江戸時代に秋田の湯沢で生まれ、現在日本三大うどんの一角に名前を連ねている稲庭うどん。かつて宮内省の御用達になり、時代の著名人にも愛されてきた伝統あるうどんは、今では山深い稲庭の総本店に行かなくても、秋田市内や東京の銀座、日比谷などで食べることができます。
八代目佐藤養助 秋田店は、県庁所在地・秋田市の中心部で長年営業を続けている、佐藤養助商店の系列店の中でも非常に重要なお店。秋田市民だけでなく、秋田を訪れる観光客に秋田の食文化を広める役割を担ってきたこのお店に、ある日の午後秋田駅に到着して真っ先に駆け込んだのですが…
アンテナショップも兼ねた大型店舗…八代目佐藤養助 秋田店はこんなお店
八代目佐藤養助 秋田店は、これまた秋田駅前で長らく営業を続けている西武デパート秋田店の地下1階にあります。食べログ情報では個室も含めて総席数76席と、デパートのテナントとしては比較的大きなお店になるでしょうか。平日のランチタイムを過ぎた時間帯ではありましたが、その大部分はお客さんで埋まっていました。
また、このお店は稲庭うどんを食べるだけでなく、アンテナショップの役割も同時に果たしています。レジ横やその前のスペースを広く使って、稲庭干饂飩をはじめとした佐藤養助商店の商品がズラリ…その品揃えも多岐にわたっていて、お土産コーナーを通り越して小さな売店といったレベルになっています。稲庭うどんを満喫した後はここで秋田土産を全部買ってしまうのも、時間が有意義に使えて賢い選択かもしれません。
創作メニューにも積極的にチャレンジする八代目佐藤養助。ただ、人気メニューのタイカレー二味セットは現在お休み中…
そんな八代目佐藤養助では温うどん、冷うどん、ぶっかけなど、さまざまなスタイルで伝統的な稲庭うどんを楽しめるのですが、今までに見たことがないような奇抜なアレンジにも積極的にチャレンジする、攻めの姿勢をもったお店でもあります。
その代表的なメニューが、秋田の若い女性に大人気というタイカレー二味セット。タイのレッドカレーとグリーンカレーをアレンジした2種類のお出汁で食べる稲庭うどんで、何年か前に秋田に遊びにきた時に僕も食べたことがあります。
今回もそのタイカレー二味セットを狙ってお店にやって来たんですが…残念ながら令和4年9月某日現在、タイカレー二味セットはお休みとのことでした。レッドカレーとグリーンカレーの稲庭うどんはそれぞれ単品であれば注文可なのですが、また次の機会に期待しましょうか…
八代目佐藤養助 秋田店の稲庭うどんメニュー(値段は税込)
l かけうどん 850円
l 二味せいろ 1000円
l なめこうどん 1100円
l レッドカレーつけうどん 1320円
l グリーンカレーつけうどん 1320円
l 海老天おろしうどん 1320円
l 二味天せいろ 1800円
温玉肉味噌つけうどん:濃厚な八丁味噌ダレで食す稲庭うどん…繊細ながらこってりつけダレにも負けない麺の存在感に驚く
タイカレー二味セットを逃してちょっと気落ちした僕が今回注文したのは、八代目佐藤養助 秋田店の9月のおすすめメニューにあがっていた温玉肉味噌つけうどん(お値段 税込1100円)。注文してから待つことおよそ10分、目の前に運ばれてきたうどんは…
こんな感じ。表面がツヤツヤしたうどんが綺麗に編み込まれていて、見た目に美しいですよね。一方の冷たいつけダレは一見黒々としてインパクトがありますが、器の中からミョウガの香りがふんわり漂ってきて、見た目に反して上品な印象を与えてくれます。
何回見ても、この綺麗なうどんの編み込みを崩すのはもったいなく感じますね。そんな気持ちを抑えつつ、まずは麺だけをすすります…繊細な口当たり、極細麺とは思えない強力なコシ、ツルッとした喉越しの良さ、どれも文句のつけようがありません。
この繊細なうどんを、黒いつけだれの中に投入してすすってみると…八丁味噌ベースの甘くて濃厚なつけだれと細かい鶏肉のミンチが麺にしっかり絡んで、口の中ではツルツル・ねっとり・ゴロゴロの3つの食感が渾然一体となる一方、八丁味噌とミョウガの香りが一体となってふんわり鼻を刺激します。で、こってり系のつけダレで食べるとうどんの存在感が薄れてしまうんじゃないか?と思いきや、全然そんなことはなくて、強力な麺のコシが濃厚だれのアピールに打ち勝って堂々主役の座をキープし続けます。
ある程度濃厚味噌ダレを堪能したら、後半は中央にある温泉卵を潰してタレとブレンドしましょう。濃厚な八丁味噌ダレが温泉卵でマイルドになって、食べ疲れを起こさずに最後まで食べられるようになります。
こうしてものの数分で温玉肉味噌つけうどんをあっさり完食。もちろん味には満足なのですが、食後に残ったつけダレでスープ割みたいなことができたらさらに魅力的なメニューになるんじゃないかなぁ(いや、ただ自分がそうしたかっただけなんですけどね…)。
それはさておき、長年の伝統を守りつつ、一方でこうした新メニューを開発して世に問うていくチャレンジ精神を兼ね備えた八代目佐藤養助、その姿勢にはホント頭が下がります。その姿勢があるからこそ、稲庭うどんが長い間ずっと生き残って来れたんだろうな…と感じました。
すぐ近くに駅直結のトピコ店もあります…八代目佐藤養助 秋田店へのアクセスは、最寄り駅のJR奥羽本線・秋田駅から徒歩4分
さて、実はJR秋田駅周辺には八代目佐藤養助のお店がもう1店舗あります。JR秋田駅直結の商業施設・トピコの3階にある八代目佐藤養助 トピコ店では、メニューは限られるものの、秋田店よりスピーディーかつカジュアルに伝統ある稲庭うどんをいただけます。
ファーストフード的にサッと食事を済ませたい時にはトピコ店、稲庭うどんの魅力をじっくり味わいたい時には秋田店…という感じで使い分けをするといいと思います。うどん好きのあなた、秋田に行くことがあったら稲庭うどんを食べずに帰ることがないよう、佐藤養助への訪店をしっかり予定に入れておきましょうね。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
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