今、京都で一番美味いとんかつ屋と評判の、下立売通にある空蝉亭(からせみてい)というお店。2018年4月にオープンして今年で創業5年目という新しいお店ですが、2020年には山科にある熟成豚かわむら(旧店名:とんかつ食堂熟豚)とともにミシュランのビブグルマンを獲得し、2022年の食べログ百名店では初登場で全国16位に躍り出るという、すでに十分すぎるほどの肩書きを携えています。
そんな空蝉亭で遅めのランチをとれるように、とある平日の14時に席を予約。当日は予約時間より10分ほど早く到着したのですが…
静かで落ち着ける純和風の雰囲気…空蝉亭はこんなお店
ちょうど空蝉亭で食事を終えたお客さんがお店を出るところで、お見送りで僕に気づいた店員さんが気持ちよく店内に招いてくれました。その日は朝から雨が降っていたので、その心遣いがありがたかったですね。
京町家をリノベーションしたお店の土間にあたるところにテーブル席が3卓、そこから靴を脱いで上がった客間のスペースにもテーブル席が2卓、全部で客席は12席という小ぢんまりしたお店です。その客間からは中庭を眺められるようになっていて…
そこに和傘が2本置いてあって、純和風の雰囲気をさらに高めてくれています。店内のお客さんが少ないのでとっても静か。僕たち日本人がゆったり落ち着けるとともに、外国からの観光客にもすごく喜ばれそうな空間になっています。
空蝉亭では鹿児島県産南州ポークと千葉県産林SPF豚の2種類を用意…あなたはどちらの豚を選びますか?
空蝉亭の店頭には、こんな感じでメニューが貼ってあるのですが…
店内のメニューを見ると、鹿児島県産 南州ポークだけでなく、希少豚の千葉県産 林SPFの熟成豚も食べられるようです。千葉県産の林SPFと言ったら、秋田の人気店・かつ丼多勝でこの前食べたあの品種ですね。どちらの品種も、今の所京都で食べられるのは空蝉亭だけのようです。しかも熟成肉。もう、メニューを見るだけでも美味い予感しかしませんよね。
その分、下に示すようにお値段(税込価格:すべて麦飯、味噌汁、バーニャカウダー付き)は全体的に高めですが、最近の高級とんかつは東京にある成蔵のように1人前5000円以上かかるところもありますしね…とんかつ成蔵の半額で熟成豚のとんかつが食べられると思えば、むしろこのお値段で食べられるのがありがたく感じられるようになるから不思議です。
空蝉亭の鹿児島県産 南州ポークの熟成とんかつメニュー
- 熟成ロース(150g) 2300円
- 熟成ロース(200g) 2700円
- 熟成ロース(300g) 3500円
- ヘレかつ(160g) 2700円
- ヘレかつ追加(80g) 800円
空蝉亭の千葉県産 林SPFの熟成とんかつメニュー
- ロース(150g) 2600円
- ロース(200g) 3200円
- ロース(300g) 4200円
- ヘレかつ(160g) 3200円
- ヘレかつ追加(80g) 1000円
- リブロース(250g) 3500円
鹿児島県産 南州ポークの熟成ロース:フレンチやイタリアンの要素が入った空蝉亭の熟成豚とんかつ、実際食べてみてどうだったか?というと…
どちらの肉にするか数分間迷った挙句、空蝉亭で今回僕が注文したのは鹿児島県産 南州ポークの熟成ロース200g。これにオプションで同じく南州ポークのヘレかつ80gをつけて、総額 税込3500円なり。
でも、空蝉亭のとんかつって、他のお店のとんかつとちょっと違うんです。何が違うって、まずは…
前菜としてバーニャカウダが出てきます。さしずめ、付け合わせのキャベツの代わりといったところでしょうか。カリフラワー、赤かぶ、ズッキーニなど、全部で7〜8種類の野菜を付属のソースにつけて食べるのですが…
この見た目にクリーミーなソースにポルチーニ茸が入っているんでしょうね。あの独特な香りが鼻に向かってふわっと漂って、それと共に濃厚な旨味が舌全体に広がっていきます。僕、このソースを舐めた瞬間、大阪のフレンチおでん・赤白の大根を思い出しました。このソースをもっとたくさんもらって、バゲットに浸けて食べたくなります。しかも嬉しいことに…
ソースが冷めないように、下から温めてくれているんですよ。おかげで時間が経つとテーブルにポルチーニ茸の香りが広がっていき、バーニャカウダを食べ終えた後もその香りをしばらく楽しむことができます。
その後しばらくして、念願のとんかつが目の前に配膳。まずは下の画像をご覧ください…
ロースもヘレも、断面は均一なピンク色。その表面は光っていて、とってもジューシーなとんかつに見えますよね。でも、このとんかつの揚げ方も他店とは少し変わっていて、油で「揚げる」のではなく、フレンチやイタリアンのキュイソン(cuison)という技法で火入れを行った…というもののようです。つまり、空蝉亭のとんかつは日本の洋食とフレンチ・イタリアンの折衷料理とも言えるもので、大阪の名店・とんかつマンジェと料理の方向性は近いのかもしれません。
さて、そんな難しい話はさておき、まずはロースから実食といきましょうかね…衣は極薄で、すぐに下の肉まで歯が到達するのですが、ここで少し強めの抵抗を感じます。レア色のとんかつって「柔らかい」ってイメージがあると思いますが。このとんかつ、僕の感覚では決して柔らかくありません。でも、硬くてまずい…というのとも全然違いますよ。何せ、その抵抗を突き破ると中からドバッと肉汁が大量放出されるんですから。ただ硬いんじゃなくて、風船のように中に肉汁がギュッと詰まっていてはち切れそうな感じ。このとんかつの瑞々しさは、大堀史上でも間違いなく最強クラスです。
このとんかつの味付けには、フルーティーなとんかつソースに酸味の奥に出汁感が潜む自家製ポン酢、かぼす…
あと卓上に塩が2種類置いてあるのですが…もしかしたら、これらの調味料がなくてもスイスイいけちゃうかもしれません。実際、このとんかつを何もつけずに食べてみたんです。肉は豊富な肉汁でしっとり、嫌な臭いは一切なし、ロース肉ですが脂はほとんどなく、あるのは純粋な肉の旨味だけ。表現が適切かどうかわかりませんが、上質な豚肉の湯引きと言ったら伝わるかなぁ…とんかつではなく、お刺身として食べてもいけそうな感じでした。
そしてヘレかつも…デフォルトで黒胡椒が振ってあって、あっさり目のヒレ肉に香ばしさが加わっています。ロースと比べると水分ではち切れそうな感覚は弱いですが、同様に瑞々しさ満点で、大量の肉汁を口の中に放出した後、ツルりと喉元を通っていきます。
いやぁ〜、とんかつで久しぶりに感激しましたね。これほどの感激は、とんかつマンジェへの訪店以来です。そりゃあ、ミシュランにも選ばれますよ。ここが選ばれずして、どこを選ぶんだ…って感じです。そんなわけで、空蝉亭も将来的に予約困難店になる可能性が十分にあると思われるので、関西にお住まいの方は早めに行っておくほうがいいですよ。いや、本当に…
事前予約は必須!熟成豚専門とんかつ店 空蝉亭へのアクセスは、最寄り駅の京都市営地下鉄東西線・二条城前駅から徒歩17分
最後に、今回ご紹介した空蝉亭、訪店前の事前予約は必須です。幸いネット予約ができるので、予定が空いている日を見つけたら、チャチャっとスマホで予約を取っちゃってくださいな。記事の最後にネット予約用のボタンを貼っておくので、この記事を読んで「空蝉亭に行ってみたいな…」と思ったらぜひご利用ください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
JR京都駅からだと、京都市営バス206番系統・北大路バスターミナル行きで千本丸太町バス停下車、徒歩7分です。
予約するP.S. 京都で美味しいとんかつをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
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