東京・渋谷にかつお食堂という名の鰹節ご飯専門店があります。今や「かつおちゃん」の愛称で有名になった店主の永松真依さんがバーの間借り営業から始めたお店で、2017年の創業以来鰹節丼一本で勝負をかけて、2019年に今の場所にある新店舗へ移転、ついにはミシュラン2022のビブグルマンを獲得。永松さんの生き方ストーリーも含めて、話題性は抜群です。
そのかつお食堂で朝食を食べたいなぁ…と思い、用事で東京に泊まった朝に山手線で渋谷駅へ。気合を入れて開店時間の1時間前からお店に並ぼうとしたのですが…
さすがの朝人気店、待ち時間1時間は当たり前…できれば開店30分前には来店するのが吉
とある冬の日曜日の朝8時。Googleマップを頼りにお店に到着したときには、周りにほぼ誰もいませんでしたね。お店があるのは、渋谷区の繁華街から南に離れた閑静な住宅街。たまに地元の人が通行するくらいで、人っ気がほとんどありません。
どうやら、今回はちょっと気合が空回りしたようです。ネットの口コミで「開店の1時間前くらいから並び始める」みたいなことが書いてあって、1巡目を確保するために頑張ってやって来たのですが…止む無しですな。寒い中、自動販売機で温かい缶コーヒーを買って時間を潰します。
そんな静かな通りにも、開店30分前くらいからポツポツと人が集まりだします。僕の後ろに1人、また1人とお客さんが並びだして、開店時間には20人ほどの行列になったでしょうか。さすが超人気店ですね。
さて、この開店時間の20人待ち、どう思いますか?「人気店なんだから、それくらい普通でしょ!」って思う人もいるかもしれません。
確かに普通の感覚ではそうなのですが、かつお食堂の場合は事情が違います。というのは、店内の客席はカウンターの8席のみ。その上、永松さんが自ら鰹節を削ったりする時間があって、結構お客さんの回転が遅いんです。
実際、この日一番乗りの僕がお店を退出するまで30分以上かかりました(ちなみに僕、食べるのかなり早いです)から、単純計算すると開店時間と同時にお店に到着したら3巡目確定で、かつ待ち時間が約1時間半という、なかなか過酷で笑えない状況になっているわけです。
開店時間でこの状況ですから、ちょっと出遅れてしまうと2〜3時間待ちも十分射程範囲内…ということで、その日1日を無駄にしないためにも、やはり開店時間の30分前には来店しておくのがおすすめです。
かつお食堂のメニューは一汁一飯ただ1つ…注文後に永松さんの熱いプレゼンが始まります
そんなかつお食堂のメニューは、かつお節ご飯と味噌汁がセットになった「一汁一飯(お値段 税込1100円)ただ1つ。他に選択肢がないわけですが、味変アイテムとしていくつかのサイドメニューが用意してあり、オプションで追加することで一味違った鰹節丼を楽しむことができます。
ちなみに、この日の味変用サイドメニューはこんな感じ…
- だしとろろ 400円
- 鰹節バター 100円
- 生卵 100円
- わさび 200円
この日の僕は、一汁一飯にだしとろろをつけることにしました(本当はFacebookで告知していただし玉子を狙っていたんですが、なかった…)。お値段は税込で1500円。朝食としてはなかなかの金額になりました。
お客さん全員の注文が終わると、永松さんの鰹節に対する熱いプレゼンテーションが始まります。鰹節の作り方に始まり、鰹節の産地(ちなみにこの日の鰹節は鹿児島県指宿市産)や職人さん、漁師さん、道具職人さんなど…鰹節に関わるあらゆる人が話に登場するのですが、鰹節職人さんの子供の名前まで出てきたのには少し面食らいましたね。美人で通っている女性店主なのであまり目立ちませんが、普通に考えたら少し暑苦しいくらいの鰹節への熱量を感じます。
一汁一飯:1杯の鰹節ご飯で食べ方いろいろ…どう食べ進めるか、それが問題だ
プレゼンテーションが終わるや否や、永松さんは一汁一飯用の鰹節を自ら削りにかかります。実際には機械で削っているものとmixですが、削られた花かつおをご飯茶碗の上にこんもり乗せて、一汁一飯の完成です…
僕はオプションでだしとろろをつけたので少し豪華ですが、デフォルトだと本当に鰹節ご飯とかつおダシの味噌汁しか出てこない、シンプル極まりないカツオ定食とでも言いましょうか。美味しい鰹節を使うだけで秘伝のレシピも何もない、ど真ん中直球勝負のかつおめし。自宅でいくらでもアレンジできそうなメニューですが、そんな鰹節料理にみんな喜んで1000円以上払う理由はどこにあるのでしょう?
そんなことを考えながら、では実食…となるのですが、実はこのあと僕は2〜3分フリーズしてしまいます。フリーズの理由は、このカツオごはんの食べ方。かつお食堂では下の画像のように4段階に分けて食べることを推奨しているのですが…
これに加えて「追い鰹」というサービスがあり、後半に鰹節の追加トッピングをしてくれるのです。この鰹節も、前半は本枯節、後半は荒節と種類が変わるので、単純計算で2×4の8通りの食べ方があるわけです。これをたった1杯のご飯で全て堪能するには…どう考えてもご飯の量が足りません(有料でご飯のおかわりもできるのですが、この時なぜか「おかわり」の4文字が僕の頭になかったのです)。
とはいえ、まずは花かつおをそのまま食べるところから始めるしかありません。実は僕、京都の節道というお店で鰹節ご飯を食べたことがあるのですが、味違いますね。まろやかで雑味のない、上品な香りと味の指宿産本枯節。思ったほど香りがガツンと来ませんね。優しく味覚と嗅覚を刺激して、眠った脳をゆっくり起こしてくれる感じ。
しかも、口の中にパサパサと乾いた感覚が残らず、いくら食べても普通にパクパクいけちゃいますね。これは削り方の差なんでしょうか?勝手なイメージですが、男性の方が分厚く削りそうな気がするし…
で、花鰹を食べ進めると、中のご飯に鰹のふりかけがかかっているのが見えてきます。これと一緒に食べれば鰹風味増強ですが、僕はまず本枯節そのものの味を十分に堪能するのをおすすめします。
味変アイテムその1、塩味以外にも複雑な味のある淡路島産の天然塩。塩気が舌の軽い刺激になるとともに、「スイカに塩」の原理で本枯節の味も一層引き立つような気がします。僕が本枯節で試したのはここまで。
そして半分くらいご飯を残しておいて追い鰹。ご飯だけでなく、味噌汁にも追い鰹をしてくれるのは嬉しいですよね。こうして直接比較するとわかりますが、荒節は本枯節より少し風味は落ちますね(それでも十分美味いのですが)。なので、出汁醤油以降の味変は追い鰹の後にいろいろ試すのがいいのではないでしょうか。
ここに出汁醤油を混ぜただしとろろをオン・ザ・ライス。とろろ芋のとろとろ感と鰹節の香りがダブルで気持ちいい〜。毎日でも食べたい、最高の鰹節ご飯ですね。卵かけご飯にしてもきっと最高だと思います。これを食べた後は、きっと自宅でも鰹節が食べたくなると思いますよ。
香水はNG!かつお食堂へのアクセスは、最寄り駅のJR山手線・渋谷駅から徒歩9分
そんなかつお食堂を訪れるにあたり、1つ大切な注意事項があります。それは「香水NG」というルールがあること。
香水に限らずですが、匂いを発するものを店内に持ち込むと、せっかくの鰹節の香りが台無しです。みんなが気持ちよく食事できるように、かつお食堂を利用するときには匂いのことも少し気にしてみてください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
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