店の奥まで一直線に延びるカウンターを境に、時間の流れが異なった2つの空間がありました。
一方では2人の料理人がせわしなく動き、他方では僕を含めた10人のお客さんが無言で目の前の一品に全神経を集中。一品目の茶碗蒸しを片手に取り、じっくりと繊細な出汁を味わっています…
味の風にしむら|奈良県外にも名声が伝わる和食の名店…昼夜各10名限定なので、予約はお早めに
味の風にしむらは、奈良県中部の桜井市にある日本料理屋。昼と夜、それぞれ10名限定で提供されるコース料理を求めて、奈良県だけでなく大阪、三重、愛知などからもわざわざ足を運ぶ人がいるようです。
この日の夜、僕が頼んだ10,000円(+税)のコースは、魚料理を中心とした全9品。どれも日本酒によく合う味付けで、カウンター下の冷蔵庫には有名無名問わず数多くの一升瓶が保存されています。
実はこういうお店、僕にとってはかなり滞在がしんどいのです。というのは、僕の中に「ブログネタを探しに来ている時にはアルコールを口にしない」という鉄の掟があるからです。
お酒を頼みたくなる衝動を抑えながらウーロン茶をちびちび傾ける僕をよそに、他のお客さんは料理とともにお酒もどんどん進んでいきます。数品食べ終わった頃には酔いもまわってか、お客さんも饒舌になって大将との会話が始まります。すると大将は冷蔵庫から一升瓶を取り出して…
「これ、秘密のお酒なんですけどね…」
もう、ブログ抜きでもう一度にしむらに来なければなりません。やっぱり料理とお酒を合わせないと、にしむらの料理の真価はわかりっこないのではないか…そう自分にとって都合の良い言い訳を作って、いつかまたリベンジで再訪することを心に誓ったのでした。
他のお客さんの中にも、「次この日に来たいんだけど、予約取れる?」と、その日のうちに次の予約を取って帰る人もいました。2時間の滞在時間中も予約の電話がひっきりなし。そんな所なので、にしむらを訪れる際には早めの予約が必須です。
味の風にしむら:2019年某月の夜のコースメニュー
それでは、この日にいただいた夜のコース(10,000円+税)全9品を、画像つきでご紹介します…
1品目:いくらを乗せた茶碗蒸し
何も具材の入っていない茶碗蒸しの上にいくらがトッピング。そのシンプルさが見た目にも美しく、どことなく日の丸を連想させます。
薄味で上品な出汁の茶碗蒸しに、いくらの塩味が加わることで絶妙な塩加減に。茶碗蒸しの繊細な舌触りとプチプチしたいくらの食感のコントラストも心地よいです。
2品目:胡麻豆腐と松茸と白髪海老のお吸い物
器を取った時に立ち込める爽やかな柚子の香りが、出汁の上質なクオリティーを予感させます。プリプリの海老とねっとりした胡麻豆腐、そしてシャキシャキ感満点の松茸…味覚的には淡白なこれらの食材を、やや濃い目の醤油出汁がまとめています。
3品目:明石の鯛とハリイカの造り
ハリイカは生のままの身の部分と、と軽く火で炙ったゲソの2種類。鯛の身は昆布で締めてあります。鯛の白身は昆布に水分を吸われて食感が変化し、さらに昆布の 旨味が加わったことで味わいが深くなっています。わさび醤油も良いですが、つけ合わせの天然塩でいただくと、昆布の風味がより前面に引き出されます。
4品目:うなぎの白焼き
これは口に入れた瞬間、完全にやられました。皮目の脂が焦げて香ばしくなっていて、それが鼻から脳天へ一気に突き抜けていきました。パリッとした皮目の食感と絶妙の塩加減…全コース中最も印象に残った一品です。
5品目:鰆のたたき
鰆の皮目を香ばしく焼き、室温で冷ましてごまポン酢だれをかけたもの。淡白な鰆に合わせたごまポン酢も比較的さっぱりしていて、コース中盤での箸休め的な存在。
6品目:はもの白焼き
うなぎの白焼きとかぶりますが、こちらは肉厚のはもを十分に堪能できる一品。上にかかったソースは尾張醤油に銀杏を合わせたもので、醤油に銀杏のデンプンが溶け出して自然なとろみがつくのだとか。
7品目:がんもどき
大人のゲンコツ大のがんもどき。見た目は中身の詰まったコロッケのようですが、実際はかなりふわふわです。中身はさつまいもやゴボウなどの根菜で、自然な甘味と優しい出汁が身体全体にしみわたります。
8品目:お食事
釜で炊いたふっくらご飯にちりめん山椒をのせたもの。味噌汁と漬物つき。ご飯はおかわり自由でした。
9品目:デザート
冷たいイチジクと栗の実を裏ごししたもの。
味の風にしむらへのアクセスは、最寄り駅の近鉄大阪線・桜井駅より徒歩9分
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. 奈良県で美味しい和食をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
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