神戸で餃子と言えば味噌だれが有名ですが、その味噌だれの発祥となったのが神戸の中華街・南京町にある元祖ぎょうざ苑というお店。戦後の昭和26年に創業し、現在まで3代続いている中華街の老舗では、昔と変わらない味の秘伝の味噌だれを一子相伝で守り続けているのだとか。
そんな由緒ある味噌だれ餃子を試してみたくなって、ある週末の午後に南京町に向かったのですが…
通常は朝の開店前から行列ができると評判の元祖ぎょうざ苑、この日はランチタイム後に到着したせいか、ラッキーなことに待ち時間なく入店できました。客席は入り口近くにカウンター席が4脚と、奥側に4人がけテーブル席が7卓。いかにも中華料理店らしい真っ赤なお店の壁には、所狭しと有名人のサイン色紙がズラッと並んでいます。
超高級ブランド牛「神戸ビーフ」入り!元祖ぎょうざ苑自慢の「極み餃子」4つのスタイルを食べ比べてみた
その元祖ぎょうざ苑の提供する餃子は、僕たちが普段口にする餃子とは違う満州式の餃子。満州とは中国東北部に位置する、第二次対戦中に多くの日本人が住んでいたところですね。元祖ぎょうざ苑ではこの満州スタイルを頑なに守っていて、日本人好みのものでも現地の習慣にないものは取り入れていません。
例えばラー油。日本人は酢醤油にラー油を加えて餃子を食べるのが好きですが、現地にはラー油を使う習慣がないそうです。あとはにんにくを餡に加えるという習慣もないようで、極み餃子の餡にはにんにくが入っていません。
とは言え、お店は日本式餃子が好きな人のこともちゃんと考えてくれていて、卓上の調味料の中におろしニンニクと粉唐辛子が置いてあります。あなたのお好みでこれらの調味料を使ってタレをカスタマイズできるので、そこはご安心を。
それでは、極み餃子の4つのスタイル、焼き餃子・水餃子・揚げ餃子・スープ餃子の4種類を食べ比べしてみましょう…
焼き餃子(6個 税別430円)
トップバッターはお馴染みの焼き餃子。画像はこちら…
画像で伝わりますかね?1つ1つゴロンと横たわった餃子の皮は分厚くて、市販の餃子にはないブリッとした肉厚感みたいなものが感じられます。大きさも一般的な餃子くらいのサイズがあって、結構食べ応えもありそうです。
中を割ってみると、餡はこんな感じ。この餡の中に、超高級ブランド牛の神戸ビーフが9.1%の割合で配合されています。9.1%という微妙な配合率がこの餃子のキモで、牛肉感を目立たせ過ぎずに肉の旨みを最大限に引き出す黄金率みたいなものになっています。メニューに「隠し味は神戸ビーフ」というキャッチコピーが書いてあるのですが、この数字をみるとそれもなるほど頷けます。
これを秘伝の味噌だれあるいは酢醤油で味付けしていただくのですが、実はこの時の僕は味噌だれの使い方を全く知らずに少し残念な結果を招くことになったんですよね。元祖ぎょうざ苑では味噌だれに醤油と酢、ニンニクを足して味をカスタマイズすることをおすすめしているのですが、僕はそれを知らずに味噌だれ単品で餃子を食すことに…このブログを書いている今でも、ちょっとだけですが後悔しているんです。
ですが、味噌だれ単品でもその破壊力は凄まじかったです。滑らかになるまで引き伸ばされた合わせ味噌に胡麻のコク、そして若干の辛味を足した秘伝の味噌だれで餃子を食すと、モチモチの皮を突き破って中から出てくる肉の旨みと味噌だれの濃厚な味、そして餃子を焼いた時に使ったピーナッツ油の香ばしさが三位一体となって、口の中にどっと押し寄せてくる感じ。今までこのブログでミスターギョーザや餃子歩兵など味噌だれ餃子のお店をご紹介してきましたが、これらのお店の餃子はどちらかというと日本的な繊細な味。旨味の破壊力という視点で言えば、それらの餃子とは天と地ほどの差があります。
いやいや、これなら確かににんにくは要りません。そして味噌だれにほんのり辛味がついていますし、ピーナッツ油も香ばしいので、ラー油も必要ありません。これが満州式餃子。日本式の餃子とは似て全く非なるものですね。「満州に味噌はないじゃん!」という細かいツッコミは置いといて、美味いものには素直に美味いと言っておきます。
水餃子(6個 税別430円)
続いて登場するのが水餃子。日本で餃子と言えば焼き餃子を指すのが普通ですが、中国で餃子と言えば水餃子のこと。なので満州式餃子を語る上では、この水餃子は絶対に外せません…
熱湯で茹でられて皮にプルプル感が現れた水餃子。中国では水餃子と焼き餃子それぞれで別の餃子を使うことが多いですが、元祖ぎょうざ苑では4種類の餃子すべて同じ餃子を使っています。
で、こいつを秘伝の味噌だれにつけて口に放り込んでみると…日本式餃子の2〜3倍はあろうかという皮がプルプルもちもちで、焼き餃子以上に皮の食感が楽しめます。そして中からは肉の旨みがどっと押し寄せ、秘伝の味噌だれと合わさって極上の味へと昇華。焼き餃子の香ばしさはありませんが、皮のプルプルもちもち度は水餃子の方が断然上。皮の厚い満州式餃子を食べるなら、やはり水餃子が最強なのかもしれません。
揚げ餃子(5個 税別430円)
3番目に登場するのは揚げ餃子。日本でも居酒屋メニューでお馴染みのやつです。画像はこちら…
全体がきつね色に色づいたこの揚げ餃子は、今までとは一転して岩塩で味付けして食べることを店員さんから勧められます。
その店員さんのアドバイスにしたがって、ピンク色の岩塩をつけて口に放り込むと…最初に訪れた感覚が皮表面についた小麦粉のざらつき感。油で揚がってはいますが、油切りが完璧なので油っこさは全くありません。どちらかというとドライな感じで、プルプル度満点の水餃子とのギャップがとても面白いです。
中からは相変わらずの圧倒的な肉の旨味が…でも味噌だれではなく岩塩で食すと、この肉の旨味もかなりさっぱりと感じられるから不思議です。旨味のインパクトで言えば焼き餃子や水餃子には敵いませんが、ビールと合わせるならこれが最強でしょう。
スープ餃子(5個 税別650円)
そして満を辞して最後の登場、スープ餃子。これだけ他の3種類からお値段がポンと上がって、一皿税別650円なり…
卵スープに浸かった餃子が5個。水餃子と同様、見た目に皮がプルプルしています。
鶏ガラ醤油味にほんのり辛味がついたスープにと一緒に食す水餃子。これもまた、味噌だれをつけて旨味増幅の水餃子と一味違って、水餃子そのものの味を楽しめるような形になっています。皮のプルプルもちもち感と中の肉汁をじっくり味わえるスープ餃子、ちょっとお腹が調子悪い時なんかでもスイスイ食べられるのではないでしょうか。
以上、元祖ぎょうざ苑で食べられる4種類の満州餃子をご紹介しました。どれもとても個性的で優劣つけがたいのですが、この中からあえて1番を選ぶとすると水餃子ですかね。これと秘伝の味噌だれがあれば、大袈裟ですが100個くらいペロリといけちゃう気すらします。
ジャジャ麺:満州の餃子屋には必ずあるという定番メニュー…さて、そのお味は?
そしてこの日の〆に注文したのが、こちらのジャジャ麺(お値段 税別650円)。満州地方では餃子屋に必ずあるという定番メニュー。日本では盛岡のじゃじゃ麺が有名ですね。
こいつを混ぜ混ぜして、ピリ辛肉味噌だれを全体にまんべんなく行き渡らせていただきます…
麺はきしめんのような平打ち麺で、もちもちを少し通り過ぎてややクタっとなったくらいの茹で加減。日本のラーメンファンからすると「何これ?」と思うかもしれませんが、中国で麺を食べたことがある人にとっては「おおっ、これこれ!」と思うのではないでしょうか。
これとは対照的に、キャベツともやしがシャキシャキで気持ちいいんですよね。辛味噌だれも比較的薄めの味付けになっていて、しつこさを感じず最後までスイスイいけちゃいます。シメとして食べるのにちょうど良い一品です。
そのジャジャ麺ですが、平日のランチタイムなら焼き餃子とセットでちょっとお得な値段で食べられます。この時間帯に来店できるなら、餃子とジャジャ麺のランチセットは狙い目です。
通販やお持ち帰りにも対応!元祖ぎょうざ苑へのアクセスは、最寄り駅のJR神戸線(阪神電鉄)・元町駅から徒歩3分
今回ご紹介した元祖ぎょうざ苑の神戸ビーフ入り極み餃子は、楽天通販やお持ち帰りにも対応しています。まだ満州餃子を食べたことがない餃子好きのあなた、これを機会に一度試してみてはいかがでしょうか?
それでは、お店の詳細です…
元町の1駅隣の三宮駅からも徒歩10分で行けます。ちなみに神戸ビーフが入っていない神戸っ子餃子や野菜餃子なら、ふるさと納税で手に入れることも可能です…
P.S. 兵庫で美味しい中華料理をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
P.P.S. 日本式の餃子の方がお好みなら、安くて美味いこのお店がおすすめです…
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