東京や神奈川では超有名なラーメン店・AFURIで長年総料理長を務めていた人が、2018年に独立して京都の祇園にらーめん錦(にしき)を開きました。「ずっと東京でやってきた人が、なぜ京都で?」と最初僕は疑問に思ったのですが、京都でも東山から流れる純水に近い地下水が得られるということなので、もしかしたらそこがAFURIの透き通ったスープとシンクロしたのかもしれません。
そのらーめん錦は、AFURIとは違って鯛出汁のスープがウリのラーメン屋。あいつのラーメンかたぐるまのような修行元リスペクト全開のラーメンもいいですが、新たな味を求めるチャレンジ精神が個人的にとても興味深く感じられたんです。そんなわけで、ある日のランチタイムを過ぎた午後2時頃、その鯛出汁ラーメンを楽しみにお店へ行ってきたのでした…
京町家をベースにしたシックな雰囲気のお店…時間がゆっくり流れるので急いでいる時には不向きかも
京町家造りのお店の玄関をくぐると、ラーメン屋としてはやや広めの店内にカウンター席が6脚ありました。らーめん錦は内装も黒を基調としたシックな感じになっていて、ちょっとお高めの料理屋さんという感じのお店です。
そのお店をご主人1人で切り盛りしているのですが、他のラーメン屋にありがちな忙しい雰囲気が全然なく、静かでゆっくりとした時間が流れていきます。単にお店の内装がおしゃれなだけじゃなくて、場の空気がすごく落ち着いているんです。なので普段使いのラーメン屋と同じイメージで来店すると、その雰囲気の違いに戸惑うかもしれません。
こういうお店では、お客さん側もゆっくりとした時間を過ごすつもりで来店する方が良いでしょうね。ご主人からもじっくり料理に向き合っている感じが伝わってきますし、「急いでいるから、とりあえずラーメン!」という気分の時にはこのお店は不向きでしょうね。
らーめん錦では意外にもフードメニューが充実!もはやラーメン屋の枠を超えて小料理屋のメニュー構成
そんならーめん錦のメニューですが、ラーメン以外にもフードメニューが充実しているのはちょっと意外でした。お店の公式ホームページには、看板メニューの塩らーめん他数種類のラーメンメニューが掲載されているのですが、店内のメニューには…
- 黒毛和牛のローストビーフ 1800円
- いくら丼 1000円
- 合鴨ロース炙り 1000円
といった少し高級なフードメニューも掲載されています。さらにドリンクメニューで獺祭や玉乃光、知多といった、お酒好きには名の知れた銘柄があって、ラーメン屋の枠を超えてもはや小料理屋といった感じのメニュー構成。なんか昼間にラーメンだけ食べに来るのがもったいなく思えてしまいます。
ちなみにこの日、僕は鯛白湯らーめんを狙っていたんですが、店内メニューを見て気が変わりました。今まで他のラーメン店でお目にかかったことのない、面白そうなラーメンの名前が目に飛び込んできたからです。それは…
鮭出汁塩らーめん:見た目はあっさり系、でも実は奥が深い…これでお値段1200円は目から汗が流れるレベル
この鮭出汁塩らーめん(お値段 税込1200円)。鮭って食材としては珍しいものではないですが、それを使ってラーメンを作ろう!と考えた人って、今までにどれくらいいるんでしょうね?僕の少ない経験では、弟子屈ラーメンの新千歳空港店くらいです。
では、早速スープからいただきます…見た目にも透明感があるこのスープは、本当に鮭の出汁と塩だけしか感じない、とってもクリアな味。スープは違えど、AFURI出身というのがすごくよく伝わってきます。で、あっさり系のスープと思いきや、喉を通った後に鮭の脂の旨味がしっかり舌の上に残るんですよね。その意味では意外と味が濃いスープとも言えるかも知れません。
これに対する麺は、AFURIの麺と見た目にそっくりの全粒粉入り極細麺。オーツ麦配合でほんのり香ばしく、硬めに茹でた博多豚骨ラーメンの麺のように歯応えがあります。ゆっくり食べていてもふやけることなく同じ食感を楽しめますし、極細麺なので喉越しも最高。繊細でありながら、かなりの力強さも持ち合わせた麺になっています。
そして、このラーメンの唯一の具材とも言える鮭の切り身(はじかみと酢橘は一旦除外)。銀鱈の身を塩麹漬けにしてあって、口の中で発酵した麹の風味がぶわっと力強く広がっていきます。透明感あるスープと対照的に味自体がすごく強くて、そのスープとの味のコントラストも興味深いですね。何より、トッピングが鮭だけというのも潔くて僕は大好きです。ここにチャーシューなんか入っていたら、僕はかなりガッカリしただろうなぁ…
この鮭出汁塩らーめん、僕個人的にですが、久しぶりに感激するくらいのラーメンでした。一杯1200円はちょっと高いな…と感じるかも知れませんが、この値段で食べられるなら僕個人的には目から汗が流れるレベル。喜んでリピートしますね。
らーめん錦が祇園にオープンして約3年半、まだあまり名前を知られていないのが不思議なくらいです。近くにあるミシュラン獲得店・麺屋猪一とも全然遜色ないですし…でも、本当に行列店になってしまったら困るかも。僕の中では「もっと有名になって欲しいんだけど、やっぱり自分のものだけでいて欲しい」みたいな、マイナーアイドルを応援するファンの気持ち(?)に近いものを感じるお店ですね。
らーめん錦のその他のラーメンメニュー(値段は税込)
- 塩らーめん 950円
- 醤油らーめん 950円
- 柚子らーめん 1000円
- 鯛白湯らーめん 1100円
- 柚子抹茶らーめん 1200円
現金も使えます!らーめん錦へのアクセスは、最寄り駅の京阪電鉄・三条京阪駅から徒歩7分
そんならーめん錦、AFURIと同じくキャッシュレス決済に幅広く対応しているのですが、現金払いにも対応してくれるのが地味に嬉しいですよね。これならクレカを持てない中高生もお小遣いで食べに来ることができます。それになんだかんだ言って、現金が使えないことで困ることもありますしね…
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
一駅隣の祇園四条駅や、京都市営地下鉄東西線の東山駅からも徒歩8分で行けます。
P.S. 京都で美味しいラーメンをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄ってみてください…
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