秋田の有名な郷土料理・きりたんぽ鍋は、鶏ガラベースの醤油出汁にきりたんぽや比内地鶏、野菜を入れた鍋料理。しかし、本来のきりたんぽ鍋は今のようなスタイルではありませんでした。
きりたんぽ鍋の発祥には諸説ありますが、中でも「マタギ」と呼ばれる猟師が携行食として持ち歩いたきりたんぽを、猟で仕留めた鳥などと一緒に鍋で煮込んだのが始まりとする説が有力なようです。
そんな話を聞くと、「じゃあそのマタギのきりたんぽ鍋を食べてみないと!」と、僕の中に宿す食い意地がムクっと起き上がってきて、そのままググって見つけたお店が今回ご紹介する秋田きりたんぽ屋 本店というわけです…
バナナマンのせっかくグルメでも紹介…秋田きりたんぽ屋 本店はこんなお店
その秋田きりたんぽ屋 本店、実は「きりたんぽ鍋の美味しいお店」として結構な有名店みたいです。創業は今から約10年前の2013年。老舗と呼べるほどの年季はありませんが、ネットの口コミでもかなり評判が高く、昨年(令和4年)12月には全国ネットのテレビ番組・バナナマンのせっかくグルメでも地元の人におすすめされています…
そんなお店を僕が訪問したのは、とある日曜日の12:30頃。ここで一人鍋を突いて優雅なランチタイムを満喫…といきたかったのですが、すでに満席ということで入店を断られてしまいました。でも、1時間後であれば席を取れるということだったので、お隣のショッピングセンター・フォンテで時間を潰して13:30にお店を再訪することにしました。
薄暗い山小屋のような雰囲気がある店内には食べログ情報で客席数35席。小さなカウンターがあるのでお一人様でも大丈夫。個室もあって、小さな子供連れもOKと、かなり使い勝手は良さそうです。ただ、割とこぢんまりしたお店でもあるし、事前に予約をしておく方が良さそうですね。
秋田の郷土料理メニューが一通り揃う秋田きりたんぽ屋 本店…日曜と祝日にはランチタイムに鍋定食も楽しめます
秋田きりたんぽ屋 本店はきりたんぽ、だまこもち、貝焼き鍋、いぶりがっこ、しょっつる鍋など、秋田の郷土料理を一通りメニューに揃えています。秋田の地酒も豊富にありますし(宴会コースで飲み放題あり)、2009年にご当地グルメの全国大会・B-1グランプリで優勝した横手焼きそばまで…もはや、秋田にある美食の数々がすべて揃う店と言っても過言ではないでしょうね。もしあなたがこれから秋田に観光・出張に行く予定があるなら、押さえておいて決して損はないお店だと思います。
もう1つ。このお店は平日は夜営業のみの居酒屋的な営業スタイルなのですが、日曜日と祝日にはランチ営業もやっていて、ランチメニューとして鍋定食を提供しています。鍋というと2〜3人前からの注文になる店が多いですが、ひとりでも鍋を注文できるって本当にありがたいですよね。ランチタイムはお通し代(1000円+税)かからないし、お値段も比較的リーズナブル。特に寒い冬にはこれらを活用しない手はないですよね。
秋田きりたんぽ屋 本店のランチ定食メニュー(値段は税別)
- きりたんぽ鍋定食 1900円
- きりたんぽ鍋御膳 2500円
- しょっつる鍋定食 1900円
- しょっつる鍋御膳 2500円
- あきた丸ごと定食 3300円
- あきた丸ごと御膳 3900円
秋田郷土料理の人気店・秋田きりたんぽ屋 本店で、きりたんぽのルーツと言われる「マタギのきりたんぽ鍋」を試してみた
それでは、秋田きりたんぽ屋 本店で僕が注文した「マタギのきりたんぽ鍋」をご紹介しましょう。画像はこちら…
このように、マタギのきりたんぽ鍋は醤油ベースではなく味噌ベース。現代のきりたんぽ鍋とはかなり違った味が楽しめます。お値段は小鍋(1人前)で3800円+税と一気に跳ね上がりますが、他ではなかなか食べられない特別なきりたんぽ鍋ですから、これくらいの出費なら僕は喜んで受け入れます。
で、お味ですが…雪国・秋田らしく、結構塩分が強めの味付けです。鶏ガラ醤油味の現代風きりたんぽ鍋とは打って変わって、猟師メシらしいというか、かなりワイルドな印象があります。一般的な味覚からすれば「激ウマ」にはならないと思いますが(もちろん、まずいわけでもないですよ)、これが現代人に一切の忖度がない本物の味と考えれば、僕としてはこんな感じの味付けの方が嬉しいですね。
でも、それで終わりではありません。味噌味以外にもインパクトが強いところがたくさんあるんです。例えば、メインのきりたんぽ。店員さんによると、秋田きりたんぽ屋のきりたんぽは1本が一般的なきりたんぽの3倍の大きさがあるらしいです。実際に箸で持ってみると、今までに感じたことのないズシリとした重量感が…これを食べれば、大食いさんでもお腹がしっかり満たされること間違いなしです。
加えて、鍋の完成直前に投入されたセリの香りがものすごいんです。まさに「今まで食べてきたセリは一体何だったんだろう…」ってレベル。その理由はセリの根っこ。セリって、根っこが特に香り高くて美味しいらしいんです。今までセリの根っこって食べたことなかったなぁ…特に秋田きりたんぽ屋で使っている秋田県湯沢産の三関セリは、葉や茎よりも根っこが長くなるんだそうな。香りが強すぎて苦手な人もいるかもですが、こんなに香り高い鍋、全国どこに行っても滅多に食べられるものではありません。
さて、このきりたんぽ鍋のもう1つのハイライトがイノシシとウサギの肉。上の画像で牛肉っぽい色をしているのが猪肉で、隣のゼラチンっぽいものがついているのがうさぎの肉です。うさぎの肉は初めてですが、食感は鶏胸肉に近いあっさり味でした。これらの肉はそんなに多く入っていないものの、他にもちゃんと比内地鶏肉が入っているので、全体的な肉のボリュームも申し分なしです。
こんな感じで、万人ウケする味ではないものの、僕自身はこのマタギのきりたんぽ鍋を思う存分楽しめました。駅近にこんなお店があるのなら、秋田で郷土料理を食べたい時の第一選択肢としてもいいんじゃないでしょうか。ただ、注文してからの待ち時間はそれなりにあるので、訪店する時にはスケジュールをある程度調整しておくのをおすすめします。もし「本格的なものじゃなくてもいいから、気軽に食べたいな…」というのであれば、駅ビル内にある秋田比内地鶏やの方が使いやすいかもしれません。
秋田大町分店でも同じメニューが楽しめます…秋田きりたんぽ屋 本店へのアクセスは、最寄り駅のJR奥羽本線・秋田駅から徒歩1分
そんな秋田きりたんぽ屋は、JR秋田駅前にある本店の他に2号店・秋田大町分店を運営しています(かつては東京の浜松町や銀座にも分店があったようですが…)。この秋田大町分店があるのは、かつては東北地方屈指の繁華街だった川反地区。今はかつてほどの賑やかさはないものの、依然として秋田で飲み歩くには一番便利な場所です。
そんな場所にある秋田きりたんぽ屋 秋田大町分店、本店と同じメニューが楽しめますし、地酒と郷土料理を楽しみたいときはぜひ利用してみてはいかがでしょうか?秋田の郷土料理が一通り揃うこのお店を足がかりに、いくつものお店をハシゴして飲み歩くのも、秋田の夜の過ごし方としておすすめですよ。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. 実はこれらのお店も、秋田きりたんぽ屋の系列店なんです…
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