小さい頃に利用した大衆的な中華食堂が何となく恋しくなる時がありませんか?値段が安くてレトロな雰囲気で、ビールを片手にテレビを観れるところ…その上ご飯も美味いとなれば、常連として通いたくなってしまいますよね?あなたにとってそんな存在になれるかもしれないお店が、平安神宮の近くにあるのです…
上海家庭料理 七福家|メニューは総勢100種類!リーズナブルに好きなものが食べられる大衆中華料理の模範店
そのお店の名前は「上海家庭料理 七福家」と言います。東大路丸太町の交差点を、京都御所方面とは反対の東に向かって歩いてすぐのところにお店の看板が出ています。お店はそこから細い路地を南へ入ったところ。いかにも…な店構えがお客さんをお出迎えしています。
店内は右手にカウンター7席と、左手に10人くらい座れそうな座敷席。2階へ続く階段もありますが、宴会場かな…客席として使われているかどうか不明です。
雰囲気はいかにもひと昔前の中華屋さんという感じで、先客のおじさんはカウンターに腰掛けて、紹興酒のボトルを片手に料理をつまんでまったりと過ごしていました。これにプロ野球中継があれば完璧ですな。
こんな感じで居酒屋的な雰囲気もある七福家ですが、実はランチもやっていてネットではかなり好評です。チャンスがあれば、ぜひ一度利用してみてください。
定番からオリジナルまでフードメニューは約100種類!宴会用のコース料理もあり
では早速料理の注文…とテーブルのメニューを取り上げて眺めた僕はちょっと困りました。七福家のメニューはA4サイズの紙の表裏にビッシリと書かれていて、全部数えると100種類近くあるのです。加えてカウンター上のボードにもおすすめメニューが書いてあって、あまりの多さにどれを選ぶか迷ってしまったのです。
僕は大体の場合、店を訪れる前にネット検索をして、食べたいものを1つ決めてから訪店しています。この日のターゲットは、京都肉球という名の「豚肉の肩ロースげんこつ揚げの黒酢かけ」。まずこれは決定として、もう1〜2品何を頼もうかな…と考え込んでしまったわけです。
10分程度あれこれ迷った挙句、やっぱりご飯かな…ということで、蟹肉魚翅飯(フカヒレと蟹肉と干し貝柱あんかけチャーハン)を選んで一緒に注文。京都肉球が出来上がりまで少し時間がかかるとのことで、スマホでネットサーフィンをしながらのんびり料理の完成を待ちました。
蟹肉魚翅飯:中華ダシの効いたふわふわのメレンゲでインスタ映え…見た目だけでなく味も確か
注文してから20分ほど待ったでしょうか。お店の人が気を利かせてくれて、チャーハンも京都肉球と同時に出してくれました。
まずはこちらが、蟹肉魚翅飯(フカヒレと蟹肉と干し貝柱あんかけチャーハン)1250円…
チャーハンの上全体を覆う、ふわふわメレンゲ状の餡。インスタ映えしそうですし、これだけで食欲がそそられます。食べてみるとメレンゲにも中華だしの味がしっかりついていて、ただのお飾りではなくチャーハンの味の重要な役割を担うことがわかります。
メレンゲの下には、1粒1粒がパラパラにほぐれた炒めご飯。具材は春雨状のフカヒレにほぐれたカニ肉、そして卵。貝柱の存在には気づけませんでした。メレンゲに隠れて見えにくいのもありますが、フカヒレもカニ肉もたっぷりと入っているわけではありません。
でも、その程度でいいのかもしれません。このチャーハンの主役はメレンゲなのですから。チャーハンとほぼ同じくらいの体積を占めるメレンゲは、パラパラチャーハンの一粒一粒を中華だしの風味にコーティングしてしまいます。なので、口に入れた瞬間は舌上にふわっと感じ、その後からチャーハンのもちっとした食感が続きます。
そして時折、フカヒレにプツッと、あるいはカニ肉にくにゅっと歯があたり、その刺激を感じて脳が喜ぶ…その繰り返しでどんどんレンゲが進み、一気に完食してしまいました。
京都肉球:外はカリカリ、中はホクホク…仲間とシェアがふさわしい七福家の名物メニュー
そしてもう一品。こちらが七福家の名物とも言える「京都肉球(豚肉の肩ロースげんこつ揚げの黒酢かけ)」1500円…
真っ黒のソースの海からせり上がる肉塊…画像では伝わりにくいですが、軽く大人のげんこつくらいの大きさがあります。肉塊の外表はカリッカリに揚がっていて、一緒に出てきたスプーンやナイフでも肉を割るのに少し苦労します。
中を開けると、このように肉の中までしっかり熱が通っています。
外側がかなりかたく揚がっていて、おかきのような揚げ菓子を食べている感覚にも通じます。一方、肉の中はホクホクで柔らかく、外殻に守られて旨味が閉じ込められているので、肉汁をキープした豚肉のしっとりした食感も味わえます。
これにかかった黒酢ソースは、むせ返る酸臭とは裏腹に酸味は結構マイルドで、とろみがついているのでしっかりと豚肉にからみます。でも、こんなにたっぷりのソースはいらないかも…どちらかというと美味というより、インパクトが際立った一品ですね。最初はともかく後半単調になってくるので、一人で黙々と食べるよりは、数人でお酒でも飲みながらシェアするのに向いているような気がします。
こうしてお腹を満たして店を後にしたのですが、実は心に1つ引っかかるものがありました。メニューを見てすごく気になった一品があったのですが、今回注文しなかったのです。その一皿を食べるべく、暑さ厳しい夏の夜に七福家を再訪。さて、その一皿とは…
若鶏の唐揚げクミンピリ辛仕立て:独特の香りがエスニック気分を演出…冷たいビールとセットでどうぞ
その一皿は、孜然鶏と書かれた「若鶏の唐揚げクミンピリ辛仕立て(お値段980円)」。いくら僕が唐揚げ好きとはいえ、普通の唐揚げならこの一皿のために再訪するほど気を引かれなかったはず。でも「クミン」という単語に、僕の脳は鋭敏に反応してしまうのです…
バックパッカー時代、中国のタクラマカン砂漠を西へ向かってバス移動していた日々。日中の最高気温は47度…しかし次の町に着くまでは、ミネラルウォーターを買うことすらできません。
冷房の効かないバスの車内は蒸し暑く、しかし窓を開けると50度近い熱風が舞い込んで体力を削られるため、窓を閉め切った方がまだまし…干上がる寸前で次の町に到着し、力なくとぼとぼ歩いて安宿を探します。近場にあるホテルでチェックインを済ませ、荷物を整理したあと近くのバザールへ。食堂の席について、まずはビールを一杯。キンキンに冷えたビールで喉が潤った頃、クミンの香りが立ち込める焼きたてのシシカバブが運ばれてきます…そう、僕にとってクミンとは、若かりし頃の一人旅を鮮明に思い起こさせる強力なトリガーなのです。
そして、目の前に運ばれてきたクミン仕立ての唐揚げはこちら…
器から立ち込めるクミンの香りがたまりません。小さな鶏卵大の唐揚げが合計7個。上には唐辛子と刻みネギがまんべんなくかかっていて、安易に口に入れた者をはねつけるような威圧感も感じます。
では実食…衣はけっこう硬めで、唐辛子とともに中の肉を守っているかのようですが、さらに噛み進めていくと中からモモ肉の肉汁がじゅわーっと出てきます。口の中で一瞬にして広がるクミンの香りと、舌をビリビリ刺激するカプサイシン…そのまま食べると少し塩味が足りないので、一緒に小皿で出された塩をつけながら食べましょう。肉汁とスパイスが混ざったエスニックな味は、きっと冷たいビールを流し込みたい気持ちにさせてくれるでしょう…
京都における大衆中華料理の優良店・七福家へのアクセスは、最寄り駅の京阪電鉄・神宮丸太町駅から徒歩10分
それでは、店舗の詳細です。
京都市営地下鉄の東山駅からも徒歩14分と、歩いて行くことはできそうです。三条京阪駅からだとちょっと遠いので、京阪か地下鉄でもう一駅移動してからの方がいいでしょう。
P.S. 京都で美味しい中華料理をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄ってみてください…
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