大阪に「カドヤ食堂」という、大阪のラーメン界を代表する超人気店があります。ラーメン屋なのに店名が「食堂」なのは、このお店が最初は大衆食堂からスタートしたから。
1957年に鶴見区で創業し、2001年11月に中華そば専門店としてリニューアル。現在は大阪市内を中心に4店舗を構え、2016年に大阪のラーメン屋で初となるミシュランのビブグルマンを獲得しています…
カドヤ食堂|普通の中華そばを高級食材だけで作ったら…とことん贅沢なラーメンを提供する大阪の超有名店
そのカドヤ食堂の総本店があるのが、大阪市内でも住宅地が増えてきている西区新町という所。大型のトラックも行き来する長堀通の北側に面して、赤い大きな看板が掲げられています。
店内は奥に細長く、入って右側に調理場があり、カウンター席6脚と4人がけテーブル席が2卓あります(食べログ情報では、カドヤ食堂 総本店の総席数は14席)。店の一番奥には製麺室があるのですが、この製麺室に象徴されるように、カドヤ食堂は料理に使うすべての物に対するこだわりが半端ないのです。
そのこだわりは、下の画像を見てもらえれば一目瞭然…
麺の材料になる小麦や出汁取り用の鰹節や昆布、その他調味料はわかります。でもその上、水や食器に至るまで「食材」と言い切り、そのこだわり様をお客さんに伝えるラーメン屋…今まで行ったことのあるお店の中でも、正直記憶にありません。
このこだわりがカドヤ食堂の値段に反映されていて、実際「いくら何でも高すぎる!」と敬遠する人がいるのも事実。でも僕は、例えば「吉野家の牛丼を超高級食材だけで作ったらどうなるか?」みたいな発想が大好きで、カドヤ食堂の値段設定も全く気にするところではありません。
カドヤ食堂のメニュー例(値段は税込)
- 中華そば 950円
- 塩そば 1000円
- ワンタンめん 1260円
- つけそば 並1100円(大+310円、特+410円)
- 黒豚旨みそば 1070円
- 鶏めし(数量限定品) 600円
- 黒豚めし 490円
- スタミナ黒豚めし 670円
- メンマめし 490円
中華そば:動物系と魚介系のダブルスープに自家製麺…こだわり尽くした材料でつくったこの上なく贅沢な一杯
まず最初の訪店で僕が注文したのが、カドヤ食堂のスタンダードメニュー・中華そば(お値段 950円)…
見た目の印象はどこにでもあるような普通の中華そばなのですが、あらゆる意味で非常にレベルが高い一杯。スープは鶏ガラと豚をベースに、魚介出汁を効かせたダブルスープ。若干醤油が濃い目で、魚介出汁の風味がよく効いていて、嫌味がなくゴクゴク飲める味。心なしか、レンゲですくったスープがキラキラと輝いているようにも見えます…
そしてもう一つの主役・麺ですが、奥の製麺室で作った細めの平打ち麺。海苔やチャーシューなどの具材でほとんど覆われているのですが、中で麺が綺麗に折りたたまれているのにも要注目。こうした細かいところにも目を届かせる姿勢、僕は大好きです。
麺が細い上に柔らかめの茹で加減なので、麺に強烈なコシを求める人にとっては物足りないかもしれません。でも、スープが表面によくからみ、食べてみるともちっとした食感が楽しめます。どちらかというと麺は脇役的存在で、スープの美味さを最大限引き立てるための麺という印象があります。
2枚入った豚バラチャーシュー。肉厚でジューシー…食べ応えもしっかりあります。さすが鹿児島県産の黒豚…存在感は抜群です。ある意味、この上なく贅沢な中華そば。これで一杯950円は、むしろ安いと僕は思います。
つけそば:豚の旨味がガツンと効いたスープ…豚足を足せば旨味のスケールが大幅up
2回目の訪店では、カドヤ食堂の一番人気メニュー・つけそば(並、お値段 1100円)をオーダー。これに、つけそば限定という豚足をトッピング(お値段 620円)することができます…
麺は中華そばのものより太くなった平打ち麺。他店のつけ麺よりもまだ細めではありますが、麺のコシと小麦の香りは遜色ありません。中華そばの時と同じく麺がきれいに折り畳まれていて、お店の心意気に感謝するとともに、食べる方も気合が入ります。
続いて、スープの方。まずはこれをご覧ください…
箸でつかむのも困難なほどの、どデカい豚足。とにかくプルプルで、コラーゲンたっぷりなのが箸伝いに良くわかります。見た目のインパクトにさえ気分を害さなければ、女性にとってもすごくいい食べ物ではないかと思います。
そして、このスープの器には他にもチャーシュー(刻みチャーシュー含む)がごっそり入っています。もう、器の半分以上のスペースを豚肉で埋めつくしているような感じ。スープに箸を入れると、すぐに肉に当たってしまいます。
そんな感じなので、スープの表面にはすごい量の豚の脂が浮いています。中華そばとは違って豚の旨味が濃厚なスープ。巨大な豚足の影響はありますが、半分豚肉を食べるかのようなつけそば…ガッツリと肉を喰らいたい時にはおすすめです。
黒豚旨味そば:1杯で4つの味が楽しめる満足度の高い1品…ニンニクがかなり効いているので仕事中の方は要注意!
そして3回目の訪店では、これまた根強いファンの多い「黒豚旨味そば(ミニライス付き、お値段 1070円)」をオーダー。注文して着丼まで約15分。丼から心地よいニンニクの香りが漂います…
早速実食!といきたいところですが、ここはグッとこらえて食べ方のおさらいから入りましょう。カドヤ食堂のおすすめする黒豚旨味そばの食べ方は4段階あって…
- 全体をかき混ぜて、そのまま食べる
- 自家製ラー油をかけて、辛みを効かせる
- 酢を足して、味をマイルドにする
- 具を少し残しておいて、ミニライスを混ぜて食べる
この流れに沿って食べ進めていくことにします。
まずは丼の下から麺を掘り起こすようにして全体を均一に混ぜます。混ぜ段階でもニンニクがふわっと香り、とてもいい感じ。自家製平打ち麺をすすると、豚肉の旨味とニンニクの香りが口と鼻を激しく刺激。カドヤ食堂、得意なのはきれいな中華そばだけではないんですね。さすがです。
続いて自家製ラー油をかけていただきます。丼に入れたラー油は瓶に備わっている小匙で10杯くらいでしょうか。本当はたっぷり回しがけしたいところですが、瓶の構造上難しいので仕方ありません。
このラー油もとにかく香ばしく、黒豚旨味そばには欠かせない味変アイテムですね。ニンニクの香りに負けないくらいの胡麻の香りが加わり、それまでの刺激になれつつあった味覚と嗅覚をさらに刺激します。
ここでさらにお酢を軽くひと回し。すると、それまで猛烈な刺激を放っていた麺が一気にマイルドになるから不思議です。この変化もまた面白い。ただ、お酢をかけすぎると酸味が強くなりすぎて、その後の楽しみもすべて台無しにしてしまうのでご注意を。
そして最後にミニライスを投入。ここまでに、できるだけほぐしチャーシューを残しておくのがおすすめです。というのは、台湾を代表する屋台グルメ・魯肉飯を想起させる絶品〆ご飯になるからです。
もちろん、すべてに至るまで全く同じではありません。でも、ほぐしチャーシューがそぼろ肉を上回る肉々しさを放ち、そこに豚肉の濃厚な旨味が移ったタレがプラス…八角の香りが苦手な人も食べられる、まさに「和風魯肉飯」。この〆ご飯だけのために注文する価値がある、そんなまぜそばです。
鶏めし:鶏の旨味がしっかりご飯に乗り移った風味豊かな一杯。ラーメンで量が足りない時におすすめ
この辺りで、サイドメニューも少しご紹介しましょう。舌の画像は、カドヤ食堂の数量限定サイドメニューの鶏めし(お値段 600円)…
ご飯粒が醤油で黒くなっていますが、見た目に反して辛くはありません。鶏から出た脂ご飯粒1粒1粒をコーティングしていて、パラパラほどけやすくなっているのに加えて鶏の旨味をしっかりご飯粒にまとわせています。
ここに椎茸とゴボウの出汁、さらにおこげの香ばしさが加わって風味豊かな一杯。ラーメンでちょいとお腹が満足できない時に、ボリュームもちょうど良いです。
一つ意外だったのが、一緒に出てくるお漬物。見た目に反してピリリと辛いですので、辛いものが苦手な人はお気をつけください。
梅田やクリスタ長堀にも支店あり…カドヤ食堂 総本店へのアクセスは、最寄り駅の大阪メトロ・西長堀駅から徒歩3分
こんな感じのカドヤ食堂は、今回ご紹介した総本店の他に阪神梅田店、西梅田店、クリスタ長堀店の4店舗で営業中。他のお店では総本店にないメニューも楽しめるので、カドヤ食堂ファンなら総本店とは別に行く価値が十分にあります。これらのお店で提供される限定メニューはお店の公式インスタで告知されていますので、お店に行く前には必ずチェックしておいてください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. 大阪で美味しいラーメンをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
P.P.S. カドヤ食堂の近くには、こんなお店もありますよ…
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