北海道で焼肉といえばジンギスカン(成吉思汁)。札幌随一の歓楽街・すすきのには今や有名無名問わず無数のジンギスカン料理店が乱立状態で、どのお店に入れば良いのか迷ってしまう旅行者もきっと多いはず。
もしあなたが一人ジンギスカンを楽しみたいのであれば、良いお店ありますよ。すでに全国的に名の知れた松尾ジンギスカンと並んで、地元の人の評価が高い札幌のジンギスカン超有名店です…
お一人様でも全然大丈夫!昭和29年から「いつも変わらず」営業を続けるアットホームなジンギスカン専門店
昭和29年に創業し、今もすすきのの一角で営業を続けるジンギスカンだるま(成吉思汁だるま)は、札幌のグルメ史に名を刻む老舗の1つ。「いつまでも変わらないこと」をコンセプトに、アットホームな雰囲気を武器に常連さんも一見さんも受け入れる懐の深いお店です。
そのジンギスカンだるまの本店は、すすきのの大通りからちょっと中に入った狭い路地にあります。僕が夕方6時くらいに訪問すると、お店の前に先客が8人くらいいたでしょうか。窓からお店の中をのぞくと、狭いスペースの中央に厨房があって、それを囲むように10人ほどのお客さんが食事を楽しんでいる様子。本当にこじんまりしていて、無理に飾るところがない素朴な雰囲気のお店です。お客さん1人1人にパーソナル七輪が与えられているので、誰にも急かされず自分のペースでジンギスカンを楽しめるのがわかります。
気になる人には気になるマトン臭…焼き上がった肉はジンギスカンだるま特製の醤油タレにガッツリ薬味を入れて食すのが吉
そこから30分くらいの待ち時間で念願の入店。席に着くやいなや、女将さんが目の前の七輪(すでに炭火に火が入っています)に鍋をセットして、大量の野菜(実はほぼ玉ねぎ)を投入してくれます(最初の野菜は無料。野菜のおかわりはプラス220円)。ジンギスカンだるまの羊肉メニューは…
- ジンギスカン 1078円/皿
- 上肉 1375円/皿
- ヒレ 1375円/皿
の3種類とシンプルなのですが(いずれも値段は税込)、この日はすでに上肉は売り切れとのことなので、仕方なくジンギスカンとヒレ肉の2種類を食べ比べすることにしました。
中央が高くなったジンギスカン専用鍋の頂上には、女将さんが置いてくれた羊の脂の塊1個。鍋には頂上から縁に向かって放射状に溝が掘られていて、ここから滲み出る羊の脂が鍋の溝を伝って下に流れていき、野菜で覆い尽くされている鍋の縁に溜まっていきます。
もちろん、この鍋で焼いたお肉から出てくる脂も、一滴も無駄にすることなく鍋の縁の方へ…ここで脂で揚げるようにして野菜に火を通すことで、野菜にもしっかり羊肉の旨味を付けることができるというわけですな。よく考えられた調理法だこと…
それでは、この鍋で実際にお肉を焼いていきましょう。まずはジンギスカンから…
鍋で焼いた肉を、女将さん特製のつけダレに浸けていただきます。ジンギスカンはしっかり脂がのった新鮮なマトン肉で、余計な脂肪分は焼いている途中で抜けているものの、気になる人には気になるマトン独特の風味は少し残っています。他店のようにあらかじめつけダレでしっかり漬けておけばマトン臭を消すことはできるでしょうが、ジンギスカンだるまでは一切加工していない生肉が出てくるので、気になる臭いを完全に抑えることは困難なのです。
ここで登場するのが、女将さんおすすめの薬味2種類。青森産のおろしニンニクと韓国産一味唐辛子をつけダレに投入することで、あっさり醤油ベースの味がガツンと個性的な味のつけダレに様変わり。臭いものには蓋…ではなく、臭いものに臭いものをぶつけることで、お互いのネガティブな点を打ち消しあってニンニクとマトンの味のいいとこ取りをしようという作戦ですな。
この作戦が見事に吉と出ます。マトン肉の成熟した旨味とコク、歯応えはそのままに、臭いもの同士がお互いの臭いを打ち消しあって、「マトンが昇華した」と感じるような力強い旨味が口いっぱいに広がっていきます。
さて、一方のヒレ肉はどうかというと…
ジンギスカンとは対照的に脂身が少なく、あっさりして柔らかく食べやすい肉質。マトンとは違ってクセがないので、羊肉が苦手な人はこちらから注文するのがおすすめです。
でも僕個人的には、ジンギスカンを食べに来たならぜひマトン肉を食べてもらいたい。ヒレ肉は確かに食べやすいですが、率直に言ってちょっと物足りない。肉が上質なのはわかりますが、やっぱり肉の旨味はマトンに軍配が上がります。せっかく羊を食べに来たのに「マトンを食べたくない!」というのなら、「じゃあ豚肉で良いんじゃない?」と思ってしまいます。
特にヒレ肉は1つの大きさがサイコロステーキくらいで、コスパはお世辞にも良いとは言えません。調子に乗って何皿も頼んでいると、最後のお会計でびっくり!なんてこともあるかも知れません。
そんな感じで総合的に考えると、この店で夜の食事を済ませるというよりは、すすきのでハシゴする前提で利用する一店舗と考えておく方が良いように思います。もしジンギスカンで腹いっぱい食べたい!というのなら、同じすすきのエリアでジンギスカン食べ放題のお店を探すのが良いのではないでしょうか?
すぐ近くに支店が複数あり!ジンギスカンだるま本店へのアクセスは、最寄り駅の札幌市営地下鉄南北線・すすきの駅から徒歩3分
さて、ジンギスカンだるまは今回ご紹介した本店の他にも、徒歩圏内に4つの支店があります。それぞれの支店で本店と全く同じメニューが同じ値段で食べられるのですが、実はちょっとずつ各店舗でオリジナリティーを発揮しているようです(詳しくはお店のwebサイトをご覧ください)。
キャパシティも本店より大きそうですし、本店の行列を見て待ち時間が気になるようなら、すぐ近くにある支店のどこかに移動するのも良いのではないでしょうか?特に支店は翌日の早朝まで営業のお店もあるので、夕食時のピークを外した深夜の時間帯も狙い目かもしれません。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. ジンギスカンでお腹を満たしたら、近くにあるここのラーメンでシメなんていかがですか?
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