京都のラーメン界では、現在「名前のないラーメン屋」というのが脚光を浴びています。本当に名前も看板もないラーメン屋ですが、秘密主義のお店ではないので、テレビや食べログなどでは店の場所やおすすめメニュー、口コミなど、多くの情報を見ることができます。
それらの情報を頼りにある日の夕方、木屋町三条にある「名前のないラーメン屋」を訪れました。このお店は最近京都で飛ぶ鳥を落とす勢いの麺や 高倉二条や和醸良麺すがりと同じ系列店。商業ビルの地下1階にあって、看板も何も出ていないし、行列もできていないので、初めて行くと「本当にここでいいの?」と迷ってしまうことでしょう。でも、路上でしばし躊躇していると、次々と慣れたお客さんが地下に降りて行き、お店の扉を開けていきます…
名前のないラーメン屋|看板も何もない究極の隠れ家…ラーメンだけでなく滞在時間すべてをおしゃれに演出
扉を開けると、なかはコンクリート打ちっ放しのスペースを明るくアレンジし、緑も添えたモダンな空間。ヒップホップ系など流行りの音楽が流れ、奥の厨房では普通にラフな格好をした若者3人が店を切り盛りしています。
こんなラーメン屋らしからぬ空間に、客席はカウンターに12席のみ。もっと客席を設置できるほど十分なスペースがあるのですが、この店はその半分以上を空間の演出に使っています。
そして厨房の反対側の奥にお客さん用の待機スペースがあるのですが(店外に行列ができない理由はこれです)…一段低い位置から厨房や客席を見上げるようなポジションでベンチが置いてあるのです。待ち時間は舞台を見るかのように厨房を眺め、順番が来たら舞台に上がってメインキャストを演じる…何ともニクい演出じゃないですか。
自動券売機を使った注文方法:3つの種類からあなた好みでラーメンをカスタマイズ
名前のないラーメン屋では、店後方の自動券売機を使って、お好みのラーメンをカスタマイズする形で注文を行います。カスタマイズは以下の3ステップで完了です…
ステップ1:ラーメンのスタイルを選択
まず最初の画面では、「らーめん」、「つけめん」、「カレーつけめん」の3種類のメニューの中から1つを選びます。注文するラーメンのスタイルを決める感じですね。今回は普通の「らーめん」を選択。
ステップ2:スープの濃度を選択
次の画面では、ラーメンスープの濃度を3種類の中から選択します。あっさり系から順に…
- 鶏もも肉のみから抽出した「淡麗」
- 濃厚スープと淡麗スープをバランスよくブレンドした「重層」
- 鶏ガラをじっくり煮込んだ「濃厚」
となっており、今回は「重層」を選択。
ステップ3:麺の量とトッピングを選択
最後の画面で、麺の量とトッピングを選択します。麺の量は「並」と「大盛(+100円)のどちらかを、トッピングは「もつ」、「チャーシュー」、「黒毛和牛」の3種類から選べます。この組み合わせ次第で値段が決まりますが、黒毛和牛を選ばなければ1000円以下で収まります。ここは「チャーシュー、大盛」を選択。出てきた食券をカウンターで提示して、あとはひたすら出来上がりを待つのみです。
重層らーめん|鶏と魚介の出汁がバランスよく配合された濃厚なスープ
さて、初回の訪店で僕がカスタマイズした「重層らーめん大盛・チャーシュー乗せ」が、席について10分ほどで完成した様子です…
ぱっと見、大盛ではありますがボリュームは少なめの印象です。麺に黒っぽい粒々が練り込まれていますが、これは粉砕したごぼうのようです。この上にネギやプチトマトなどの野菜と、ピンク色に色づいたチャーシューが2枚。白濁したスープとチャーシューやプチトマトの赤、野菜の緑のコントラストが見事です。
では実食…といきたいところですが、箸はどこでしょうか?ラーメンだけでなく、お店の空間全体を意識して作られた「名前のないラーメン屋」。美的な印象を損なうためか、カウンターの上に余計なものは何も置かれていないのです。
では、その箸や調味料などの必要物品はどこにあるのかというと…カウンターの下が引き出しになっていて、ここに箸や爪楊枝、調味料などが一式収められているのです。スタイリッシュですね。
引き出しから箸を取り出して、念願の実食…スープは鶏一色ではなく、魚介系の出汁もしっかりと効かせた濃厚かつバランスのとれた出汁ですね。少しだけ舌にザラつきを感じるのは、魚粉が入っているからでしょうか?
一方の麺は高加水の中太ストレート。小麦の香りもさることながら、もちもちした食感とツルツルとした喉越しの良さが心地よい麺です。
ここに先ほどの味変アイテム…調味料は一味、七味、山椒、ガラムマサラの4種類。銀色の細長い入れ物に収められていて、シャープペンシルのように頭のボタンをノックすると適量がふりかけられるようになっています。
半分ほど食べ終えたところで、器の中に山椒を振りかけ味変トライ。岸本柳蔵老舗でハマったラーメンと山椒の組み合わせ…濃厚な鶏+魚介のスープにも、粉山椒はバッチリはまります。鶏と魚介の濃厚なスープにスーッと爽やかな山椒の風味が加わり、味が引き締まって箸が加速。ボリュームが少ないのもありますが一気に完食し、十分満足して帰路につきました。
大型台風が日本を直撃…お客さんが少ない日を狙って濃厚スープのもつ入りつけめんを食す
名前のないラーメン屋への2回目の訪店は、大型の台風が西日本に上陸した大荒れ模様の日。こういう日は確実にお客さんが少なくなって、いくら美味しいと評判の行列店でも待ち時間が短くなるので、僕はあえてそんな日を狙って人気店に行くことがよくあります。
案の定、店に着くと中にはお客さんが2人だけ。しかも、すでに食べ終わっている様子で、僕の注文がすぐに通りそうな感じがありました。
問題は何を注文するか…前回注文した重層スープとラーメンはやめておこう。となるとつけめんかカレーつけめんで、スープは淡麗か濃厚どちらか。カレーつけめんはこの前高倉二条で食べたし…系列店では食べられないという淡麗スープに魅かれるけど、つけ麺で薄めのスープって何となくインパクト足りないな。うーん…と迷った挙句、淡麗スープは今回あきらめて、今回は濃厚スープのつけめんにすることにしました。麺2.5玉、もつのトッピングでお値段はちょうど1000円なり。
食券をカウンターに出して、5分ほどでつけ麺が完成しました…
高倉二条と同じくストウブの器で熱せられた白濁スープに、バーナーで炙ったもつが浮かんでいます。この他、白菜の芯の部分がスープに入っていて、知らずに食べていた僕は麺の中に紛れ込んでいた白菜を噛んで「おっ?」と意表を突かれました。
スープは重層スープと同じように魚介の風味が強い鶏スープ。ややスープのざらつきは重層スープより強く感じましたが、濃厚スープになってそれほど強烈にこってりしたわけではありません。これはこれで、そのままスープとして飲める濃厚さですが、麺を食べ終わったらお湯を足してスープ割りを楽しむこともできます。
麺は喉越しの良さが相変わらずの、高加水の中太ストレート麺。濃厚スープをしっかりすくい上げて口元まで運んでくれます。
そしてバーナーで炙ったもつ。ぷるっとした脂身の表面が焦げて香ばしく、クセになるもつの風味が一層際立っています。濃厚スープの出汁の強さにも負けない存在感があり、何個でも食べたくなってしまいます。個人的にはチャーシューよりこちらの方が断然好きですね。
お店の案内がなくても存在感抜群…名前のないラーメン屋へのアクセスは、最寄り駅の京都市営地下鉄・京都市役所前駅から徒歩2分
それでは、お店の詳細です。
名前のないラーメン屋 (ラーメン / 三条駅、京都市役所前駅、三条京阪駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0
住所:〒604-8005 京都府京都市中京区恵比須町534−31 木屋町ビル B1 CEO
電話番号:非公表
営業時間:11:30-14:50 LO、18:00-21:50 LO(土日祝日は20:50ラストオーダー)
定休日:年末年始(12/31-1/3)
駐車場:なし
クレジットカード払い:不可(食券制)
三条京阪駅からも三条大橋を渡って徒歩5分とアクセス良好。京都駅方面からの行き方は、京都市営バスの5番系統・岩倉操車場前行きに乗って河原町三条バス停で下車、徒歩2分です。
P.S. 京都で美味しいラーメンをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄ってみてください…
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