段も昭和〜平成時代の標準的な価格帯ですし、かつて人気グルメ漫画・美味しんぼに載っていた「とんかつをいつでも食べられるくらいのちょうど良い人生」をこのお店となら送れる気になれるかもしれません。
これだけでも今時ありがたいんですが、平日のランチタイムに訪店すると、数量限定ですが税込800円で食べられるめっちゃお得な日替わりサービス定食も食べられます。お店の立地的にビジネスマンが普段使いするには少しハードルが高そうではありますが、お弁当のテイクアウトにも対応していますし、近くで仕事があった時のためにこのお店の存在を覚えておいて損はないと思います。
名代とんかつ:秘伝のデミグラスソースでいただくとんかつ一番の上級ロースカツ、60年以上続いてきた伝統のとんかつは一体どんな味がするのか?
今回僕がとんかつ一番 本店で注文したのは、2種類あるロースカツのうち上級版の名代とんかつ(なだいとんかつ、お値段 税込1650円)。もちろんご飯と味噌汁付き。注文してから待つこと約10分、目の前に登場した名代とんかつは…
こんな感じ。付け合わせのポテトサラダとキャベツの千切り、ナポリタンスパゲッティの上にわらじのような大きなロースカツがドン!と乗っかっています。これだけお肉が大きければ、コスパにうるさい人もそのボリュームに納得ではないでしょうか。ただ、ご飯やキャベツのおかわりが無料でないところは、燃費の悪い成人男性にとっては少し残念なところではありますが…
それはさておき、実食へとまいりましょう。外の衣は比較的厚めについていますが、軽めに揚がっていて胃もたれせず、肉の弾力とバランスの良いサクサク感がありますね。中のお肉は厚さ1〜2cm程度で、中心までしっかり熱が通っていて、レアとんかつでは失われてしまう独特なお肉の弾力を携えています。かといってお肉が硬くなってしまったわけではなく、程よい弾力を保っていて衣と一緒に歯応えを楽しめるような感じ。最近流行りの要素は一つもありませんが、全体としてとても食べやすいトンカツになっています。
でも、実はとんかつ一番 本店の真の名物は、とんかつではなくその下にある秘伝のデミグラスソースなんじゃないでしょうか。先代から味を引き継いだ、10日間じっくり煮込んで作るデミグラスソースは、程よい酸味と濃厚な旨味がある正統派の味。東京の帝国ホテル仕込みというのも納得です。1つだけ欲を言えば、このソースをもっとたくさんかけてくれると嬉しいなぁ…大阪のとんかつひろ喜でとんかつを食べた時のように、このソースでヒタヒタにしたとんかつも一度食べてみたいですね。
大阪の阿波座で2号店・とんかつ一番2deuxも営業中…とんかつ一番 本店へのアクセスは、最寄り駅のJR山陰本線・梅小路京都西駅から徒歩10分
そんな京都の名店・とんかつ一番は、創業60周年を機に大阪の阿波座で2号店のとんかつ一番2deuxを開業しました。店主は創業者から数えて3代目で、創業者と同じくフレンチ出身。その店主が運営する2号店では、フランス料理の技法を多く取り入れて調理したとんかつを提供しているそうな。京都の本店とはまた違った味が楽しめそうですね。近くに行かれた時にはぜひ立ち寄ってみてください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
JR京都駅からだと徒歩12分で行けます。
P.S. 京都で美味しいとんかつをお探しのあなた、ぜひこの記事にも立ち寄ってみてください…
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