かつて週末になるとものすごい数の観光客を集めていた東京の築地市場。2018年10月に豊洲市場へ移転となってからもうすぐ5年、残された築地市場跡周辺はひっそりとしているかと思いきや、実はそんなことないようです。
例えば、築地場外市場のもんぜき通り沿いにきつねや(Kitsuneya)というお店があります。創業は戦後の昭和22年。そこから75年の間に市場の移転や2017年の火災など数々の困難を乗り越えて、昔ながらの味のあるスタイルで営業しているお店なのですが、ネットでブログ記事を見ていると、とにかくいつもすごい行列ができるお店らしいですね。中には「築地で一番待ち時間が長い店」なんて口コミも…
僕自身、寿司大や大和寿司が豊洲に移転してしまった後の築地には足が向かなかったのですが、このお店の存在を知って久しぶりに築地へ行くことに決めました。ターゲットはきつねやの二大人気メニューとされる「ホルモン丼」と「肉どうふ」。まだ多くの人が布団に入っている朝っぱらに市場でご飯を食べるって、想像するだけでワクワクしませんか?
朝6時前から並んでみたけれど…築地場外市場の超人気店・きつねやの気になる行列や混み具合は?
僕がきつねやを訪れたのは、お店の開店時間6:30よりずいぶん早めの、とある土曜日の早朝5:45頃。この後どうしても遅刻できない用事があったので、なんとしても一巡目を確保したかったところでしたが、おかげで無事ポールポジションをゲットできました。店員さんにとっても僕の訪店はいつもより早かったようで、「えっ、こんな時間に…」とかなり驚いていましたね。その結果、「朝早くからすみません」「いえいえ、こちらこそまだ準備できてなくてすみません」といった感じの妙な空気が発生してしまいました。
店員さんの邪魔にならないようにお店の準備や仕込みを眺めながら待っていると、この日は6時を過ぎた頃からお客さんが集まりだしてきましたね。きつねやの行列は店舗側と車道側の2列に並ぶルールになっていて、店舗側に僕を先頭にした数名の行列ができた後は…
この案内を目印にして車道側に列を作っていきます。で、そこからの行列の伸びがとにかくすごかったんですよ。ちょうど開店時間を迎えて、5席あるきつねやのカウンター席の1つに案内された頃には…
お店から結構離れたところまで長蛇の行列が…きちんと数えたわけではないのですが、この頃には悠々50人くらいの行列になっていたんじゃないでしょうか。これくらいの行列になると普通は待ち時間1時間超えを覚悟しなければなりませんが、幸いきつねやではカウンター席の他に立ち食い席も用意されているのに加え、注文したらすぐに料理が出てくるので、それほど待ち時間は長くならないようです。そんなわけで、きつねやを訪問する時には、見た目の混み具合に臆することなくとりあえず並ぶという積極姿勢が大事なのかもしれませんね。
朝から長蛇の行列に並ぶ価値ある?きつねやの二大人気メニューを実際食べてみて…
それでは、今回僕が注文したきつねやの二大人気メニュー・ホルモン丼と肉どうふを順にご紹介していきましょう。これらを目当てに朝6:30から50人待ち…朝っぱらからそんな苦行に耐えるだけの価値があるのかどうか、忖度なしで僕の感想を書いていきますね…
ホルモン丼
まずは「きつねやに来たらまずはこれでしょ!」のホルモン丼(お値段 税込900円)。YouTubeで再現レシピが紹介されるほどの人気メニュー、やはりこの日もほとんどの人がホルモン丼を注文していたようでした。
早速このホルモンを口の中に入れてみて驚きました。創業時より継ぎ足されてきた八丁味噌ベースの特製ダレに牛肉の旨味や脂が溶け込み過ぎて、ねっとり濃厚なビーフシチューのようになっているんです。実際、この日の仕込みの時間に僕はお店にいたわけですが、熱を通す前のホルモン煮込みは器の中で煮凝りのように固まっていましたからね…そんな状態になるまで肉のエキスが詰まったきつねやのホルモン煮込み、もつ煮込み苦手な人でなければ「まずい」なんて口が裂けても言えるません。
もちろん、タレでしっかり煮込まれたホルモン煮込みはとろっとろになっていて、噛まずとも舌の上でホロッとほぐれてモツとタレの旨味を一気に放出。しかも、その旨味はもつ煮込みだけに留まらず、その下にある白ごはんにまで浸透しているわけです。洋食レストランでビーフシチューをライスにかけて食べたら下品に見られますが、きつねやではお店公認で「シチューがけご飯」が楽しめます。それでいて、お値段はビーフシチューより圧倒的に安い900円…このホルモン丼(あるいはご飯抜きのホルモン煮)を和風ビーフシチューとして、特にフランス人に母国のビーフシチューと食べ比べてみてほしいですね。
肉どうふ
そしてホルモン丼とほぼ同時に出てきた、きつねやのもう1つの名物・肉どうふ(お値段 税込800円)。このメニューは単品での注文は不可で、ご飯や丼物、お酒と一緒に頼む必要があるので、そこはご留意を。
これ、画像では伝わりにくいと思いますが、結構なボリューム感があるんですよ。この豆腐の大きさが市販の豆腐の半丁くらいあると言えば伝わるかなぁ…それと比較してみれば、牛肉の量もかなりのものになっているのがお分かりいただけるんじゃないでしょうか。
肉豆腐のお出汁はねっとり濃厚なホルモン丼の八丁味噌ダレとは違って、すき焼き風の甘口醤油出汁。その甘口醤油出汁で煮込まれた牛肉は思った以上に柔らかく、「かなり高品質な牛肉を使っているんじゃないか?」と思わせられます。一方の豆腐は絹ごし豆腐で、口の中でお出汁と一緒にとろっと溶けていく感覚がたまりませんね。唯一の難点は、食べ進めていくうちに追加で何か欲しくなること。元々単品注文不可のメニューですが、やっぱり最初から白ごはんかビールに合わせるのがおすすめですね。
こんな感じで、きつねやで人気の2品を堪能して退店。無事に予定通りの地下鉄に乗れて、次の大事な予定にも間に合いました。ホルモン丼も肉どうふも「そりゃあ絶賛されるよなぁ…」と感じるクオリティで、たとえ50人待ちでも並ぶ価値は十分にあると思いますね。今度行く時にはここで朝飲みしたいなぁ。でも長居は後のお客さんに迷惑だから、自分のペースで飲めないし、う〜ん…
こんなにすごいお店なのに、今まで食べログ百名店にもミシュランのビブグルマンにも選ばれないのが不思議…いや、むしろ有名メディアで受賞なんかしないで、このまま隠れた名店として続いていってくれる方が僕としては嬉しいかな。このまま昭和的で飾らずに、ずっと後世に残っていってほしいお店です。この記事をここまで読んでくれたあなたも、東京へ行く機会があればぜひ一度きつねやに行ってみてください…
きつねやのその他のメニュー(値段は税込)
- 牛丼 800円
- ホルモン煮(単品注文不可) 700円
- 焼きどうふ 300円
- ごはん並 200円(大 300円)
- おしんこ 150円
- 生玉子・半熟卵 100円
- ビール(中) 670円
- 御酒 450円
ホルモン丼と牛丼はお持ち帰りにも対応…きつねやへのアクセスは、最寄り駅の都営地下鉄大江戸線・築地市場駅から徒歩3分
そんなきつねやでは、ホルモン丼と牛丼のお持ち帰りにも対応しています…
- ホルモン丼弁当 950円
- 牛丼弁当 850円
と、お値段はイートインより50円高くなってしまいますが、テイクアウトなら並ぶ時間が短く済むかもしれません。あまり待ち時間を取れない時には、店員さんに「テイクアウトしたいんですけど…」と気軽に声をかけてみてください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
東京メトロ日比谷線・築地駅からでも徒歩4分で行けます。
P.S. 東京で美味しい和食をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
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