元来大阪の郷土料理であるたこ焼きは現在日本全国どこにいても食べることができますが、そのルーツを辿っていくと大阪市西成区にある会津屋(あいづや)という名のたこ焼き屋に由来します。
元祖たこ焼き会津屋は昭和8年に創業してから今年て89年という歴史のあるお店。当初はたこ焼きの前身であるラジオ焼きをメインに販売していたのですが、あまり売上は芳しくなかったようです。ある時、初代の遠藤留吉さんが明石の玉子焼きの噂を聞き、それをヒントにたこ焼きを開発。これを昭和10年に販売を始めたら大ヒット!これが全国的に広まって今の姿がある…というのが、たこ焼きについての簡単な歴史です。。
その会津屋さんは、グルメ漫画・美味しんぼやミシュランガイドにも掲載されるほどの有名店になっており、今ではなんばや天王寺、天下茶屋などに加えて東京のお台場たこ焼きミュージアムにも出店するなど販路を拡大しています。たこ焼き発祥の店が作る元祖たこ焼きって、一体どんな味なんでしょうね?あなたも興味ありませんか?
テイクアウトもイートインもOK!元祖たこ焼き会津屋 本店はこんなお店
というわけで、ある平日の午後1時過ぎに元祖たこ焼き会津屋 本店を訪問。難波方面から国道26号線を南下していくと、右側の交差点角に大きな赤い看板で「たこやき」と書かれているのが見えてきます。
そのお店の一番目立つところはテイクアウト用のスペースになっていて、目の前のたこ焼き器越しに商品と代金の受け渡しが行われます。そのテイクアウトスペースからちょっと路地を入ったところにイートインスペースの入り口があって、中に小さなカウンター席が4脚と2人がけのテーブル席が1卓あります。イートインスペースに店員さんはいませんが、調理場と繋がっているので注文や会計も気軽にできますよ。
たこ焼きのルーツ・玉子焼きも…会津屋のメニューはたこ焼き含めて全6種類
そんな元祖たこ焼き会津屋 本店で食べられるメニューは…
- 元祖たこ焼き 12個500円〜
- 玉子焼き 600円(出汁付き+100円)
- ねぎ焼き 600円
- ねぎ玉子焼き 700円(出汁付き+100円)
- 元祖ラヂオ焼き 600円
- ラヂ玉焼き 700円(出汁付き+100円)
- チーズ焼き 600円
の全部で7種類(値段は税込)。個人的には、たこ焼きやその前身のラヂオ焼きだけでなく、たこ焼きのアイデアの元となった玉子焼きもメニューにあるのが興味深かったですね。
さて、何を注文しましょうか…たこ焼きとラヂオ焼きは外せないとして、やっぱり玉子焼きも食べてみたいし、ねぎ焼きを注文してねぎ焼きやまもとの元祖の味との比較もしてみたい。でも、全部食べたらさすがにカロリーやばい(この前にらーめんコーさんのデカ盛り唐揚げを食べてきてたので)…と、心の中で葛藤すること数分間、結局たこ焼き発祥の歴史を感じる2品を注文することで気持ちを落ち着けました。
元祖たこ焼き:ソースをつけず、そのまま食べる元祖の味は、現代風のたこ焼きとは別物だった
まずは会津屋に来たら絶対に外せない「元祖たこ焼き」。12個入りが標準ですが、3個ずつ量を増やして注文することもできます(3個増量ごとに+120円)。でも、実際目の前に現れたたこ焼きを見ると…
一般的なお店のたこ焼きと比べて、1つ1つがかなり小さいですね。直径が2cm前後、他店のたこ焼きの半分くらいの大きさでしょうか。
で、会津屋のたこ焼きの食べ方ですが、ソースやマヨネーズなどで味付けすることなくそのまま口に放り込みます。生地のレシピに醤油と和風出汁が入っているので、そのまま食べても味がついているんです。
ソースをかけた現代風のたこ焼きをイメージしていると、味のギャップにかなり驚くかもしれません。まず表面の香ばしい香りがふわっと口から鼻に広がって、皮を突き破ると中からたこの身と共に昆布と鰹の香りがこれまたふわっと…一般的なたこ焼きのようなジャンキーな感じではなく、大阪の出汁文化の一端を感じられる上品な味付けになっています。
これ、今巷に広がっているたこ焼きとは全く別物と考える方が良いかもしれません。実際、食べログその他の口コミを見ていると「味がうすい」「まずい」という書き込みもありますし…でも、個人的にはこういうの大好きですね。昔の子供はスナック菓子の代わりにこれを食べてたんだなぁ…と思うと、歴史的な面からも大変興味深いです。
でも、そうなると最初にたこ焼きにソースをかけて出したお店ってどこなんでしょうね?また別の興味が出てきました。もしあなたがご存知であれば、下のコメント欄でそのお店の情報を教えていただけませんか?
元祖ラヂオ焼き:たこの代わりにすじこんが…なぜこれが売れなかったのか、正直不思議
一方、たこ焼きができる前の会津屋の主力商品・元祖ラヂオ焼きがこちら…
先ほどのたこ焼きと比べると生地がよりこんがりキツネ色に焼けている印象ですが、改めてよく見てみると、表面の皮がシュークリームのような感じにも見えてきました。
ラヂオ焼きの中身はこんな感じで、牛すじ肉とこんにゃく、刻みネギが入っています。タコの代わりに神戸でいう「ぼっかけ」が中に入った感じです。
で、実際に食べてみると、たこ焼きと比べてこちらの方が醤油味が濃いですね。生地に含まれている醤油出汁に加えて、すじこんを煮込む出汁が加わるからでしょうか。その分たこ焼きと比べて出汁感は控えめですが、ソースなしでもしっかりとした味付けで食べることができます。
具材のすじこんもいいですね。甘じょっぱく煮込まれた牛すじ肉に、クニュッとしたこんにゃくの歯触り…これ、本当に昔人気なかったんですかね?僕個人的にはすごく美味しく食べられたんですが。100年前と比べて、庶民の味の嗜好が正反対になったということなのかもしれませんね。それはそれで興味深いことでもあり、大阪の伝統的な出汁文化を守る意味では悲しいことでもあります。
冷凍版を通販でお取り寄せできます!元祖たこ焼き会津屋 本店へのアクセスは、最寄り駅の大阪メトロ四つ橋線・玉出駅から徒歩2分
そんな元祖たこ焼き会津屋のたこ焼きとラヂオ焼きは、Amazonや楽天の通販でも冷凍版のお取り寄せが可能です。これを機会に、たこ焼き発祥の地の味をご自宅で試してみませんか?「ミシュランに乗ったたこ焼き」ってことで、きっと良い話のネタになると思いますよ。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
南海電鉄・岸里玉出駅からだと徒歩5分の距離です。
P.S. 大阪で美味しい和食をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
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