沖縄随一の繁華街・国際通りから平和通りと呼ばれるアーケード街に入っていくと、花笠食堂と書かれた黄色い大きな看板が目に飛び込んできます。沖縄の観光ガイドブックには必ずと言っていいほど掲載されるこのお店は、ボリューム満点な沖縄の家庭料理を楽しめると評判の老舗沖縄料理店。新型コロナ騒ぎの前には、あまりにも観光客が多すぎて地元の人が近寄れなかったという話があるほどの人気だったそうな。
その人気食堂も、新型コロナで観光客が減ってからはだいぶ昔の落ち着きを取り戻した感がありますね。緊急事態宣言が明けた、ある週末のランチタイムにお店に伺ったのですが…
これぞ地元客向け定食屋の本来の姿…でもアイスティー飲み放題は何気に嬉しい
行列も待ち時間も全くなし。この看板の左にある路地を入ったところに花笠食堂はあるのですが、店内には数組のお客さんがいただけで、「お好きな所にどうぞ」とあっさり入店となりました。
お店の外観も内装も、全然装飾をしていない素朴な姿。南国的なゆる〜い雰囲気が店内を支配します。お店の人もみなさんかなり人生経験を積まれている感じで、正直言って観光客向けと呼べる要素はほぼありません。僕はこの店に入って、バックパッカー時代に立ち寄った東南アジアの名もなき町食堂を思い出しました。これでBGMに島唄が流れていたらもう完璧!って感じです。
客席スペースは沖縄らしく広く取られていて、テーブル席と小上がりの座敷席合わせて50人分くらいはあるでしょうか。それぞれの席に置いてある給水ポットには水ではなくアイスティーが入っていて、これが飲み放題なのは日差しが強い沖縄では特に嬉しいですね。
ちなみに花笠食堂のアイスティーは、なぜか商品化されていて通販で購入できます。蒸し暑い夏場に沖縄の雰囲気を思い出したくなった時にでも、試しに買ってみてください…
郷土料理が満喫できる花笠食堂の定食メニュー…汁物や小鉢を変更して一石三鳥を狙うのがおすすめ
そんな花笠食堂のメニューは、沖縄の郷土料理をメインに据えた定食メニューが中心。ショーケースを見る限りどれもボリューム満点ですが、価格帯は600〜1200円と本土の定食屋と同じくらいですね。
ただ、花笠食堂の定食が他店と違うのは、汁物を味噌汁、中味汁、沖縄そばなど5種類から、小鉢をもずくと沖縄ぜんざいの2種類から選択できること(もちろん無料)。他所だと別々に単品で頼まなければいけないものをセットで楽しめるのですから、そう考えればかなりお得ですよね。沖縄郷土料理をリーズナブルにいろいろ楽しみたい!というならば、花笠食堂で汁物と小鉢をアレンジして一石三鳥を狙うのがおすすめです。
花笠食堂のメニュー例(値段は税込)
- 琉球定食 1200円
- 沖縄定食 1200円
- ビールセット(A・B・C) 1100円
- テビチ煮付定食 1000円
- 花笠定食 900円
- ゴーヤチャンプルー 850円
- 沖縄そば 600円
ちゃんぽん:かの有名な長崎ちゃんぽんと何が違うのか?というと…
前日の夜、ゆうなんぎいで沖縄料理を堪能していた僕は、この日ちょっと変わったものを食べたいなぁ…と思っていたんですよね。そこで選んだのがちゃんぽん(お値段 税込850円)という名の料理。この時点で「沖縄のちゃんぽんは長崎ちゃんぽんと違う」ということだけ予備知識でありましたが、この時点で僕は何が出てくるのか全くわかっていません。
で、実際に出てきたものは…
カレー皿に野菜いっぱいの卵とじが乗っかった、今まで見たことがない料理。卵とじの下は表面から見えないので、スプーンで探ってみると…
中から白ごはんが出てきました。つまり、沖縄のちゃんぽんとは、野菜炒めの卵とじ乗せご飯ということですね。
お味ですか?野菜炒めはやや濃いめの醤油味に味付けされていますが、とろみの残った半熟卵に吸収されてちょうど良い塩梅の味付けになっています。軽く醤油を吸った白菜やもやしなどの野菜炒めが素朴な感じで、僕は好きですね。オン・ザ・ライスで食べる時は、シャキシャキ野菜よりちょっと野菜がクタッとなった方がご飯との一体感が出るように思うので。
イナムルチって何ぞや?沖縄のお祝い料理を初体験
さて、このちゃんぽんにも汁物がついているのですが、今回僕はこの汁物を味噌汁からイナムルチという沖縄郷土料理に変更してもらいました。ちゃんぽん同様、この時点で僕はイナムルチがどんな料理なのか、全くわかっていません。
で、イナムルチって何なのか?というと…
正月やお盆など、お祝いの時に作られる白味噌仕立ての具沢山味噌汁のことでした。沖縄の言葉で「イナ=猪」「ムルチ=もどき」で、昔は猪の肉を使っていたようです。
花笠食堂のイナムルチも豚肉やしいたけ、かまぼこ、こんにゃくと具沢山で、白味噌由来の甘さと麹の香りがかすかにします。京都の白味噌とはまた違って気取らない味というか、家庭料理のような素朴さを感じる味ですね。お盆はともかく、正月にお餅を入れてイナムルチ雑煮を作ったらハマりそうだな…と思います。
こんな感じで、花笠食堂は元々地元客向けだったのが、立地条件とボリューム満点の定食でたまたま観光客にウケてしまった…という感じのお店です。このまま素朴感満載で営業を続けていって欲しいですね。そして僕たち本土からの観光客も、ガイドブック片手にやってきて「美味い」「まずい」を論ずるんじゃなくて、地元の人に混じって少しだけ沖縄らしさをお裾分けしてもらう…くらいのつもりで利用するのがいいんじゃないかな?と思います。
24時間営業ではないけれど…花笠食堂へのアクセスは、最寄り駅の沖縄ゆいレール・牧志駅から徒歩8分
沖縄には三笠やみかど、いちぎん食堂といった、地元民向けの24時間営業の定食屋が営業しています。24時間営業ではないけれど、花笠食堂もこれらの食堂と同じ系列のお店のような感じです。国際通りを歩き疲れてちょっとゆっくりしたい時なんかには、喫茶店じゃなくて花笠食堂でのんびりお茶を飲みながら休憩するのもいいでしょうね。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. ちなみに、秋田でちゃんぽんを注文すると、こんな感じのものが出てきます…
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