一芳亭|著名小説家が愛し、今も1日8000個売り上げる名物・焼売のお味は?

By 大堀 僚介

荒削りなようでいてデリケートな味。家庭の惣菜のように見えて専門家のみに許された品格が到底、真似のできるものではないことを感じさせる…

これは今回ご紹介するお店の焼売について、鬼平犯科帳で有名な小説家・池波正太郎が残した言葉です。食通としても有名だった文豪が絶賛したこの焼売は、見た目にも普通の焼売とはちょっと違うところがあって、巷では「黄色いしゅうまい」と呼ばれて親しまれています…

一芳亭|かつて著名小説家が愛し、今も1日8000個売り上げる名物・焼売のお味はいかに?

そのお店・華風料理 一芳亭(いっぽうてい)は、昭和8年(1933年)から大阪・ミナミに店を構える老舗の中華料理店。ある日の夕方5時過ぎにお店を訪ねると、すでに何組かのおじさん達がワイシャツ姿で一杯やっていました。

建物の2階にある客席には、2人〜4人掛けのテーブル席で30人弱くらいの席があるでしょうか。その半分くらいには「予約席」の札が置いてあって、次々とおじさん達が来店しては、ビールを注文していきます。どうやら、かつて文豪に愛されたこのお店、今は仕事帰りのおじさん達の聖地になっている模様です。

一芳亭本店店内

お酒好きにはたまらない一芳亭の中華料理…お食事は黄色いしゅうまいを軸にした定食メニューがおすすめ

その理由は、お店のメニューを見て何となくわかりました。生中、焼酎、チューハイ、紹興酒、ウイスキー…A4サイズのメニューの半分くらいを使って、ズラッとお酒が並んでいます。料理の方も麻婆豆腐のような「食べる」中華料理は少なく、しゅうまいの他にもチャーシュー、豚天、きも照焼き(鶏の肝、砂ずり、玉ねぎを照り焼きにする料理)といった、お酒のおつまみになりそうな単品料理が中心です。

とは言っても、一芳亭で普通の食事ができないわけではありません。別に自慢のしゅうまいを軸にした定食メニューも用意されていているので、しゅうまいを食べつつお腹を満たしたい場合には定食がおすすめです。

一芳亭の定食メニュー(値段は税込)

  • しゅうまい定食 800円
  • 春巻定食 900円
  • きも照り定食 950円
  • えび天定食 950円
  • 豚天定食 950円
  • 肉だんご定食 950円
  • 酢豚定食 1050円
  • 八宝菜定食 1050円

しゅうまい:お持ち帰り可能な一芳亭の大ヒット商品…池波正太郎の書き残した言葉の真意は?

さて、今回のターゲット・しゅうまい(お値段 330円/5個)ですが、その人目を引く黄色い皮の正体はお手製の薄焼き卵。戦後の小麦粉が手に入らなかった時代に代用品として卵を使ったのが、今でもそのまま残っているのだとか。

これが今の時代にも愛されて、なんと1日平均7000〜8000個も売れてしまう大ヒット商品に。お持ち帰りもOKでほぼ毎日完売してしまうようなので、しゅうまいを食べたければイートイン・テイクアウトを問わず早めの時間の訪店が望まれます。

その大人気のしゅうまいは…

一芳亭本店の黄色いしゅうまい

小ぶりで一口サイズ。小さな子供でもパクッと食べられそうな大きさです。

一芳亭本店の黄色いしゅうまい実食

早速、実食…卵でできた皮は薄皮一枚程度の薄さ。ここまで薄く卵焼きを作るのも、それなりの技術がいるんじゃないかと思います。表面は軽くざらついていて、小麦粉で作られたツルンとした皮よりも醤油だれをよく絡めとってくれそうです。

この黄色い皮からこんもりとせり出した具の方は、豚のミンチに淡路産玉ねぎ、えびを味付けして片栗粉でつないだもの。見た目は普通ですが、口の中に入れるとそのふわっとした感触にまず驚きます。そして口の中で具を潰すと、具のきめ細かさが舌の上で感じられるとともに、豚肉の旨味と玉ねぎの自然な甘さが優しく口いっぱいに広がっていきます。

これは確かに、そう簡単には作れない焼売です。正直、池波正太郎の食レポを読むだけでは何が何だかわかりませんでしたが、実際食べてみると「その通り!」とうなずいてしまいます。家族全員で食べられる味なので、近くを通ったらテイクアウトで買って帰るのもおすすめです。

若鶏の唐揚げ|骨付き肉はやっぱり違う…シンプルな味付けで意外にあっさり、肉をダイレクトに味わう一品

そしてもう1品、やっぱりあると頼んでしまう若鶏の唐揚げ(大:お値段 1250円)。こちらも一般的な鶏の唐揚げとは違って…

一芳亭本店の若鶏の唐揚げ

ケンタッキーフライドチキンのような骨付きスタイルで出てきます。肉がしっかりついている部分や肋骨の部分、骨ばかりの部分が一緒くた。この一皿で、おそらく鶏0.5羽くらいでしょうか。

一芳亭本店の若鶏の唐揚げ実食

ただ、衣をつけずに軽く醤油で味付けして素揚げしているので、揚げ油でベタついたところが一切なくかなりあっさり食べられます。皮の部分なんかはパリッとした食感が楽しめて、唐揚げではなくてグリルしたんではないか?と思うほど。一瞬、バンコクで食べたニッタヤガイヤーンのガイヤーンを思い起こしました。

肉は骨の部分が一番うまいとよく言われますが、両手で持って骨にしゃぶりつくのはやっぱり快感です。行儀は悪いですが、こういうところでは人間の動物的な部分を思いっきりさらけ出していいんだと思います。醤油では味付けが足りないという場合は、一緒に出てくる塩コショウのスパイスをどうぞ。この味付けの鶏唐揚げも、やっぱり快感です。

一芳亭本店の若鶏の唐揚げスパイス

今は仕事帰りのおじさん達の聖地…一芳亭本店へのアクセスは、最寄り駅の南海電鉄・なんば駅から徒歩2分

それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…

一芳亭本店

一芳亭本店 [star rate=”4.5″]
住所:大阪府大阪市浪速区難波2丁目6-22
電話番号:06-6641-8381
営業時間:11:00-20:00
定休日:日曜日、祝日
駐車場:なし
クレジットカード払い:不可(現金払いのみ)

一芳亭本店へは、近鉄線の大阪難波駅からでも徒歩10分程度で行けます。

また、大阪のビジネス街・本町駅からすぐのところにも支店が営業しています。

一芳亭船場店
住所:大阪府大阪市中央区船場中央1-4 船場センタービル2号館B2
電話番号:06-6263-1146
営業時間:ランチ 11:00-15:00、ディナー 17:00-21:00
定休日:日曜日、祝日

ちなみに船場店の方は喫煙可としている関係からか、18歳未満は入店できない様子です。ご注意ください。

This entry was posted in フード, 大阪, 日本
大堀 僚介

学生時代からバックパッカーとして、主に東南アジア諸国を歩きまわる。これまでの訪問国数は20カ国以上。現在も出張を口実に国内外へ旅行して、ローカルフードを食べ歩くのを趣味としている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です