率直に言って、目立った観光名所も何もない大阪府八尾市。しかしここには、数々のメディアで「日本一」と称される超有名なとんかつ屋があります…
そのお店・とんかつマンジェは、店内にカウンター席13客しかないこじんまりしたとんかつ屋。フレンチ出身の店主が1996年にオープンした小さなお店は、メディアの影響もあり全国からお客さんがやってくるような名店になってしまいました…
1つ目の難関:朝8:30受付開始の記名に乗り遅れるな!
そのとんかつマンジェに、ある晴れた平日の朝8:00ちょうどに到着。お店の開店は11:00ですが、朝8:30頃から来店順に記名帳に名前を書くシステムなので、早くから並んでおかないと希望の時間に食べられないどころか、訪店時にはすでに受付終了ということにもなりかねないのです。
受付開始30分前で、お店の前で待っているお客さんは2人。僕の前の人は地元のマダムで、昔からとんかつマンジェをよく利用されている人のようでした。
どうやらとんかつマンジェ、海外のメディアでも紹介されるくらいのお店になってしまったようです…
予定よりちょっと早い8:25分頃に、スタッフが来店して店を開けてくれました。一巡目の入店をしっかりゲットして一旦お店を退散します。
2つ目の難関:とんかつマンジェ独自の入店システムをしっかり予習して事前に対策を!
でも、とんかつマンジェのとんかつにありつけるためには、もう1つ越えなければならないハードルがあります。それは、入店時間までの時間つぶし。開店まで2時間半ほどある空き時間をどうやって使うか、過去のお客さん達も軒並み頭を抱えて悩んでいたようです。
その原因は、とんかつマンジェ独特の入店システム。記名帳に携帯番号を書く欄があって、入店可能時間の10分前にお店から電話が来るようになっているんです。
僕のように一巡目確定ならいざ知らず、それ以降の順番になってしまうと「いつ呼ばれるかわからない」状況になってしまうわけです。仮にその電話に出られず、時間になっても店頭にいない場合はキャンセルになってしまうので、11時以降はお店の近くでずっと着信音に注意を向けていなければなりません。
明らかに待ち時間の長い人は一旦大阪市内へ戻って観光する人もいるようですが、僕はJR八尾駅目の前のミスドで時間を潰しました。お代わり自由のモーニングコーヒーを片手に持参の文庫本を読み進め…見方を変えれば、これはこれで優雅な時間の過ごし方かもしれません。
さて、開店10分前にお店を再訪。朝早くから頑張って並んだ見覚えのある人たちがすでに列を作ってメニューを眺めています。
とんかつマンジェのウリと言えば、鹿児島の黒豚はもちろんのこと、宮崎産のあじ豚、群馬産の氷室豚、スペイン産のイベリコ豚など、超希少品種のとんかつが食べられること。この日の僕はイベリコ豚を狙っていて、「イベリコ豚のとんかつって、どんなんだろう…」と心に期待を膨らませて列に加わったわけですが、先ほどのマダムから…
と、いきなりショッキングな一言が。正直、これは痛い。また別の日に早起きして8:30前に八尾まで来て並んでミスドで時間を潰して…この時点で、僕にはその姿は想像できませんでした。いくら食い意地張っていても、そこまでの気力と根性は僕にはないかもです。「えー、実は狙ってたんですよねぇ〜…」と返しつつ、少なからず気落ちした僕。でも後で振り返ると、結果的にそれで良かったのかもしれません…
東京Xリブロース(Lサイズ):超希少品種の豚肉を使った高級とんかつ…さて、そのお味はいかに?
イベリコ豚に代わって僕がオーダーしたのは、東京Xという、これまた超希少品種のとんかつ。とても厳しい条件の下で飼育され、大量生産できないため希少価値が高く、業界では「幻の豚」とまで言われているそうな。
その東京Xのリブロースとんかつは、260gでお値段 税込4900円(ちなみにMサイズは160gで税込3090円)。プラス500円で定食にすることができて、サラダとご飯(3杯まで)がお代わり自由になります。
そして、これまた大事なとんかつの味つけは…
- 白トリュフソルトまたは黒炭ソルト
- 豚かつソースまたはオリジナルソース
のどちらか1つずつを選んで、複数の味つけで上質なとんかつを味わうことができます(この日の僕が選択したのは白トリュフソルトとオリジナルソース)。
とんかつを揚げている間に、まずは前菜となるサラダと漬物が目の前に運ばれてきます。そして、この2つを食べ切るくらいのちょうど良いタイミングで…
東京Xリブロースとんかつが登場!もう、見た目にヤバいとんかつなのがすぐにわかります。豚肉なのに、中がレアですよ…脂身が多めで赤身とのバランスが良く、肉質も良さそうなのが画像越しでも伝わってきます。
まずは白トリュフソルトからいただくと…これ、目を瞑って食べたらとんかつだと思わないかもしれません。ステーキです。それも、とびきり上等な。レアステーキと全く同じ生肉の食感とほど走る肉汁…それでいて肉の中心までしっかり熱が通っていて、心配される生臭さも一切ありません…
そして、味つけの白トリュフソルトがまたいいんです。口の中に入れた時だけほんのり心地よく感じる程度のトリュフの香り。塩加減も絶妙で、「天にも昇る心地」と言われるのがよくわかります。
実は僕、最初横長のお皿に薄く振られた白トリュフソルトを見て「ちょっと塩少なくない?」と思ったんですよね。でも、食べてみてその考えが間違っていたことに気づきました。これは、とんかつ全体にまんべんなく適量の塩がつけられるように…というお店の配慮なんです。実際、お肉を食べ切るのと同じくして白トリュフソルトもなくなりました。そこまで計算しているお店って、他にどれだけあるでしょうか?
一方のオリジナルソースは、玉ねぎから出る自然な甘味と辛味が効いた、これまた通常のとんかつソースと比べるとあっさり系の味。すでに僕の舌と鼻は白トリュフソルトに完全にやられてしまっていたので、先にこっちを食べておけば良かったな…とちょっと後悔。でも、リブロース肉の肉々しさを玉ねぎの辛味が中和する感じで、特に脂っこいものが苦手な人にはすごく合うソースのように感じました。
そのソースと一緒に出てくるオリーブオイルは、肉片を浸した後に白トリュフソルトをつけていただくのがおすすめ。肉がしっとりする上にオリーブのフルーティーな香りが加わりますが、元々お肉がジューシーなので、リブロース肉では有り難み半減の印象。ロースやヒレのとんかつなら本来の威力を発揮してくれるのではないでしょうか。
そして最後にすだちを一絞り。後半は予熱で肉がレアからミディアムレア状態になり、また違ったリブロース肉の食感をさっぱり味でいただけます。
いやいや、とんかつマンジェが「日本一」と言われる理由がよくわかります。名古屋にあるとんかつあさくらと甲乙つけがたい、何時間待っても食べる価値のあるお店だと思いました。
でも、とんかつあさくらもそうですが、とんかつの人気店ってなんで都心から離れた住宅地にあるんでしょうね?心理的なハードルが一気に高くなって、気軽にリピートできなくなってしまうではないですか…
テイクアウト用のカツサンドもあり…とんかつマンジェへのアクセスは、最寄り駅のJR大和路線・八尾駅から徒歩5分
最後に、とんかつマンジェではテイクアウト用のカツサンドも注文可能です。お土産に買って帰ったら、きっと喜ばれることと思います。ただ、すぐに食べないと肉の中に熱が通ってしまって味が落ちることが予想されるので(それでも激ウマでしょうが…)、遠方から来る人はその点ご注意ください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. 大阪で美味しいとんかつをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
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