今では割と一般的になった実店舗を構えない「間借りカレー」、その先駆けとなったお店が大阪のスパイスカレー激戦区・北浜にあります。
FOLK old book storeという古本屋を間借りして平日ランチタイムのみ営業している、谷口カレー in FOLK old book store(以下、谷口カレー)。2010年に中崎町で「月曜日のみのカレー屋」としてスタートし、その後谷町8丁目とのW間借りを経て、現在の北浜での週5日営業に落ち着いています。
そのカレーにありつくまでの敷居の高さから、一部では「幻のカレー」とすら呼ばれている谷口カレー、たまたま平日に休みができて「チャンス!」とばかりにお店に行ってみると…
お昼前には意外と行列なし…待ち時間なく入店するには開店時間直前の来店がベスト
開店時間の20分前にお店に到着すると、この日の僕の前の先客は2名だけ。「幻のカレー」と呼ばれることから開店前のすごい行列を想像していましたが、結局開店時間までそれほど人が集まらずあっさり入店となりました。ちょっと拍子抜けな感もありましたが、きっとメインのお客さんは周りで働いているビジネスマンなんでしょうね。まだ昼休みになっていないこの時間なら、並ばずに普通に入店できるのではないかと思います。
店内は今時の「店主のこだわりを表現した古本屋」という雰囲気で、壁際には古本が積まれている他に雑貨品も数多く並べられています。そんな空間に厨房沿いに客席は、カウンター5脚に奥の東横堀川を見下ろせるカウンター席7脚、4人がけのテーブル席1卓と小上がりの座敷席1卓。客席がバラエティーに富んでいて、何気に使い勝手が良さそうです。タレントの小塚舞子さんも、雑誌で「子供と行きやすいカレー店」として谷口カレーを紹介していましたからね…
谷口カレーのメニューは限定モノを含めて3種類…限定メニュー狙いなら12時前の来店がおすすめ
そんな谷口カレーで食べられるスパイスカレーのメニューは…
- チキンカレー 850円
- 麻辣豚バラキーマ 900円
- シーフードカレー 900円
の3種類のみ(値段は税込)。他のフードメニューやトッピングはなく、カスタマイズは大盛り(+100円)と辛さ調節(無料)のみというシンプルさが特徴。
このうち麻辣豚バラキーマとシーフードカレーは数量限定メニューなので、営業時間を通じて確実に注文できるのはチキンカレーのみということになりますね。ランチタイムになると周りで働いているビジネスマンがわんさかとやって来そうなので、限定メニュー狙いならやはり開店時間直後、遅くても12時前には入店しておくことをおすすめします。
チキンカレー:谷口カレー唯一のレギュラーメニューは他店のスパイスカレーと違って…
これらの数量限定メニューへの誘惑を抑えつつ、今回僕が注文したのは谷口カレー唯一のレギュラーメニューであるチキンカレー。ライスは普通盛りで、辛さはふつう、ちょい辛、辛口、激辛の4段階のうち「辛口」を選択しました…
最近流行りのスパイスカレーとしては盛り付けはシンプルですが、カレーではあまり見慣れない具材がところどころに含まれているようです。ルーには少し粘度があって、シャバシャバ系というよりは少し欧風カレーに傾いた感じがあります。
で、実際食べてみると…最初のインパクトは「辛さ」でした。一口二口で脳天から汗をかき出す、南国スパイス系料理特有の汗のかき方…個人的には食べられないほど辛くはないのですが、正直「谷口カレー初めてだし、もうちょっと下から始めればよかったかなぁ…」と、心の中では思いました。
その辛さがひと段落すると、穏やかなトマトの酸味とカルダモンなど爽快系スパイスの清涼感が徐々に口の中に広がっていきます。それに加えて、どことなく懐かしい味がするんですよね…スパイスに隠れてしまってはっきりはわからないレベルですが、このルーのレシピには和風出汁が入っているようなんです。
そして具材の方も、チキンに加えてカボチャや大根、豆腐といった日本の食材の数々。しかもただ放り込んであるのではなく、しっかり出汁で煮込んであるし…スパイスカレーでありながら、かなり日本を意識した一皿になっています。そりゃあ僕たち日本人、ハマりますよ。
一方のライスは、他店と比較しても硬めの炊き上がりですね。ルーに粘度があるのでライスの隙間にルーが入り込んで…という感じではなく、やはり欧風カレーというか、お家カレーにも近い食感があります。これもある意味新鮮ですね。スパイスカレーでありながらここまで日本のカレーに寄せているのは、他のスパイスカレー専門店にはない谷口カレーの大きな強みではないかと思います。
あえて欲を言えば、もうちょっとライスが欲しいなぁ…ライスとルーのバランスで言えば、圧倒的にルーの量が多いです。僕はルーそのものの味を楽しむのが好きなので、それ自体は苦になりませんが、やっぱりライスをもうちょっと食べたいです。男性なら少しボリューム不足感を感じるかもしれないので、100円プラスで大盛りにするのをおすすめします。
シーフードカレー:売り切れ必至!1日10皿限定の「幻のカレー」そのお味はいかに?
谷口カレーへの2回目の訪問では、1日10食限定の正に「幻のカレー」・シーフードカレーを注文。前回の教訓を踏まえて、今回は辛さ普通でオーダーしてみました…
出てきたシーフードカレーはこんな感じ。ルーがイカスミで黒くなって、チキンカレーより欧風カレー寄りの色に。そしてお皿からは磯の香りがふわ〜っと漂ってきます。
で、実際口に入れてみると…イカスミの効果かチキンカレーよりもとろみを感じますね。味は一言では言い表せない複雑なスパイス感。クミンのエスニックな香りとか、カルダモンの清涼感とか、言葉で表せる尖った特徴はないけれど全体が調和した不思議な旨さを持っています。そこにイカスミを中心とした魚介系の旨味と香りが加わっている感じ。一方、辛さの方は遅れて少し感じる程度で、普通の人なら問題なく食べ切れるレベルです。
相変わらずライスが少なめではありますが、この独特な旨味をもつルーを思う存分堪能できるのは嬉しいですね。いつもあっさり売り切れるのがよくわかります。チキンカレーとは全く違った味付けですし、チャンスがあればシーフードカレーも一度試してみてはいかがでしょうか?
麻辣豚バラキーマ:麻辣とカレースパイスのダブル刺激がクセになる、こちらも1日20食の限定メニュー
そして最後にご紹介するのが、こちらも1日20食限定の麻辣豚バラキーマ。辛さは普通と辛口の中間・ちょい辛でオーダーしてみました…
光の加減で画像ではうまく伝わりませんが、見た目にはチキンカレーとよく似てますね。キーマカレーとは言ってもルーに水分もしっかりあり、どちらかというとシャバシャバ系カレーのような印象です。
で、実際口に入れてみると…味的にはチキンカレーのスパイス感と麻辣の中華系の味が半々、といったところでしょうか。まずはトマトの酸味と麻婆豆腐の旨味が一緒にやってきて、一瞬遅れて各種スパイスの香りが口から鼻へ広がる感じ。キーマカレーを名乗るだけあって、チキンカレーよりは豚挽肉は多め。その分豚肉の旨味もしっかり感じられるようになっています。
でも、スパイスと麻辣のダブルの刺激は確かにクセになりますね。ヤミツキ度は3種類の中で一番かもしれません。辛さも普通より少し辛くなっていますが、体感的には市販のカレールーの中辛くらい。辛さで汗をかくほどではありません。
こんな感じで谷口カレーのメニューと辛さをいろいろ試してみました。味についてはこれまでにご紹介した通りですが、辛さについてはちょい辛と辛口の間で大きく隔たりがあるように感じました。この2つの間にもう一段階あってもいいかな…あるいは、ちょい辛が少しおとなしい気もするので、これがもうちょっと辛くなってもいいかもしれません。
お店の混み具合をツイッターでチェック!谷口カレーへのアクセスは、最寄り駅の大阪メトロ堺筋線(京阪電鉄)・北浜駅から徒歩5分
そんな谷口カレー、店主の谷口智康さんが毎日お店の混み具合をツイッターで呟いてくれているのを知っていると、ランチタイムに出遅れた時に訪店すべきかどうかの参考になります。カレーがまだ残っている時は「めちゃめちゃゆっくりしてます」「遅めの時間にもぜひ」などとコメントを入れてくれるので、そんな日は売り切れを気にせずゆとりをもってお店に向かうことができます。ぜひご活用ください!
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
P.S. 大阪で美味しいスパイスカレーをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄ってみてください…
コメントを残す