食べログのとんかつ百名店で全国第2位となったとんかつ成蔵(なりくら)というお店があります。希少価値の高い豚肉を使用し、じっくりと低温で揚げる「白いとんかつ」で有名で、東京だけでなく近隣の神奈川、埼玉、千葉などからもお客さんがやってくるのだとか。
その「白いとんかつ」、珍し物好きの僕も当然興味があったんですよね。で、この前東京に行くチャンスがあって、ここぞ!とばかりに予定を調整してとんかつ成蔵に行ってきたんですが…
とんかつ成蔵は完全予約制:ネット予約で手数料が別途発生するので注意!
とんかつ成蔵は、東京の都心部からちょっと離れた住宅街にあります。以前は山手線沿線の高田馬場で営業していましたが、その店をお弟子さんに譲ってご主人が新たに今の場所にお店を構えました。
その新しいお店は完全予約制。予約はネット予約のみで、OMAKASEという名のサイトから行わなければなりません。毎月25日と10日の正午に月の前半・後半の予約枠がオープンになるので、予約したい日から逆算してOMAKASEを訪問する必要があります。その他、予約にあたっていろいろと注意書きがあるので、予約の際には必ず最後まで目を通すようにしましょう。
予約にはOMAKASEの会員登録が必要なので、予約日に先立ってアカウントを作っておくのがおすすめです。予約にはクレジットカード番号が必要で、当日の注文とは別で予約手数料(1席あたり390円)が発生するので、そこも注意が必要です。
とんかつ定食:ロース、ヒレ、バラ肉を使った6種類のメニューから2〜3種をお好みで…あなたは何を選びますか?
とんかつ成蔵の夜のメニューはとんかつ定食1品のみ。ただ、注文の仕方が他店とは少し違っていて、肉の部位や調理方法が違う6種類のメニューから、お好みに応じて2〜3品選ぶという形になっています。実際、どんなとんかつが注文できるか?というと…
ロース
- 特ロース(70g)
- リブロース(70g)
- ミルフィーユかつ(60g)
- チーズミルフィーユかつ(65g)
ヒレ
- シャ豚ブリアンかつ(70g)
バラ
- バラかつ(70g)
この6種類からどれを選んでも値段は一緒で、2品選んだ場合はお値段5000円、3品選んだ場合は6200円となります(いずれも税込)。ちなみに使われている肉は東京Xという、「超」がつくくらいの希少品種豚。仕入れ状況によっては新潟産の煌麦豚(きらむぎとん)や三重県産の愛農ナチュラルポークといった超希少品種のとんかつも楽しめます。
東京Xのバラかつ、リブロース、シャ豚ブリアン…白いとんかつって、本当に美味いのか?
それでは、とんかつ成蔵のとんかつ定食をご紹介。ちょっとしたコース形式になっていて、まずはお通しから運ばれてきます。
続いて、前菜として小鉢とピクルスが…
それらを箸でつまんでいると、とんかつ用の岩塩と柚子胡椒(これはバラかつ用)が運ばれてきて、とんかつの到着が近いことを知らせてくれます。
着席してから待つこと約20分、ご飯と豚汁に続いて、最初のとんかつが目の前に運ばれてきました…
バラかつ
最初のとんかつは、東京Xのバラ肉を使ったバラかつ。噂通り、衣はきつね色にいく手前の白色、中の肉はステーキで言うとミディアムくらいの熱加減でしょうか。
1品70gと聞くとボリュームが少ないように感じますが、こうして目の前にすると肉が結構分厚くて食べ応えがありそうです。
とんかつの味付けは、セロリなど香味野菜の香りがしっかりした濃厚ソース、またはピンク色の岩塩(+柚子胡椒)の基本2種類。これらを1切れごとに順に試していくわけですが、バラ肉だけあってとにかく脂がスゴイ…岩塩と柚子胡椒では脂を完全に中和できないほどで、脂好きにはたまらないでしょうが、しつこいと感じる人もいるかもしれません。僕はバラかつに対しては岩塩よりとんかつソースの方をおすすめしますが、普段からあっさり目が好きな人は他のカツを注文する方が良いでしょう。
リブロースかつ
続いて運ばれてきたのがリブロースかつ。前に大阪のとんかつマンジェで食べたのと同じ、東京Xのリブロース。こちらも2切れだけですが、ボリューム感はありますね…
とんかつマンジェのレアリブロースとは対照的に、こちらは7〜8割くらい熱が通っています。衣と同じく肉も熱で白くなっているので、見た目のインパクトはちょっと弱めでしょうか。
さすが東京Xのリブロース、熱が通っていても柔らかくでジューシーです。赤身と脂のバランスが良く、低温調理で衣が柔らかいのもあって、肉は厚めなのに結構パクパクいけちゃいます。こちらは岩塩、ソースどちらでもイケると思いますが、僕はどちらかというとソース派ですかね…
シャ豚ブリアンかつ
そして最後に出てきたシャ豚ブリアンかつ。とんかつ成蔵の代名詞とも言えるとんかつで、他のお客さんも必ずこれは注文に入れていましたね…
この画像で伝わりますか?かなりの分厚さです。かなりの大口を開ける必要がありそうで、一瞬京都にあるとんかつ清水のカツサンドを思い出しました。
さすがヒレ肉、めちゃくちゃ柔らかいです。スーッと噛み切れるし、中心ががレア状態なので純粋に上質な赤身肉の旨みを楽しめ、肉汁もじゅわーっと口の中に広がってきます。
正直言って、前に食べた2種類よりも美味さが際立ってますね。もしできるのであれば、次回は3種類すべてをシャ豚ブリアンにしたいなぁ…と思うくらいでした。味付けはソースでも良いのですが、僕は岩塩+ごま油をおすすめします。ヒレ肉に少ない脂分を補ってくれて、さらにごまの香ばしさが肉の旨みを一段高めてくれますよ。
こうして3種類のとんかつを食べきったら、最後にデザートが出て終了。入店から退店までちょうど1時間くらい。ゆったり静かに時間を過ごせるので、大事な人との食事などのシチュエーションで使うのもいいのではないでしょうか。
とんかつ成蔵を利用して感じた率直な感想
さて、とんかつ成蔵の白いとんかつ、実際どうだったか?というと…あくまで僕個人の感想にすぎませんが、正直思ったほどのインパクトはなかったですね。
確かに普通のとんかつと違うとは思います。白い衣はサクサク感を残しながらも柔らかく、衣がこんがり狐色になった普通のとんかつよりずっと食べやすいです。でも、それ以上に何があるか?と考えるとあとは見た目の違いくらいで、味の面で多少のプラスにはなるものの、普通のとんかつとの決定的な違いを生み出すようには思えませんでした。
逆にこのとんかつ定食を食べ終えて、正直言うと僕の気持ちは「残念だなぁ…」という感じだったんですね。というのは、高額な値段に見合ったサービスが得られていない気がしたからです。
予約時から振り返ってみると、とんかつ成蔵で食事をするために、お店側から少なからぬリクエストがありました。それらのリクエスト1つ1つは極めて常識的なものですし、僕も読んでいて「今までだいぶ苦労したんだなぁ…」と同情的に感じました。ただ、それらのリクエストは確実にお客さん側の心理的なストレスになるんです(特に初めて利用する場合は)。当たり前の内容のリクエストでも、「それを守らなきゃ…」という心理的な負担をお客さんにかけてしまうんですね。
一方、お店に滞在していた1時間ほど、お店側からお客さんに対して何かあったのか?というと…ごくごく普通にサービスを受けただけでした。これはサービスが悪いと言っているのはありません。料理も美味しいし、接客も悪くなく、「普通に」考えると何も問題ないのですが…予約時の数々のリクエスト、1人前5000円もする定食代、そして料理とは別に予約手数料がかかっていて、それでいてご主人もスタッフさんもあまりお客さんの方を向かず淡々と業務をこなしていて、そして高額な定食にも関わらずご飯一杯すら無料でおかわりできない(ご飯のおかわりに200円かかります)なんて、ちょっとあんまりだなぁ…というのが率直な気持ちです。
今回とんかつ成蔵で食べた東京Xの3種類のとんかつ(肉量 210g)で税込 6200円(+予約手数料 390円)。かたや、とんかつマンジェの東京Xリブロースが肉量 260gで税込 4900円。単純比較が好ましくないのは重々承知ですが、大阪では1500円も安い値段で(しかも50gも多く)同じ高級豚のとんかつを食べられるわけです。それを知っている人であれば、2店を並べて二者択一を迫った時にとんかつ成蔵を選ぶ人はまずいないと思いますよ。
お持ち帰り用のヒレカツサンドもあります!とんかつ成蔵へのアクセスは、最寄り駅の東京メトロ丸の内線・南阿佐ヶ谷駅から徒歩
さて、今回のとんかつ成蔵に対する僕の評価、かなり厳しいものになりました。ただ、これはあくまで僕個人の見解で、ここのとんかつに感激した人がたくさんいるのも事実。少なくとも味は確かなので、機会があればあなたもぜひ一度白いとんかつを試してみてください。
とんかつ成蔵では、お持ち帰り専用でヒレカツサンドも提供しています。お値段 1500円で、1人で2人分までテイクアウトできます。お店で食べるとんかつに満足したら、お土産や夜食用としてヒレカツサンドを買って帰るのもありですね。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. 東京で美味しい洋食をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
P.P.S. 実は、東京から遠く離れた秋田でも「白いとんかつ」を食べられるの、知ってました?
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