京都には一乗寺や河原町など、ラーメン激戦区と呼ばれる場所がいくつかあります。それらの場所には数々の行列店が軒を連ね、人気店に入れなかったお客さんが周辺の店に回ってくるという経済効果もあります。
一方で、あえてそんな激戦区から遠く離れた住宅街に出店して勝負をかけたラーメン屋も存在します。近くに電車の駅がない学生街に店をオープンしてもうすぐ5年。らぁ麺とうひち(touhichi)はその間に「究極のラーメン2017関西版」という雑誌でグランプリに選ばれ、ミシュランのビブグルマンを獲得するなど、京都だけでなく関西を代表するラーメン有名店になってしまっています…
らぁ麺とうひち|交通不便な住宅地にオープンしたラーメン店が、新時代を拓く鶏清湯スープでミシュランのビブグルマン獲得
らぁ麺とうひちが店を構えるのは、最寄り駅の京都市営地下鉄・北大路駅から歩いて30分以上もかかる「玄琢北」という場所。佛教大学が近くにあるので学生さんが多く住む地域ですが、はっきり言って周辺に名所的なものは何もありません。強いて言えば金閣寺が目印ですが、金閣寺からも歩いて30分近くはかかります。
そのとうひちに夕方の開店直後に訪店したのですが…さすがに行列店、続々とお客さんが入ってきます。店内はカウンター席が7客と、奥に4人掛けテーブル席が2卓ある模様。早く来店した順にカウンターの奥から案内されますが、あっという間にテーブル席まで埋まってしまいました。
とうひちのラーメンメニューは全部で5種類…カップラーメンにもなった「鶏醤油らぁ麺」にはお持ち帰り用もあり
入り口すぐ左の券売機を見ると、らぁ麺とうひちのラーメンメニューは全部で5種類。ラーメンの他にも唐揚げやネギメシ…ユニークなところでは「四周年Tシャツ」というのもありますね。
この中で、鶏醤油らぁ麺にお持ち帰り用があることは注目に値します。この鶏醤油らぁ麺、過去に寿がき屋(スガキヤ)というメーカーからカップラーメンが販売されていたくらいなので(Amazonを見る限り、今はもう売られていないようです)、よほど売れているのでしょう。というわけで、まずはこの鶏醤油らぁ麺(そしてやはり唐揚げも…)をオーダーすることにしました…
とうひちのラーメンメニュー(値段は税込)
- 鶏醤油らぁ麺 850円(お子様らぁ麺 450円)
- 鶏醤油つけそば 950円
- 鶏油まぜそば 750円
- 鶏白湯らぁ麺 880円
- 煮干魚介らぁ麺(昼・夜各限定15食) 830円
鶏醤油らぁ麺:3種類のブランド鶏と生揚げ醤油を使った清湯スープは透明感抜群…後味も上品でバランス感覚に優れた一杯
「とうひちに初めて来店するお客さんにおすすめ」という、この鶏醤油らぁ麺。京都の丹羽黒どり、鹿児島の黒さつま鶏、秋田の比内地鶏という3種類のブランド鶏から抽出した地鶏清湯スープに生揚げ醤油を合わせたという、聞くだけでめちゃくちゃ手が込んでいそうな醤油ラーメン。一体どんな感じかというと…
一瞬、新福菜館本店の中華そばを連想させる黒いスープ…その表面に、かなりの油が浮いています。トッピングは豚と鶏の2種類のチャーシューにメンマ、ネギ、三つ葉。見た目に派手さはなくシンプルな印象です。
では、まずスープを一口…レンゲから鶏油とともに鶏の旨味が口に飛び込んできます。鶏油がねっとりと舌の表面をコーティングして、喉を通った後も舌の上に鶏の出汁の印象をほのかに残します。その一方、醤油の味はかなり上品で、透明感抜群で雑味がまったくありません。鶏の味はしっかり出ているのにあと口が上品。濃厚鶏白湯とは逆の方向で印象深いスープです。
これに対する麺は中細の平打ち麺。合計8種類の国産小麦をブレンドして作った自家製麺は、口当たりがよくツルツルしていて、もっちりとした食感を残して喉越しよく胃袋へ収まっていきます。スープも麺も自己主張しすぎず、バランスのとれた一杯。強いて言えば、これだけ鶏で押しているのだから、豚のチャーシューはいらないかも…。
鶏の唐揚げ:硬めの衣にあふれ出る肉汁…鶏醤油らぁ麺とは対照的にアグレッシブな一品
そして、一緒に注文した鶏の唐揚げがこちら…
大人のげんこつ大の唐揚げが合計4個。1個1個がずっしりとしているので箸でつかむのも一苦労…
衣がやや硬めに揚がっていて、噛むとまずカリッとした食感が得られます。そのまま歯を進めるともも肉の断面から肉汁がじわじわとにじみ出て、やがてしずくとなって滴り落ちていきます。ニンニクがしっかり効いていて、上品な鶏醤油らぁ麺とは対照的なインパクトある一品です。こういう唐揚げは、白ご飯と一緒に食べたいですな…
鶏油まぜそば:醤油ダレと鶏油のバランスで勝負…東京発祥の油そばを連想させるシンプルな一杯
こちらは2回目の訪店で食した鶏油まぜそば(お値段 750円)…
上の画像でもお分かりのように、とうひちのまぜそばは台湾まぜそばのような見た目にインパクトの強いものではなく、前回食べた醤油ラーメンの汁なしバージョンといった方がイメージに近いでしょうか。トッピングも厚めのメンマ3枚に豚と鶏の2種類のチャーシュー、刻みネギとシンプルな構成です。
実際に食べてみると、醤油ベースのタレと鶏油の組み合わせは、東京発祥の油そばに近いような気がします。鶏油のコクと醤油の旨みがバランスよく絡み合い、細めの平打ち麺に絡んで口の中に鶏の風味をしっかりと届けます。
タレに鶏油が混ざっているとは言え、油のしつこさは感じられません。麺も細麺ながらコシがあって、喉越しの良さも相変わらずです。
この鶏油まぜそば、途中で卵の黄身を落として混ぜてみたくなりました。そのまま最後まで食べ進めてもいいのですが、黄身をプラスしてタレをマイルドにしても合うように思います。あるいは東京の油そばのように、お酢やラー油を回しがけするのもありでしょうか。でも、京都の人はそんな食べ方、怒るかな…
とうひちの系列店・らぁ麺すぐるが修学院にオープン!ラーメン激戦区・一乗寺エリアがますます熱くなります
そんならぁ麺とうひちですが、2018年4月24日に2号店・らぁ麺すぐるを修学院にオープンさせました。ラーメン激戦区と名高い一乗寺からも近く、ラーメン好きにとってますます熱いエリアとなりそうです。らぁ麺すぐるについては、後日改めてレポートしますね。
時間にゆとりを持っての訪店がおすすめ…らぁ麺とうひちへのアクセスは、最寄り駅の京都市営地下鉄・北大路駅から市営バス1番系統を利用
冒頭で説明した通り、らぁ麺とうひちへ公共交通機関を使って行くのは結構大変です。最も行きやすいのは、地下鉄の北大路駅から1番系統のバスに乗り、玄琢下バス停で下車する方法。この行き方なら、バス停を降りて3分ほど北に歩けばとうひちに到着します。
京都駅方面からであれば、烏丸口からちょっと歩いた下京区総合庁舎前バス停から9番系統バスに乗る方法もあります。この場合だと、大宮総門口町バス停下車となりますが、そこから10分程度は歩きます。阪急京都線の京都河原町駅からなら、46番系統バスで大宮交通公演前バス停下車です。
いずれの行き方にしろ、駅からはかなり距離があるので市営バスの利用がほぼ必須です。移動時間もかかるので、時間にゆとりを持って訪店するのがおすすめです。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
住所:京都府京都市北区大宮北箱ノ井町33-6 セルリアンハイツ1階
電話番号:075-432-8818
営業時間:11:00-14:00 LO、18:00-21:30 LO
定休日:火曜日
駐車場:契約駐車場に7台分スペースあり
クレジットカード払い:不可(食券制)
P.S. 京都で美味しいラーメンをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄ってみてください…
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