JR大阪駅周辺で美味しい大阪風お好み焼きのお店といったら、まず候補に上がるのが新梅田食堂街というディープな場所にあるお好み焼き きじ本店。1954年創業という大阪でも老舗のお店なのですが、大阪では当然のように人気ランキングの常連、ミシュランのビブグルマンに選ばれた経歴があり、東京の丸の内や品川にも店舗を出店、さらにはお店の監修で日清食品からお好み焼き粉が販売されるなど大活躍。もはや大阪を代表するお好み焼き屋と言っても過言ではありません。
そのきじ本店にはモダン焼きという名物があって、ある時ふとモダン焼きを食べたくなって、その日の夕方に気まぐれ訪店。ある程度の混雑と待ち時間を覚悟してお店に向かったのですが…
新型コロナの影響で行列に並べなくなった…お好み焼き きじ本店はこんなお店
とある平日の夕方18:30頃、新梅田食道街にあるお好み焼き きじ本店に久しぶりに来てみると、意外も意外、行列ができてなかったんですよね。ちょっと…どころではなく、かなり驚きました。何せ、僕はこのお店の前に長蛇の行列ができていた記憶しかなかったものですから…
でも、これにはちょっと複雑な理由がありました。決してきじ本店の人気が衰えたわけではありません。下の画像をご覧ください…
店頭にある立て看板に「近況のコロナ禍に付き、『営業中』と『開店前』の店頭での、お並び等はご遠慮お願い下さいませ」と書かれています。つまり、お店の前で入店待ちをすること自体許されなくなったんです。行列に並ぶことすら許されなくなったきじ本店、お店に無事入店できるかどうかは完全に運次第になってしまいました。お店に来て空席があればそのまま入店、満席であれば時間を改めてまた来なければいけない。ある意味、入店へのハードルがすごく上がってしまった気がするのですが、そう思うのは僕だけでしょうか?
でも、この日の僕は本当にラッキーでした。訪店時にお店奥の1卓がたまたま空いていて、お客さんの間を縫うようにして3人がけのテーブル席に座りました。
お好み焼き きじ本店の店内にはカウンター席が5脚とテーブル席が4卓。食べログ情報では総席数が23席とありますが、実際にはそれよりはお店が小さめな印象です。雰囲気は正真正銘・ガード下のお店という感じ。かつてのテレビ番組の人気コーナー「きたなシュラン」の資格が十分にありそうな年季の入った店内には電車が通過する騒音がガンガン響き、店員さんの中にはアジア人のお姉さんと思わしき人がいて、ディープな雰囲気が好きな人にはたまらない環境が整っています。
お好み焼き きじ本店のメニュー:オーソドックスだけどお財布に優しい値段設定…英語・中国語メニューがあって外国人旅行客にも親切
それでは、ここらでお好み焼き きじ本店のメニューをご紹介しましょう…
フードメニューはこれが全てで、お好み焼き専門店としてはメニューはかなり少なめに感じます。ポテトコーンやえびポテトといった少し変化球的なメニューもありますが、全体的にはメニューはオーソドックスで、新しい味覚を求める人にとっては少し寂しく感じるかもしれません。
でも、このご時世で全てのメニューのお値段が1000円以下(税別ですが…)というのは、とってもありがたいですよね。このお値段なら中高生でも食べることができますし、最近のB級グルメ業界に漂う高級志向に対抗して、昔ながらの味と値段を頑なに守っている…というオーラみたいなものが感じられます。また、最近は新型コロナの影響で激減中ですが、英語メニューや中国語メニューがあって、外国人にも親切なお店です。こんな感じで、至る所にさりげない優しさが感じられるのもきじ本店の1つの特徴ではないかと思います。
もだん大:きじ本店のモダン焼きは他店とはちょっと違う。どこが違うのかというと…
そんなお好み焼き きじ本店の名物と言われているのが、大阪でモダン焼きと呼ばれる中華そば入りのお好み焼き。でも、きじ本店のモダン焼きは他店のものとはちょっと違います。どこが違うのかというと…
こちらが今回僕が注文したもだん大(お値段 930円+税)。この画像では分かりにくいと思いますが、普通のそば入りお好み焼きに見えて、実は小麦粉を使った生地がありません。中華そばは表面を薄焼き玉子で包まれていて、どちらかというと焼きそばを薄焼き玉子で包んだオムそばに近いです。
断面はこんな感じ。豚肉やイカなどの具材がところどころにありますが、断面のほぼ全体が中華麺になっています。
中華そば入りのお好み焼きといえば広島焼きを思い浮かべますが、きじ本店のもだんは広島焼きのようにそばをパリパリに焼くのではなく、麺のもちもち感をそのまま残した焼き加減になっています。味付けのソースは甘口かつほんのりフルーティーで、小さな子供でも食べられそうな優しい味。でも、その外をコーティングしている薄焼き玉子によって「ただの焼きそばではない」独自の食感がもたらされ、さらに上にかかったマヨネーズと青さのりが口の中で存在感を放って「やっぱりお好み焼きを食べてるのかな…」という感じにさせられます。
そしてもう1つ、画像では伝わりにくいと思いますが、このもだん大、ボリュームもしっかりあります。多分、軽く中華麺2玉分はあるんじゃないでしょうか。これ1つでも十分お腹いっぱいになれる量。1人で食べ切るのももちろんありですが、2〜3人でシェアするのもおすすめです。
豚玉:これぞ大阪風お好み焼きの標準メニュー…でも、きじ本店のものにはあるものが入っていて…
さて、この日の僕の胃袋は絶好調。ボリューム満点のもだん大を食べ切っても、まだまだ胃袋が満足する気配を見せません。そんな状況で今回追加注文したのが、大阪風お好み焼きの標準メニューである豚玉(お値段 680円+税)。追加注文してから約10分後、目の前の鉄板に焼きたての豚玉が運ばれてきました…
表面にまんべんなくソースが塗られ、その上に適量のマヨネーズと青さのりをアドオン。ソースの下に隠れてしまっていますが、端っこのお焦げのように表面がかなり香ばしく焼かれているのが推察できます。
断面はこんな感じ。厚さはゆうに1cmはあるでしょうか。もだんと違って小麦粉の生地がしっかり含まれているのが分かります。しかも中は半熟状態で、ふわふわ食感も楽しめそう…
そんな期待を胸に抱きながら実食…いや、ふわふわというより、サクッとした食感ですね。表面は豚肉がカリカリで香ばしく、中の生地には小麦粉の他に刻みネギ、紅しょうが、キャベツなどのみじん切りが。サクサク食感の正体はキャベツでしょうか?このサクサク感は、どことなく山芋ステーキに近いような印象もあります。そして、全ての具材が細かいみじん切りになっているので、とっても食べやすいです。
ここにもだんと同じ甘口フルーティーなお好み焼きソースがたっぷり…これを「まずい」なんて言えるわけがありません。でも、きじ本店の豚玉で一番驚いたのは別のところにあります。この豚玉、表面の豚肉の下に大葉が敷いてあって、そいつが口の中で思いっきり爽やかな香りを放つんです。
お好み焼きと大葉の組み合わせはホントにヤバい…お好み焼きに大葉といえば、数年前に3Dお好み焼きと大葉の組み合わせでブレイクした広島のミシュラン獲得店・電光石火というお好み焼き専門店がありますが、そこよりもずっと前にきじ本店ではお好み焼きと大葉の組み合わせを取り入れていたわけです。しかも、大葉を刻まずに1枚どーん!と敷いているためか、大葉の香りのインパクトはこちらの方が断然上!
もし目の前に両方のお好み焼きがあって、どちらかを食べられるとしたら…もちろん、お好み焼きを立体的に焼き上げる3Dお好み焼きを開発した業績は認めますが、僕なら迷わずきじ本店の豚玉を選ぶでしょうね。優しい味ながら、ものすごい香りのインパクト。そして今時大阪のど真ん中で1枚たった680円(税別)という衝撃のコスパ…そりゃあ、ミシュランにも選ばれますよ。きじ本店の豚玉、ホントにおすすめです。
ちなみに、今回僕が注文したもだんや豚玉を含めて、きじ本店のお好み焼きメニューはお持ち帰りが可能です。お店に足を運んでも空席が見つからない…といった場合には、テイクアウトにすると早めにお好み焼きにありつけるかもしれません。ぜひ一度試してみてください。
梅田スカイビルに支店あり!お好み焼き きじ本店へのアクセスは、最寄り駅の阪急電鉄・大阪梅田駅から徒歩2分
こんな感じの梅田の名店・お好み焼き きじ本店は、外国人観光客に人気の梅田スカイビル地下1階の滝見小路内で支店を開いています。新梅田食道街の本店とは定休日が違うので、本店が休みの日には梅田スカイビルの支店でミシュランが認めたお好み焼きを楽しむのがいいと思います。JR大阪駅周辺でお好み焼きを食べたくなったら、このお店の存在をお忘れなく!
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
お好み焼 きじ 本店 (お好み焼き / 梅田駅、大阪駅、大阪梅田駅(阪急))
夜総合点★★★★★ 5.0
住所:〒530-0017 大阪府大阪市北区角田町9−20 新梅田 食堂街
電話番号:06-6361-5804(予約不可)
営業時間:11:30-21:00
定休日:日曜日
駐車場:なし
クレジットカード払い:不可(PayPayには対応)
P.S. 大阪で美味しい和食をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
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