前回の秋田訪問で食べた本家あべやの究極の親子丼が忘れられなくて、今回の秋田訪問でも絶対に比内地鶏の親子丼を食べようと思っていたんですよね。で、訪問前にネットリサーチをして見つけたお店が、今回ご紹介する秋田比内地鶏や。このお店でも比内地鶏を使った親子丼を提供していて、食べログの口コミを見ても評価は上々。心の中で期待感を高めながら、ある日のお昼過ぎにお店に向かったのですが…
店頭にあるメニューを見て、あっさりと親子丼からターゲットが変わってしまいました。親子丼に代わる新しいターゲットは、秋田の郷土料理であるきりたんぽ鍋。ターゲットが変わったので理由は2つ。1つ目は、本格的なきりたんぽ鍋はそう簡単に食べられないこと(秋田県北部の大館市が本場なので)。2つ目の理由は、9月がきりたんぽ鍋の絶好のシーズンだからです…
秋田の郷土料理が一通り揃う…秋田比内地鶏やはこんなお店
「9月がきりたんぽ鍋の絶好のシーズン」と聞いて、あなたは「えっ?」と思いませんでした?夏が過ぎたばかりの9月が鍋のシーズンって、普通に考えると不思議な話ですが、この話は本当です。その理由は後で説明するとして、まずはお店の紹介から始めましょうか…
秋田比内地鶏やは、JR秋田駅直結の商業施設・トピコ(Topico)3階にある小さなレストラン街にあります。同じフロアには稲庭うどんの名店・八代目佐藤養助や十文字ラーメンの人気店・林泉堂も支店を出店していて、秋田の代表的な食べ物を気軽に食べられる、食いしん坊旅行者にとってありがたいフロアになっています。
そんな中でも、秋田比内地鶏やは秋田県各地の郷土料理をまんべんなくメニューに揃える万能型のお店。実際にメニューを見てみると…
- 田沢湖冷麺 800円
- はたはた寿司 500円
- いぶりがっこ 380円
- 森岳じゅんさい 380円
- 男鹿ぎばさ 380円
といった感じで(値段は税込)、稲庭うどん以外の主な郷土料理はここに来れば食べられると言っても過言ではないかもしれません。店内に席数は全部で50人分くらいはあるでしょうか。奥に広く客席スペースが取られていて、大きなキャリーバッグを引いていても、小さな子供を連れていても、きっと他のお客さんの迷惑にならずに落ち着いて食事できると思います。ただ、店内に空席がちらほらあるのに記名帳に名前を書かないと入店できないシステムはちょっと謎でしたが…
きりたんぽ鍋:鍋のシーズンに食す秋田の伝統的鍋料理…さて、そのお味はいかに?
それでは、この日の僕が秋田比内地鶏やで注文したきりたんぽ鍋(お値段 税込2000円)をご紹介…といく前に、なぜ9月が「きりたんぽ鍋の絶好のシーズン」と言ったのか、まずはその理由を説明しましょうか。
秋田では毎年9月の中旬から10月初めにかけて、家族親戚や友人知人同士で屋外きりたんぽ鍋をする風習があるのです(「なべっこ」と呼びます)。この2〜3週間ほどの間に、大人は忘年会のようになべっこをハシゴして回り、子供は学校の年間行事に組み込まれるなべっこ遠足で大人の力を借りずに鍋を作り…そんな感じなので、秋田限定ではありますが、9月はやっぱり鍋のシーズンであるわけです。
さて、講釈はこのくらいにして、肝心のきりたんぽ鍋をご紹介しましょうか。鍋が出てくるまで注文してから30分くらいかかったのですが、とりあえず忘れられてなくて良かった…
1人前の鉄鍋に短めのきりたんぽが全部で5本。その他の具材は、舞茸、ネギ、糸蒟蒻、比内地鶏、セリとザ・定番の組み合わせです。
まぁ、きりたんぽそれ自体は別に美味しい食べ物ではないんですよ。あくまでお米を固めて火で炙っただけの保存食ですから。実際に食べた人の中には「まずい」という人も多くいますし、僕もその感想については否定しません。
でも、鶏と野菜からの出汁を含んだあっさり醤油スープで少しクタッとなって崩れたくらいのきりたんぽの食感は、他の食べ物に例えられない独特な感覚で結構クセになるんですよね。表面はスープでとろっとなっていながらも、芯はしっかりとした歯応えを残し、大小不同のダマになったきりたんぽがスープの味を口の中に広げながら、物理的に口の粘膜を刺激して…鍋の〆で食べる雑炊とは全然食感の違う、鍋の1具材としてのきりたんぽ。食べている最中は「う〜ん、微妙…」と感じても、しばらく経ったらまた恋しくなってくるような不思議な食べ物です。
ただ、鍋全体的には鶏肉が少なくて「これで2000円は高いな…」というのが率直な感想です。お隣さんで食べた1600円の比内地鶏うどんの方が、3倍くらい肉大きかったですからねぇ。鶏肉や野菜からの出汁感もちょっと物足りなくて、もう少し頑張ってほしいなぁ…というところ。まぁ、きりたんぽ鍋を駅前でカジュアルに体験できるという意味では、あって嬉しいお店ではあります。
秋田滞在の最後の1食にどうですか?秋田比内地鶏やは、JR奥羽本線・秋田駅直結の商業施設トピコ(Topico)3階にあり
こんな感じの秋田比内地鶏や、新幹線や飛行機で秋田を離れる前の最後の一食に訪れてみてはいかがでしょう?注文してから配膳までちょっと時間はかかりますが、時間があるときはカフェ代わりにしてゆっくり過ごせます。実際食べてみてきりたんぽ鍋を気に入ったら、トピコ2階にある販売店でお土産・贈答用のきりたんぽ鍋セットを簡単に買って帰れますしね…
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
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