奈良県随一のラーメン激戦区・富雄で、一味違った2種類のつけ麺を武器に奈良県の人気ラーメン店ランキングにのし上がってきたアノラーメン製作所。古着屋のバイヤー等をしていた大畑・斉藤両氏が製麺学校で技術を学んだ後2014年5月に開業。パイナップルとカニという、他店ではお目にかかれない2種類のつけ麺を開発して、関西のラヲタからの注目を集めているお店です。
その注目度満点の2種類のつけ麺を食べ比べしようと思い、奈良に用事があった帰りに富雄で途中下車。とある週末の夕方6時頃にお店に到着したのですが…
行列ゼロでラッキー!と思ったのも束の間…富雄のつけ麺専門店・アノラーメン製作所はこんなお店
アノラーメン製作所に到着すると、意外も意外、店頭に行列がなかったんです。富雄でも屈指の人気店に待ち時間なしで入れるなんて、なんとラッキーなことか…
と勝手に思い込んで、入り口の扉をガラッと開けて入店します。店内には厨房を囲うように、L字型のカウンター席が11脚。ぱっと見、そのうち2〜3席は空席状態のように見えました。
と、一瞬気持ちが高揚maxになったんですよね。でも次の瞬間、店員さんの一言でその気持ちが一気に冷めてしまいました。
こんな感じで、アノラーメン製作所には、客席の隣にお客さん用の待機室があるんです。この時で待機室で待っていたお客さんは11人。つまり僕は、この時行列の12番目だったというわけです。この時点から僕が本当に入店できるまでの待ち時間は約25分。つけ麺専門店で11人待ちであれば、平均的な待ち時間の長さでしょうか。
ちなみに、僕がつけ麺を食べ終わってお店を出るときには、店外にも10人くらいの行列ができていました。まあ、外で並んだ後に中でも待たなきゃいけないのを知ってショックを受けるよりはマシですけどね…
パインとカニのオリジナリティあふれる2種類のつけ麺…アノラーメン製作所に来たら、あなたはどちらを選びますか?
そんなアノラーメン製作所のメニューですが…
こんな感じ。メインはパイナップルと魚出汁をベースにしたPine Soupのつけ麺と、カニと豚骨をベースにしたKani Soupのつけ麺の2種類。まずはどちらのスープにするかを選択し、続いて麺の量をSingle 150g、Double 300g、Triple 450gの3種類から選びます。
お値段はスープではなく麺の量にリンクされていて、シングル850円(税込)を基準としてダブル、トリプルと麺を増量していくごとに150円ずつ追加になります。あとはオプションでトッピング増量が4種類。チャーシュー300円、メンマ150円、玉子100円、豆苗100円といずれも良心的な価格です。
さて、Pine SoupとKani Soup、あなたならどちらを選びますか?メニューから受ける印象ではKani Soupの方が濃厚なイメージがありますよね。でも、もう1つのPine Soupは今ひとつ味のイメージが湧きづらい…一体どんな味のスープなんだろう?
というわけで、今回僕はPine Soupツケメンから注文することにしました。まあ、今回食べ比べが目的なので、後でKani Soupツケメンも食べるんですけどね…
Pine Soupツケメン:一見不自然なスープと麺の組み合わせ。でも逆転の発想で思い直すと、このつけ麺の真の魅力がはっきりと…
注文を済ませてから待つこと約10分、アノラーメン製作所のメインの1つ、Pine Soupツケメン(Single)が着丼となりました。画像はこちら…
麺が入った楕円形の器に、ティーカップを大きくしたようなスープの器…あなたももうピンときたかもしれませんが、あのラーメン屋さんが提供するつけ麺にそっくりですよね?その直感は後のKani Soupツケメンのときに確信へと変わるのですが、それはまた少し後の話…
では、まずスープからいただいてみましょう…スープはサラッとしていますが、味は結構しっかり出してますね。特にパイナップルの酸味が強めで、醤油の塩味と一緒になってかなり強めに舌を刺激します。魚介の出汁も感じることができますが、こちらは比較的あっさり目。そのあっさり魚介出汁の不足を補うかのように、スープには軽く青さのりが振られていて、その独特な磯の香りで鼻が刺激されて次の一口が欲しくなる…という感じ。
過去にお目にかかったことのない斬新な組み合わせのスープなので、言葉で詳しく味を説明するのが難しいのですが、僕の第一印象としては「美味い」というより「不思議な味」という印象でした。
一方、これに対する麺は全粒粉入りの中太平打ち麺。やや加水率が高めで表面はツルツル、しっかりコシがあって、噛むとふわっと香ばしく、最後にはすっきりとした喉越しが楽しめます。
ただ、この麺とスープの絡みはあまり良くないんですよね…そりゃそうですよ。サラッとしたスープに、加水率高めのツルツル麺ですから。麺を思いっきりスープに浸しても、麺に少しスープの味がつくだけで、味付けとしてのスープの役割を十分に果たしていないんじゃないか?とすら感じられます。
でも、ここで僕は考えました。もしこのつけ麺が、あえてそのように作られているのだとしたら?わざとスープの味を感じさせないように設計されているのだとしたら…もしかしたら、このPine Soupツケメンは「麺をしっかり味わってほしい」という意図で開発されたのではないだろうか?
そう考えると、それまで不自然に思っていたことがスーッと腑に落ちたのです。「まずい」とは言わないまでも、不思議系な味付けのパイン入り醤油魚介スープ…そのまま何も考えずに完食してしまっていたら、きっと今でもPine Soupツケメンの真の魅力に気づかないままだっただろうと思います。
スープの意外性に目が行きがちだけれど、Pine Soupツケメンの本当の主役は麺。これからアノラーメン製作所でこのつけ麺をオーダーする人には、ぜひこのことを念頭に置いて注文してほしいと思います。そうすれば、この特殊な一杯に対して全く違った食後感をを味わうことができるでしょう。
Kani Soupツケメン:カニと豚骨って合うの?いやいや、合うどころか親和性が高すぎて…
そして、Pine Soupツケメンを食べ切った頃にタイミング良く着丼となったKani Soupツケメン。こちらも麺量はSingleですが、やっぱりチャーシュー好きには外せないチャーシュー増量をオプションでつけています…
この盛り付けを見て、先ほどの直感は確信に変わりました。アノラーメン製作所の2種類のつけ麺は、食べログで全国1位をとったこともある俺のラーメンあっぱれ屋のスーパーつけ麺のオマージュです。
さて、こちらのスープは見た目通りの濃厚豚骨味。スーパーつけ麺よりも豚骨は濃厚で、かなりワイルドな印象があります。そのスープにカニの香りが見事に溶け込んで、慣れ親しんだ味の中に一味違った個性をしっかりアピールしています。
僕と同じく、もしかしたらあなたも「豚骨と蟹って合うの?」と思っているかもしれません。心配ご無用。合います。いや、合いすぎです。「濃厚豚骨スープにありがちな臭みがそのままカニの風味に置き換わった」と言えばいいかなぁ。本当に違和感なくて驚きです。
Kani Soupはとろみのついた濃厚豚骨スープですから、表面ツルツルの平打ち麺にもしっかり絡みます。ツルツルもちもちの全粒粉麺に、豚骨の旨味とかにの香り…やっぱり、Pine Soupよりこちらの方が味がわかりやすくて一般ウケしそうです。これに加えて…
ブラックペッパーが効いた分厚いレアチャーシュー10枚。見た目が神々しいだけでなく、レアチャーシュー独特のしっとり感と、ぎゅっと詰まった肉の旨味を堪能させてくれる幸せアイテム。たったの300円プラスでこのレアチャーシューを満喫できるのですから、胃袋のスペースが許す限りチャーシュー増量はマストと言ってもいいでしょうね。
そして最後にスープ割。昆布を感じる和風だしで濃厚豚骨カニスープをお好みの濃度に引き伸ばし、最後の一滴まで残さず回収します。このスープ割がまた美味い。あっぱれ屋のつけ麺スープと同じく、スープ単品でメニューに乗せてもいいくらい。
でも、ここで僕は1つ重大な事実に気づいたんです。Pine Soupの時にはスープ割がなかったと。あれっ?と思って後でネットで調べてみると、「Pine soupでスープ割を楽しんだ」という口コミが複数…どうやら、この日の僕は運が悪かったようですな。
橿原神宮前に第二製作所が…アノラーメン製作所へのアクセスは、最寄り駅の近鉄奈良線・富雄駅から徒歩2分
そんなアノラーメン製作所、2019年から奈良県橿原市で2号店・アノラーメン第二製作所を運営しています。よりラーメン熱が高い大阪の都心部ではなく、奈良県の古都・橿原を選ぶところに奈良県愛を感じずにはいられません。第二製作所には本店で食べられないチーズ風味の洋風つけ麺がありますので、ラーメン・つけ麺に新しい味を追い求めている人はぜひ一度橿原まで足を運んでみてください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
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