清水寺近くの風情ある立地にある総本家 ゆどうふ 奥丹清水(Okutan Kiyomizu)は、江戸時代の寛永12年(1635年)に創業した日本最古の湯豆腐専門店。お店のウェブサイトによると奥丹清水は先代で十五代目を数え、現当主である小倉忠輔さんは16代目に当たるんだそうな。
令和4年の冬はそんな長い伝統と歴史のあるこのお店で湯豆腐を食べることを前から決めていて、とある週末のランチタイムにネット予約。二寧坂、産寧坂でちょっと時間を潰した後、予約時間ぴったりにお店に到着すると…
整備された日本庭園を眺めながらゆったりランチ…総本家 ゆどうふ 奥丹清水はこんなお店
僕が奥丹清水に到着した時、お店の門の前に10人くらいが入店待ちをしているような状況でした。門の右側に銭湯の番台のような小部屋があって、どうやらその中にいるお母さんが店内の店員さんと連絡をとりながらお客さんを順番に案内するシステムになっている様子。行列に並ぶ必要はなさそうですが、予約なしで利用する時にはまずこのお母さんに声をかけるといいでしょう。
お店の建物は今流行りの京町家ではなく、昔から存続する大きなお屋敷といった感じ。その中のいくつかの和室が客席スペースに充てられていて、食べログによると奥丹清水の総席数は120席、個室利用も可とのことです。僕は運よく中庭に面した窓際の席に案内されて、整備された日本庭園を眺めながらゆったり食事できたのですが、後で調べてみると実はこの庭園の下にお店の豆腐工房があるらしいんですよね。この建物の構造がそんな風になっているなんて、全然気づかなかったなぁ…
奥丹清水のメニューは豆腐の種類で選ぶ2種類のコースが中心。木綿と絹ごし…さて、どちらを選ぶ?
そんな奥丹清水のメニューは…
単品メニューもありますが、この「おきまり一通り(お値段 3000円+税)」と「昔どうふ一通り(お値段4000円+税)」の2種類のコースがメニューの中心。どちらのコースを選んでも内容は一緒で、使われている豆腐だけが違います。
その豆腐の違いを店員さんに聞いてみると、ざっくりと「木綿と絹ごしの違い」と教えてくれました。あなただったら、湯どうふに木綿と絹ごしのどちらを選びますか?僕は基本絹ごし派なのですが、この日は迷うことなく木綿の「昔どうふ」を選びました。だって、豆腐の種類だけで1000円もお値段が変わるんですから、きっとものすごい濃厚な豆腐を食べられるんじゃないかと思いませんか?
昔どうふ一通り:創業380年以上の老舗湯豆腐専門店・奥丹清水の上級コースはどんな感じ?
というわけで、今回僕が奥丹清水で注文した上級豆腐料理コース・昔どうふ一通りをご紹介しましょう。まず目の前に運ばれてきたのが…
胡麻豆腐と出汁で伸ばしたとろろ汁。胡麻豆腐は少しねっとりした感じで、出汁感のある醤油だれの中に濃厚な胡麻の香りが感じられます。出汁とろろは最後に出てくる白ごはんと一緒に食べるため、ここは手をつけずキープ。
続いて運ばれてきたのが木の芽田楽。甘く濃厚な味噌の中に山椒がふわっと香ります。その下の豆腐はかな身がりギュッと詰まった感じのハードなタイプ。でも、口の中で豆腐を崩すと断面が想像以上にきめ細かくて、しっかりとした歯応えを伝えた後はスルッと喉元を通っていきます。
そして本日の主役・昔どうふを使った湯豆腐の登場。見た目に豆腐の硬さが伝わってくる感じがしますよね。やや大きめにカットされた昔どうふが鍋の中に全部で6切れ。湯豆腐のボリューム感は過去に訪れたお店の中で一番かもしれません。
この昔どうふを何もつけずにそのままいただきます…市販の木綿豆腐の2倍は硬いか?というくらいしっかりした造りの豆腐で、そのままで豆腐ステーキに使えそうな感じ。でも、木の芽田楽の時と同じように中身はすごく滑らかで、濃厚な大豆の風味の中にほんのりと甘みを感じます。
僕、前の木の芽田楽の時、木綿豆腐に重石を乗せて水切りしたものが出てきたと思っていたんですよね。でも違いました。この豆腐そのものがかなりハードなんですね。その分大豆の旨味もめっちゃ濃厚で、旨味の濃厚さだけで言えば文句なく大堀史上No.1。こんな豆腐を380年以上も残してくれて、先人たちにホント感謝です。
さて、続いてこの豆腐の上から濃いめの醤油出汁をかけて食すわけですが…昔どうふの味が強いからか、醤油出汁だけではどうも味がハマらない気がしたんですよね。何となく鰹出汁の風味と豆腐の旨味が水と油の関係になっているような気がして…
だけど、ここに薬味として山椒を加えるとドンピシャ味がハマりました。鰹と山椒のダブルの香りで濃厚な豆腐を包み込み、口の中でも香りを放って鼻を心地よく刺激する一方で、咀嚼されて滑らかさを増した昔どうふがスルスルッと喉元を通り、最後に鼻の後ろから大豆の香りがふわっと戻ってくる感じ。僕、今まで湯豆腐は絹ごし派だったのですが、この瞬間に完全に木綿派に変わりましたね。
この湯豆腐をしっかり堪能した後は、軽めに揚がった精進天ぷらと…
ご飯と香の物が出てきてコース終了。前に利用した有名店・南禅寺順正の湯豆腐コースとメニュー構成は似ているように思いますが、豆腐に重厚さがある分奥丹清水の昔どうふコースの方がお腹の満足感は高いです。また、今回のコースには動物系の食材が出てこなかったのも特徴的。厳密にいうと鰹出汁を使っているので完全ヴィーガン食ではないのですが、それほど厳しく律していないベジタリアンの人なら比較的利用しやすいのではないでしょうか。
奥丹南禅寺というお店もあるんですが…総本家 ゆどうふ 奥丹清水へのアクセスは、最寄り駅の京阪電鉄・清水五条駅から徒歩18分
さて、実は今回ご紹介した奥丹清水の他にも、南禅寺近くに奥丹南禅寺という湯豆腐専門店があります。でも、僕が調べた限り清水のお店との関係や違いがよくわからないんですよね。ともに創業1635年を謳っているのですが、お店の公式ウェブサイトに支店として紹介されていないし、「清水の奥丹と南禅寺の奥丹は全く別のお店」という口コミもあって…まあ、だいたいこういう場合はビミョーな事情があったりするので、このブログで両者の違いについて深く突っ込むのはやめておきます。これからあなたがお店に行く場合も、一応注意しておく方が良いかもしれません。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
JR京都駅からだと、烏丸口前のバスターミナルから京都市営バス206番系統・北大路バスターミナル行きに乗り、清水道バス停下車徒歩7分です。
P.S. 京都で美味しい湯豆腐をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
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