諸説ある中で、福岡名物の水炊きは明治38年に「水月」というお店の初代店主・林田平三郎さんが考案したものが発祥という説が有力らしいです。そんな話を聞いて当然の如く「元祖水炊きの味を確かめに行かねば!」と心に決めて、令和6年4月の博多滞在中に博多水たき発祥の店 水月に予約の電話を入れました。
ただ、この時点で大きな問題が1つ。お店のサイトでメニューを見ると、元祖水炊きが食べられるコース料理がすべて2人以上での注文になっているんです。僕の胃袋的には、コースを2人前で注文して1人で食べるという裏技もありなんですが…電話で店員さんに「1人なのですが水炊き食べたいんです…」と相談したら、快くOKをいただけました。というわけで、水月では僕のようなぼっち客でもちゃんと水炊きを楽しめるので、その点はどうかご安心ください。さて…
昔の懐かしい雰囲気を残す高級料亭…博多水たき発祥の店 水月はこんなお店
博多水たき発祥の店 水月は、博多や天神といった繁華街から程よく離れた平尾という場所にお店を構えます。この辺りは閑静な住宅街になっていて、どうやら福岡県内の住みたい街ランキングで常に上位に入るような地域らしいですね。お店も大きな通りから中に入った、本当に静かなところにありました。気持ちを落ち着けてゆっくり食事をしたい時には重宝しそうなお店です。
お店の客席は1階と2階に分かれていて、1階には小上がりの座敷席と掘り炬燵席、2階には個室と宴会場があるようです。お店は前日までに予約が必要な完全予約制で、お料理代の他に10%のサービス料が発生する高級料亭なのですが、昔の懐かしい雰囲気を店内に残していて、気後れすることなくホッと一息つけるのがいいですね。こういう雰囲気のお店、僕は大好きです。
全国探してもここだけかも…博多水たき発祥の店 水月の元祖水炊きは他の水炊き専門店とどこが違う?
今回僕が博多水たき発祥の店 水月で注文したのは、一番グレードが低い元祖博多水たきBコース(お値段 税込6200円、サービス料10%別)。「水炊きさえ食べられれば、あとは少なくていいや」と考えてこのコースにしたのですが、結果的にこのコースにしてラッキーでした。その理由は後でお伝えすることにして、まずはコースの全容を順にご紹介していくことにしましょうか。
前菜3種
まずは前菜としてとり皮酢、つくねの煮物、胡麻豆腐の3種類。上の画像で伝わると思いますが、とり皮酢の量が多いこと多いこと…これ一品で2〜3人分のビールのおつまみとして十分賄える量じゃないでしょうか。ややあっさり目のポン酢にもみじおろしのピリ辛が少し効いて、最後まで飽きることなくペロリでした。
水炊き
そしてメインの水炊きなんですが、おそらく全国どこかで食べられる水炊きとは明らかに違う部分があるんですよ。上の画像で気づきますか?それはお出汁の色。他のお店とは違って、水炊きの出汁の色が半透明なんです。
仲居さん曰く、水炊きの元祖は出汁が透明なんだとか。でも、2番目に水炊きを始めたお店では、すでにお出汁は白濁したものを出していたらしいです。お店の人も、水月以外に透明なお出汁で水炊きを提供しているお店を他に知らないらしいです。もしかしたら、全国津々浦々探しても本当にここだけなのかもしれません。
でも、お出汁の色が薄いからって、味も薄いというわけではありませんよ。めちゃくちゃ濃厚です。そして全然雑味なし。ほんの少しの塩と刻みネギを加えただけのこのお出汁が、どれだけ身体にじんわりくることか…こんな極上のお出汁を無制限に飲めるので、もはやドリンクを注文する必要すらないんじゃないか?って思えます。
そして骨つきの鶏肉。鍋を見ると、すでに鍋底に骨つき肉が4切れ…そして明らかに博多水炊きとり田の水炊きよりお肉が大きいです。で、めっちゃ柔らかいんですよ、これ。本当に噛まなくてもいいくらい。こんなに柔らかく煮込まれた鶏肉は本当に久しぶり。「まずい」なんて言えるはずがありません。
そして野菜もたっぷり。特筆すべきは、水月では白菜じゃなくてキャベツを使っていること。そのキャベツを半生くらいの茹で加減にして食べるのが水月流。シャキシャキ感もさることながら、このくらいの熱の通りで食べるキャベツはとにかく甘い!お店特製の橙ポン酢もスッキリ爽やか系で、骨つき肉も一気にペロリです。
骨つき肉を食べ終えると、これまたかなりの量のつみれが加わって、さらに椎茸その他の野菜も追加で投入されて…こうしていくうちに、お出汁の味も進化していくのがよくわかります。
つみれもペロリと完食。この後は〆の雑炊が待っているのですが、この段階のお出汁を飲んで、あまりの美味さに感激してしまいました。
そして最後の雑炊へ。見た目はシンプルですが、極上の出汁で作られたこの雑炊がどんな味なのか…そこはご想像にお任せします。それにしても、この雑炊も2〜3人前くらい楽勝であるくらい作ってくれるんです。仲居さんの「おかわりありますからね。」の優しい声がけがどれだけ嬉しかったことか…
以上で博多水たき発祥の店 水月の元祖博多水たきBコースは終了。味についてはもはや何も言う必要はないと思いますが、食べ終えて「これ本当に一人前?」と疑ってしまいました。いわゆる「逆詐欺メニュー」ですな。イキって上のグレードのコースを注文していたらどうなっていたことか…いやいや、Bコースにしておいてラッキーでした。本当はこの後、僕は元祖赤のれん 節ちゃんラーメンに行って1日を締めようと思っていたんですが、それは嬉しい企画倒れとなりました。また次の訪福の機会に取っておきましょうか。
あと最後に付け加えておきたいのは、仲居さんの立ち振る舞いが本当に素晴らしかったです。最後まで水炊きの面倒を見てくれるのはもちろん、合間の会話だったり、絶妙なタイミングで一人にしてくれたり…大阪で○万円払って食べにいくような高級店よりもはるかに品があって心が安らぎました。正直言って、これでお値段6200円+サービス料10%は安すぎだと思います。僕の中では「めっちゃおすすめなんだけど、できればあまり人に知られたくないお店」ですね。
元祖水炊きの通販もやってます…博多水たき発祥の店 水月へのアクセスは、最寄り駅の西鉄天神大牟田線・西鉄平尾駅から徒歩10分
というわけで、明治時代から一子相伝で受け継がれてきた博多水たき発祥の店 水月の元祖水炊きは、このお店以外では世界中どこに行っても同じものを食べることができません。ただ、大変嬉しいことに、お店のウェブサイト経由で完全調理済みの元祖水炊きを全国発送しているので、通販で水月の味を楽しむことができます。
お店で水炊きコースを注文するよりリーズナブルですし、もしあなたが元祖水炊きを食べたいな…と感じていたら、上のリンクからお取り寄せしてみてはいかがですか?ただ、さすがに本物だけあって、賞味期限が3日と非常に短いので、その点だけはくれぐれもご注意を。
それでは、お店の詳細です…
博多水たき元祖 水月 本店 (水炊き / 西鉄平尾駅、薬院大通駅、薬院駅)
夜総合点★★★★★ 5.0
住所:〒810-0014 福岡県福岡市中央区平尾3丁目16−14
電話番号:092-531-0031(完全予約制)
営業時間:17:00-22:00
定休日:月曜日、年末年始、お盆期間
駐車場:3台分あり
クレジットカード払い:可
福岡市地下鉄七隈線・薬院駅や薬院大通駅からでも徒歩11分で行けます。
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