広島の名物・あなごめしの誕生は明治30年、上野他人吉さんが当時の宮嶋駅で駅弁として販売したのが始まりとされています。当時から地元で食べられていた「穴子どんぶり」を改良した穴子弁当「あなごめし(あなご飯)」は評判となり、現在まで駅弁として販売が続くロングセラーに。その流れに乗って販売開始4年後の明治34年に宮島口の駅前参道に茶店を開業。これが、今ではメディアで全国的に有名になった人気店・あなごめしうえのの歴史です。
今では宮島での必食グルメになったあなごめし…宮島に観光に来たなら、忘れずに食べておきたいですよね。幸い、あなごめしうえのはJR宮島口駅からフェリー乗り場までの道中にあります。これなら、宮島に来ておいて「食べるのを忘れてた」なんて言い訳はできませんよね…
2階の他人吉では穴子尽くしのコースメニューも…あなごめしうえのはこんなお店
あなごめしの元祖・あなごめしうえのは創業120年超の老舗中の老舗、現在は4代目が中心となってお店を切り盛りしています。ランチタイムには待ち時間覚悟の行列店ですが、今回僕がお店に到着したのが午後4:30と微妙な時間帯だったため、並ぶことなくあっさり入店となりました。
店舗は昔を感じさせる重厚な木造2階建てで、正面に「上野商店」「あなごめしうえの」と大きく書いてあります。1階は待合室と食事処に分かれていて、客席は食べログ情報で28席。この1階スペースは予約なしでもウォークインで利用できますが、2階は「他人吉」という名前で主に予約客を対象に営業しているようです。営業時間も1階の店舗とは少し違うのでご注意を。
その他人吉では、名物のあなごめしに西京焼き酢物や白焼きなどがついてくる穴子飯御膳、穴子づくしのコース料理などグレードアップしたメニューが楽しめて、1階の店舗と比べてちょっと高級路線でしょうか。実は僕、この他人吉で穴子尽くしコースを狙っていたんですが、電話したら「2名以上でないと…」とのことで残念ながら断念しました。1階でもコースに準じたメニューを提供してくれていたら嬉しいんですけどね…
あなごめしうえので元祖あなごめしと穴子白焼きを食す…さて、気になるお味はいかに?
ただ、あなごめしうえの1階のメニューはこんな感じで…
どうあがいても穴子尽くしのコースっぽくはできないようです。やむなく僕はあなごめし特上(お値段 税込3080円)と穴子白焼き(お値段 税込1540円)を注文。穴子の蒲焼と白焼を食べ比べすることにしました。
注文を終えて数分後、まずは穴子の白焼きが目の前に運ばれてきました…
アナゴ1匹分の白焼が横長のお皿にきれいに積み重なって出てきました。下の割り箸と比較すると、切り身を繋げればおそらく割り箸の2倍くらいの長さはあるんじゃないでしょうか。最近穴子も高くなってきましたが、これだけのボリューム感があればお値段的にも納得です。
見た目だけで一杯いけちゃいそうな穴子の白焼…表面は軽く焦げて香ばしく、味は淡白ですが、ふっくら焼き上がった身を噛み締めるとじんわりと脂の旨味が舌の上に広がっていきます。これを塩やわさび、粉山椒で味付けして食べるわけですが、そのうちやっぱり日本酒欲しくなってくるんですよね。そんな時は…
こんな素晴らしいサービスを利用してみてはいかがでしょう?一杯たったの110円で懐も痛みませんし、呑兵衛さんならハマること間違いなし。本番の食事の前のつまみとして言うことなしの一皿です。
そして白焼に遅れること数分、ついに宮島名物・あなごめしとご対面…
名古屋名物のひつまぶしのように、穴子の蒲焼がビシッと整列してオン・ザ・ライス。このサイズでご飯が茶碗2配分、穴子2匹分の量があるそうですよ。
では、実食…長年継ぎ足した秘伝のタレをたっぷりつけて強火で焼いた穴子を口の中に入れると、タレと脂が焦げた香ばしさがふわっと口から鼻に広がっていきます。醤油ダレはややあっさり目の甘口で、長年熟成させたまろやかさがしっかり出ています。その一方で、強火で焼いた影響か、身は想像以上に硬くなっていましたね。その硬くなった身からは豊富な脂を感じませんし、先ほど食べた白焼きのようなホクホク食感もありません。さらに言うと、使われている穴子が純国産ではないようです。穴子の産地として有名な宮島ですが、こんな事情を知るとちょっと…ね(時代の流れとして仕方がないことなのでしょうが)。
そして穴子の蒲焼の下に敷かれているご飯は、穴子の骨から取った出汁を使った炊き込みご飯。こちらも味はあっさり目で、個人的にはもう少しだし感が強めの方が好みかな…でも、穴子はうなぎと違って元々淡白な味だし、濃いめの出汁をとるのは難しいのかもしれません。
正直なところを言えば、僕はあなごめしうえのの元祖あなごめしにちょっと過剰な期待をしていたようです。決してまずいわけではありませんが、テレビでの大絶賛とはギャップがあるように感じました。ただ、ネットで調べていると、あなごめし弁当の口コミで「冷めた方が美味い」と書かれているものがいくつかありました。「確かに、そうかもしれないな…」という気がするので、機会があれば弁当でリベンジしようと思います。
広島三越にも支店あり…あなごめしうえのへのアクセスは、最寄り駅のJR山陽本線・宮島口駅から徒歩1分
そんなあなごめしうえのは、宮島口の本店の他に、広島市八丁堀にある広島三越内にも支店があります。その他、広島駅直結のekieや南口の福屋、あとは新大阪駅構内であなごめし弁当を販売しているという情報があります(賞味期限は当日のみ)。
でも基本的には広島でしかうえののあなごめしは食べられず、東京の有名デパートの催事にも滅多に出店しないようなので、宮島に来たら確実に食べておかなければなりません。あなごめし自体は厳島神社の近くでも食べられますが、元祖の味を体験したければフェリーの乗り降りの時に立ち寄れるようにきちんと胃袋の準備をしておきましょう。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
あなごめしうえの 宮島口本店 (あなご / 宮島口駅、広電宮島口駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.0
住所:〒739-0411 広島県廿日市市宮島口1丁目5−11
電話番号:0829-56-0006(1階は予約不可、2階は予約可能)
営業時間:10:00-19:00(売り切れ閉店、水曜日のみ18:00閉店)
定休日:無休
駐車場:あり
クレジットカード払い:可
広電宮島口駅(宮島口旅客ターミナル)からも徒歩1分で行けます。
P.S. これから宮島への観光を考えているあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
P.P.S. 宮島内であなごめしを食べるなら、これらの2店舗がおすすめです…
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