天下一品…京都のラーメンを語る上で、このお店の存在を決して忘れることはできません。昭和46年に創業者の木村勉さん(現・会長)が銀閣寺近くで始めた屋台を起源として、その後50年ちょっとで全国に200店舗以上に勢力を拡大。たった1代でこれほどまでに全国に広がったラーメンには、一部のファンから「ラーメンを超えた」「ラーメンとは別のジャンル」などといった口コミが寄せられています。
今回はその日本屈指のラーメンチェーン店の総本山・天下一品 総本店をご紹介。ラーメンYouTuberやフードブロガーによって聖地巡礼ネタにされるこのお店、実際に行ってみると…
YouTuberやブロガーに格好のネタにされる有名店の本来の姿は…天下一品 総本店はこんなお店
とある平日の夜、仕事帰りに寄り道して、久しぶりに北白川と一乗寺の境にある天下一品 総本店へ。最寄りのバス停を降りてお店に向かっている途中、お店を出入りするお客さんの姿が遠目に確認でき、相変わらずの繁盛ぶりが窺い知れました。
この日は店頭に待ち人ゼロで、待ち時間なく店内に入店。僕の数えるほどの経験から言えば、ラーメン1杯無料のクーポンがもらえる天一の日(毎年10月1日)など特別な日に訪れない限りは、長蛇の行列や混み具合を心配する必要はないように思います。とは言っても、いつ行っても店内は満席に近い状態なので、多少はお店の前で待つことになるかもしれませんが…
店内には入り口から奥に向かってカウンター席が15脚と、その後ろに4人がけのテーブル席が5卓あります。ちょうど夕食時の時間帯であり、テーブル席には小さな子供連れの家族客が多かったですね。YouTuberやフードブロガーの格好のネタにされる天下一品の総本店ですが、その実態は普通に地域に溶け込んだラーメン屋といった感じです。
一部メニューはお持ち帰りも可能…天下一品 総本店のメニューはこんな感じ
そんな天下一品 総本店で食べられるメニューはこんな感じ…
基本的にはスープは1種類で、そこに加えるトッピングや「赤ん粉」という名の辛味調味料、ライスやチャーハン、餃子をつけた定食などでメニューのバリエーションを出しています。加えて、スープを「こってり」、「あっさり」、「屋台の味(一部店舗では「こっさり」「こてあさ」などと表記されます)」の3種類から選択でき、麺も普通麺と細麺のどちらかを選択できます。
そして、ラーメンを含めた一部のメニューはお持ち帰りにも対応しています。ただ、ラーメンは完成品としてのテイクアウトではなく、材料を持ち帰って自宅で調理するタイプ(家麺)になっています。賞味期限は製造後2週間とのことなので、ラーメン好きの友人・知人へのお土産としても使えそうですね。
天下一品 総本店でしか注文できない限定メニュー2種類を実際に試してみた
それでは今回の本題、天下一品 総本店でしか注文できない限定メニューを2種類ご紹介しましょう。その2種類のメニューは、牛すじキムチラーメン(お値段 税込1290円)と豚重(定食としてラーメン代+270円)。本当は牛すじラーメンも加えて限定メニューは3種類あるのですが、さすがにラーメンを同時に2杯、しかもほとんど同じ内容のラーメンを注文するのは…ねぇ?
牛すじキムチラーメン
まずは牛すじキムチラーメン(屋台の味、普通麺)のご紹介。メニュー表を見ても左上の角に大きく紹介されていましたし、一応お店としてもこれがおすすめメニューということになるのでしょうか。とは言え、実情はデフォルトのラーメンに牛すじとキムチをトッピングしただけ。つまり、「牛すじキムチラーメン」という名の新しい味のラーメンがあるわけではなく、牛すじのトッピングが天下一品 総本店限定ということですな。
天一のラーメンを食べ慣れた人なら、もうこのスープの味について説明は不要ですよね。鶏の旨味がぎゅっと詰まっていながら、一緒に煮込んだ10種類以上の野菜の効果で意外にも後味がスッキリした味…今回スープの濃度が「屋台の味」なので、「こってり」のようなドロッとした超濃厚スープではなく、軽くとろみがついた程よい濃度の味。それでも他店のラーメンと比べると十分こってり味ですし、ざらっとしたスープの成分の沈殿物?も舌先で感じられます。
これに対する麺は、普通麺とは言いながら中細くらいのストレート麺。そばの様に角が立っていて、表面が少しざらついているのでスープとの絡みは文句なしです。
で、トッピングのメイン・牛すじは、甘口の醤油ダレで味付けされた、いわゆるすじこんです。牛すじと蒟蒻の食感はともかく、味は完全に濃厚スープに取り込まれる形になってしまうので、存在感としてはちょっと微妙な感じ(注:決して「まずい」わけではありません)。
でも、もう一方の主役・キムチは、このスープとベストマッチでした。スープの色を真っ赤に変えるとともに、唐辛子やニンニクがスープに溶け込んで濃厚鶏スープに刺激的なアクセントを加えます。実際試してみて、僕個人的には「牛すじトッピングはいらないかな…」という感じでした。一方のキムチトッピングはおすすめですが、標準メニューにキムチラーメン(お値段 税込1000円)があるので、総本店に聖地巡礼しなくても食べることができますよ。
豚重
もう1つの天下一品 総本店の限定メニュー・豚重は、通常のお重より一回り小さい重箱で出てきました。
中はこんな感じで、ガーリック風味の醤油だれで炒められた豚バラ肉が、しっかりライスの表面を覆うように敷き詰められています。
で、この豚肉、思ったより分厚くて食べ応えがあるんです。肉汁と脂の旨味、そして肉を覆う焦げた醤油ダレの香ばしさとガーリックの香り…正直、この豚重にラーメン代+270円は破格のお値段だと思います。ラーメン一杯では胃袋が落ち着かなさそうな時には、豚重定食にするのはおすすめです。
こんな感じの2品、これらを目当てに遠方から聖地巡礼するほどの価値はないと思いますが、さすがは全国に200店舗以上展開する人気ラーメンチェーン店、安定した旨さを感じます。ラーメン好きな友人との間で話のネタにはなるので、機会があれば一度これらのメニューを試してみてはいかがでしょうか?
本店との味の違いを気にするのは無意味…天下一品 総本店へのアクセスは、最寄り駅の叡山電鉄・茶山駅から徒歩10分
ところで、天下一品の話になると「総本店との味の違い」や「直営店とフランチャイズ店の見分け方」を気にする人がいます。実際、天一ファンの中では「お店ごとで味のブレが激しい」との意見があるのも事実で、こうしたネタを話題にする気持ちも理解はできます(僕は今までそんな風に感じたことはないんですけどね…)。
でも率直に言って、僕はこれらを気にするのはほぼ無意味だと思います。なぜなら、天下一品のスープは濃縮状態のものをセントラルキッチンで作られていて、「天下一品」を店名に掲げる店舗は全て同じものを薄めて使っているからです。
これは総本店と言えども例外ではありません。味に違いがあるとすれば、それぞれの土地の水質など、不可抗力的な要素によるものなのでしょう。
僕がネットリサーチをした限りではありますが、店舗によって意図的にスープにアレンジを加えているという情報は皆無なので(卓上の調味料等が若干違うという情報はありますが)、細かいことを気にせずお近くの天下一品をご利用ください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
天下一品 総本店 (ラーメン / 茶山・京都芸術大学駅、一乗寺駅、元田中駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0
住所:〒606-8175 京都府京都市左京区一乗寺築田町94 㐧2メゾン白川 1F
電話番号:075-722-0955
営業時間:11:00-翌0:45
定休日:無休
駐車場:なし
クレジットカード払い:可(電子マネーにも対応)
JR京都駅や四条河原町からだと、京都市営バス5番系統岩倉操車場前行きで一乗寺木ノ本町バス停で下車、徒歩2分です。
P.S. 京都で美味しいラーメンをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄ってみてください…
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