秋田伝統の郷土料理と言えば稲庭うどんにきりたんぽ、しょっつる鍋…と思い浮かぶものはいくつかありますが、実は蕎麦にも長い歴史と伝統があるのをご存知ですか?
その長い歴史と伝統がある蕎麦とは、文政元年(1818年)から200年以上も続く西馬音内そば。農家の七男として生まれた金 弥助(こん やすけ)が、当時大阪で盛んだった「砂場」系統のそばを秋田に持ち帰ったのがその始まり。その弥助が考案した「冷やがけそば」が旅人たちの間で評判となって、弥助が店を開いた西馬音内町は西馬音内そばの産地として全国にその名が知られるようになりました。
さて、その西馬音内そばの総本山である弥助そばや(やすけそばや)は現在も六代目がお店を切り盛りしているのですが、後継者不足を理由に事業が(株)ドリームリンクに譲渡され、2019年7月からJR秋田駅前で弥助そば 秋田総本店として再出発することとなりました。後継者不足による事業譲渡は大変残念な話ですが、これで元祖・西馬音内そばを食べるためにわざわざ羽後町まで行かなくて良くなりましたね…
元祖・冷やがけそばの味と看板をしっかり継承…弥助そば 秋田総本店はこんなお店
弥助そば 秋田総本店は、初代の金 弥助から数えて七代目にあたる店主が運営する秋田駅前の蕎麦屋さん。このお店をオープンするにあたって、七代目店主は羽後町の弥助そばやで修行を積んだそうな。金 弥助の血筋を引く六代目にしっかり認められての新事業ですから、そのお店の看板や味にケチをつける理由はどこにもありません。六代目のお店がまだ営業を続けている中ではありますが、「元祖・冷やがけそばを食べてきた!」と自信満々に語ってもらって大丈夫です。
店内には田舎の古い木造建築のようなレトロな雰囲気があって、お店に滞在しているだけで「秋田に来たんだなぁ…」という旅行気分にさせてくれます。食べログによると、弥助そば 秋田総本店の総席数は42席。テーブル席の他に座敷席も個室もあるので、お一人様から子供連れまで様々な用途に対応可能。駅前にこんな使い勝手の良さげなお店があるって、旅行者にとってはホント助かりますよね…
新事業になってメニューが強化された弥助そば 秋田総本店は「郷土料理が手軽に食べられる」お店としての側面も…
そんな弥助そば 秋田総本店のメニューですが、蕎麦だけでも温冷合わせて20種類以上あって、注文時に僕たちの頭を思いっきり悩ませてくれます。中にはトンカツをトッピングしたかつそばや、讃岐うどんを意識したと思われるぶっかけそばといった創作系のメニューがあって、今回は元祖・冷やがけそば一択で来店している僕もついつい浮気したくなっちゃいます。
蕎麦一杯でお腹が満たされないような時も、丼物や一品料理との定食メニューでガッツリ栄養補給可能。というか、かつそば定食やそば・天丼定食なんか、かつそばや天丼を単品で注文するのと同じ値段じゃないですか…もはやサービス価格を通り越して、お店の利益度外視的な価格設定になっています。「えっ、本当にこの値段でいいの?」と心の中で思っちゃいました。
また、弥助そば 秋田総本店は秋田郷土料理の店としての一面も持っていて、ギバサやいぶりがっこ、ハタハタ寿司などの注文も可能。お酒のメニューもありますし、「手頃な料金で秋田の郷土料理を食べられる店」をお探しなら、JR秋田駅周辺ではこのお店が一番便利かもしれません。
弥助そば 秋田総本店のメニュー例(値段は税込)
- とろろ 900円
- かき揚げ 1200円
- 天婦羅 並 1200円〜
- 一日限定五食 サラダ定食 950円
- かつそば定食 1000円
- かき揚げ丼 1200円
- 海老天丼(特上) 2000円
創業文政元年 元祖冷がけ蕎麦:弥助そばやの六代目から引き継いだ西馬音内そばの元祖の味、実際試してみてどうだったかというと…
それでは弥助そば 秋田総本店の看板メニュー・創業文政元年 元祖冷がけ蕎麦(お値段 税込680円)のご紹介といきましょう。画像はこちら…
見た目は本当にシンプルで、刻みネギを乗せただけのザ・かけそば(実は中に小さなかまぼこが1枚入っていますが)。でも、このお蕎麦、本当にすごいんですよ。一口目に感じたインパクトは、今までに僕が食べてきたそばの中でもダントツでした。
というのは、蕎麦のコシがめちゃくちゃ強いんです。普通の蕎麦と同じくらいの細麺なのに、港屋2に代表される今流行りのラー油そばの太麺を明らかに上回る強烈なコシ…しかも、蕎麦の香りも強いんですよ。僕、夜寝る前の〆として食べに来たのに、一瞬で頭がシャキッとなっちゃいました。
その強烈なコシの秘訣は、つなぎで使っている布海苔(海藻)にあるらしいです。弥助が大阪から秋田に戻る途中に新潟で出会った「つなぎに布海苔を用いる」というアイデア…きっとこの布海苔が蕎麦の香りを増幅させるのにも役立っているんでしょうね。でも残念ながら、この布海苔の効果は温麺にすると薄れてしまうそうな。やっぱり「西馬音内そばを食べるなら冷やがけで…」ということなんでしょう。
これに対するおつゆの方は、昆布と鰹節でとった出汁に味醂を加えた甘口タイプ。このおつゆも冷たくシャキッとしていて、蕎麦とは違った物理的刺激を与えてくれます。一方で、味の方はしっかり出汁感がありながらも雑味がなくて、何というかすごい透明感があるんですよね。秋田の水が良いからなんでしょうか?僕、ジュースを飲むようにしてこのおつゆを最後までごくごく飲んじゃいました。
という感じで、羽後町の弥助そばやから引き継いだ元祖・冷やがけそば、期待を遥かに超えて楽しめました。何でこの西馬音内そばが全国的にまだ無名なのか?本当に不思議に思います。コシの強さなんかはまさに今の時代に求められているように感じるんですけどね…全国の麺好きの方、秋田に行ったらぜひ一度元祖・ひやがけそばを試してみてください!
今後、ぜひ大阪に事業展開を…弥助そば 秋田総本店へのアクセスは、最寄り駅のJR奥羽本線・秋田駅から徒歩1分
率直に言って、弥助そばの作る元祖・冷やがけそばは、今や全国区の食べ物となった讃岐うどんに匹敵するポテンシャルを秘めていると僕は思います。お酒を呑んだ後の〆の冷やがけそばなんか、最高だと思いますけどね…ぜひ全国の皆さんに一度試してもらいたいです。
特に弥助そばのルーツは大阪にあるので、もし今後県外に事業展開することがあれば、大阪にはぜひ出店してほしいですね。お店の関係者の方、この記事を読んでくれていたら、大阪への出店を本気で考えていただけませんか?
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
弥助そば 秋田総本店 (そば(蕎麦) / 秋田駅)
夜総合点★★★★★ 5.0
住所:〒010-0874 秋田県秋田市千秋久保田町4−5 秋田駅前ビル 1F
電話番号:018-801-1212
営業時間:ランチ 11:00-14:30、ディナー 17:00-22:30(木曜日は21:00閉店、日・祝は11:00-17:00)
定休日:無休
駐車場:なし
クレジットカード払い:可(PayPayにも対応)
P.S. 実はこれらのお店も弥助そば 秋田総本店の系列店なんです…
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