最近は和食業界から転身したラーメン屋というのも珍しくなくなりつつあります。今回ご紹介する京都の拳ラーメン、その店主は若い頃割烹や寿司屋で10年以上修行していたというバックグラウンドがある人です。
修行時代に魚の頭を捨てるのがもったいないと思っていたらしく、ある時魚の頭を集めてラーメンの出汁に使ってみたのが拳ラーメンの始まりだそう。なので、そのまま鮮魚系のラーメンで勝負をかけるようになったのは、すごく自然な流れなのかもしれません…
梅小路京都西駅ができて利便性改善!店内にはミシュランや食べログ百名店など数々の表彰が…
その拳ラーメンがあるのは、京都の中央市場にほど近い梅小路公園前。かつては1駅先のJR丹波口駅から10分近くかけて歩かなければなりませんでしたが、2019年3月にお店の目の前にJR梅小路京都西駅ができて、だいぶアクセスが便利になりました。
店内はラーメン屋としてはわりと広めのスペースがあって、客席はカウンター8脚に4人がけテーブル席が2卓。関西ラーメンダービーや食べログ百名店、ミシュランのビブグルマンなど、過去にいくつものグルメ団体から表彰された証が壁にずらっと掲げられています。
高級食材使用が食欲をそそる…拳ラーメンのラーメンメニューは全部で5種類
そんな拳ラーメンで注文できるラーメンは、下にご紹介する全5種類。入口をくぐってすぐ右手の券売機で食券を購入します。
ノドグロや羅臼昆布、但馬牛など、高級食材の名前を冠したメニューに食欲と興味がそそられますよね。しかも、どのラーメンも千円札1枚あれば食べられる、お財布に優しい値段設定。券売機を目の前にして迷ってしまう気持ち、よくわかります。「全部のメニューをちょっとずつ…なんて食べ方もあればいいのに」って本気で思う時が僕にもありますから。
拳ラーメンのラーメンメニュー(値段は税込み)
- 京鴨とノドグロ煮干しそば(煮卵付き) 900円
- 羅臼昆布かけそば(温・冷、ご飯セット) 1000円
- 但馬牛肉担々麺 1000円
- 中華そば 800円
- 油そば 800円
京鴨とノドグロ煮干しそば:軽口ながらしっかり味のあるスープがツルツルの麺とマッチ!オプションの柚子風味ビネガーで上質な味変も楽しめるお得な一杯
そんな拳ラーメンが提供するメニューの中でも「名物」と呼ばれているものが、今回ご紹介する京鴨とノドグロ煮干しそば(煮卵つき、お値段 税込900円)…
さすが元・和食の料理人という感じの、見た目にもすっきり上品な印象のあるラーメンです。高級魚・のどぐろの煮干しを使ったスープ、どんな味がするのでしょう?
というわけで、まずはスープから。あっさり軽やかな醤油の味に、鴨と魚介の旨味が少し遅れて追いかけてくる感じの味。ノドグロの煮干しは初体験でしたが、しっかりと魚介の味が出ていながらしつこさがまったくない、和食系のラーメンにはぴったりの出汁のように感じました。
このスープに合わせる麺は、京都ではお馴染みの麺屋棣鄂製の中細ストレート麺。表面のツルツルした口当たりがスープの味とよく合っていて、スルスルと抵抗なく吸い上げられて、口の中では程よいもっちり感を発揮してくれます。
一方、お楽しみのチャーシューは低温調理された豚と鶏の2種類。どちらもレア感のあるピンク色をしていて、肉そのものの旨さとともにしっとり感も感じられます。
ここまででも十分味わい深い一杯なのですが、着丼と一緒に出てくる柚子フレーバーのビネガーをピピッと振りかけると、柚子の爽やかな香りと酸味がスープにプラスされて、淡麗ながらもさらに一段階奥行きを持った深い味にレベルアップ。
最初からこの味でもいいくらいですが、一杯で2種類の味を楽しめるようにあえてオプションで提供しているところに良い意味でのニクさを感じますね。さすがミシュランのビブグルマンを獲得するほどの実力点ですね。和のテイストのラーメンが好きな人なら、この一杯は絶対にハマると思います。
中華そば:ほどよい動物系の出汁にタマネギの辛さをピリッと効かせたスッキリ系…麺の旨味をじっくり楽しみたい人におすすめ
続いてご紹介するのが、華やかな名前のラーメン達の間でオーソドックス感が際立っている中華そば。最近のいろいろ凝ったラーメンを食べていく中で、たまにはこうしたシンプルなラーメンを食べたくなる時ってありませんか?
レアチャーシューや焼き海苔などのトッピングが丼の隅に追いやられていて、中央は横向きに揃えられた麺が占拠する…この盛り付け、僕は好きですね。「麺が主役」という主張が見た目に伝わってくる気がしますし、レアチャーシューをいつでもレアのまま食べられるという実務的なメリットもありますし…
それはさておき、まずはスープから…一口目はちょっとだけオイリーで、動物系の旨味を含んだスッキリ醤油味と、薬味的な生タマネギのピリッとした辛さが一瞬遅れてやってきます。このピリッとした辛さ(辛いといっても、ほんの少しです)のおかげでスープを飲んだ後も口の中にスッキリ感が残って、ちょっとお高い中華料理店で出てくる高級感のあるスープのような印象がありますね。一方でそのスッキリ感で口の中が満足してしまうので、次から次へとスープを飲みたくなるような中毒性は弱いです。スープ単体としては率直に美味しいと思うのですが、ラーメンのスープとして考えるとこれがちょっと不利に働いてしまっているかもしれません。
一方の麺は、京鴨とノドグロ煮干しそばの時とは違う、軽くちぢれのついた中太平打ち麺。麺の縮れが適度にスープを吸い上げて、口の中に入ると内側から粘膜を軽く刺激してきます。噛めばもちもちで小麦の風味がふわっと漂い、表面がツルッとしているので喉越しもスムーズ。やっぱり、この中華そばの主役は麺ですね。スープより麺の旨味をじっくり堪能したい人にとっては、この中華そばは好みにハマるのではないでしょうか。
このように、ただでさえスッキリ感が強い拳ラーメンの中華そばですが、テーブル備え付けのコリアンダー(パクチー)を使うとスッキリ感がさらに強くなります。独特なニオイが気になる人、ニオイはスープで打ち消されるので大丈夫です。レンゲにすくったスープに一振りかけて、まずはどんな感じか試してみてください。この中華そば、食べる人によって評価が大きく分かれそうですね。薄味あっさり系の味を好む人にはおすすめできますが、スープの旨味をしっかり感じたい人には向いていないように思います。
京都水族館や鉄道博物館からの帰りにも便利…拳ラーメンへのアクセスは、最寄り駅のJR山陰本線・梅小路京都西駅から徒歩1分
最後に、拳ラーメンは京都水族館や鉄道博物館などの子連れ観光スポットにも近い場所にあります。店内も比較的広々していますし、小さな子供を連れてのランチなんかにも使えるかもしれません。子連れだけどラーメンを食べたい…という時には、ぜひ一度試してみてください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. 京都で美味しいラーメンをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
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