創業弘化元年(1844年)、「日本一古いおでん屋」と言われている道頓堀の老舗・たこ梅 本店(たこうめほんてん)。昔から著名な作家や有名人に愛されてきて、たびたび小説にも登場してきた伝統ある関東炊きのお店で、僕も前々から「いつか行きたいな…」と思っていたんですよね。
で、次第に寒さが厳しくなってきた令和4年11月末、何気なくお店のサイトを覗いてみたら…
11月のみの季節限定メニューの案内が。
自分でもよくわからないけれど勝手に焦り出して、11月最後の週末に無理やり時間を作って、道頓堀にあるたこ梅 本店に行ってきた、というわけです…
夕方5時ですでに店内は満席…たこ梅 本店の気になる待ち時間は?
難波駅からなんばウォークを東に向かい、日本橋駅から地上に上がって宗右衛門町方面へ…たこ梅 本店は、道頓堀商店街の東端から1ブロック中に入った場所にお店を構えています。僕がお店に到着したのは、とある週末の夕方5時頃。ちょっと微妙な時間帯でしょうか。店頭に行列はできていませんでしたが、店内は既に満席だったので、空席ができるまでお店の外で待機することにしました。
たこ梅 本店の開店時間は午後4時。さすがに1時間飲み食いしていれば、お腹も心も満たされてお店を後にする人が出てくるだろう…そう踏んでいた僕の期待通り、10分も待っているとポツポツとお勘定を終えたお客さんが店内から出てきます。
でも、その後しばらく待っていても、お店の人から全然声がかからないんですよね。数分待って痺れを切らして、再びお店に入って店員さんに声をかけると、どうやらたこ梅 本店では店外の行列に並ぶのではなく、店内の待機スペースで入店待ちをするシステムなんだとか。確かに、お店の中ほどにベンチが数人分あって、この時点で4〜5名の先客が待っていました。
それを知って、慌てて僕も店内へ。芸能人訪店の写真やサイン色紙などを眺めながら、店員さんから声が掛かるまでずっと待機。結局、お店に着いてから席に案内されるまで1時間くらいかかりました。たこ梅 本店は2時間制をとっているのですが、お客さんの多くは時間いっぱいまでおでんとお酒を楽しんでいるようでした。そんなわけで、お客さんの回転はかなり遅い方なので、予約なしで訪店する場合には待ち時間にかなりの覚悟が必要です。
敷居が高いように見えるけれど…たこ梅 本店はこんなお店
さすが創業から180年近く続くたこ梅 本店、やっぱりお店の雰囲気が作り物とは違います。木造の建物はレトロ感満載ですが、古びた感じではなくレトロな中にも暖かみを感じます。客席はコの字型のカウンター席と奥のテーブル席を合わせて、食べログ情報で24席。客席スペースはかなり狭く、お互い譲り合わないとすれ違いも困難なほどですが、そこがまた昔の風情を感じさせていいところでもあります。
でもこのたこ梅 本店、実は平成14年に一旦閉業しているらしいんです。その後支店の頑張りで本店の再建に至るわけですが、その際に老朽化した建物を建て替えするのではなく、一旦解体して耐震補強をして元の形に戻すという、お金と手間がかかる方法でお店を再現しています。このようにすごく大切に扱われてきた建物なので、店内は全席禁煙です。愛煙家の人には辛いかもしれませんが、そこはしばしのご辛抱を。
そんな歴史と伝統があるこのお店、「敷居が高い」と感じる人が結構いるみたいですが、僕が利用してみた限りでは全然そんなことありませんでしたね。店員さんも若い人が多く、接客も丁寧でしたし、常連さんには小さな子供を連れてくる人もいるようですし…もしあなたもこのお店が気になっていたら、気軽に暖簾をくぐって店員さんに声をかけてみるといいと思います。
たこ梅 本店のおでんメニューは1品165円から…全品お持ち帰りにも対応中!
さて、気になるたこ梅 本店のおでんメニューですが、1品165円(税別)からという値段設定になっています。いくつか例を挙げると…
- 卵 165円
- こんにゃく 165円
- 厚揚げ 220円
- もち巾着 275円
- ロールキャベツ 500円
こんな感じ。名物の鯨メニューなどは1000円近いお値段がするものもありますが、定番の関東煮メニューは高くても1品500円には収まっているので、ある程度たくさん注文しても1人1万円を超えるようなことはなさそうです。
また、これらのメニューの多くはお持ち帰りが可能です。注文方法は、店頭のお持ち帰りコーナーで希望のおでんの具の札を取って店員さんに渡すだけ。とっても簡単です。一旦満席になると席が空くまで時間がかかるし、「そんなに待てない!」という時にはテイクアウトを積極的にご活用ください。1品から注文可能なようなので、食べ歩き的に利用してもいいかもしれません。
それでは、この日に僕が注文した全10品を順にご紹介していきましょう…
大根、じゃがいも、ちくわ
まずは定番の関東煮メニューから大根、じゃがいも、ちくわの3品を注文。ちくわが市販のちくわサイズで、見た目にちょっと残念かな…その一方で、大根は鰹風味と優しい甘味が効いたおでん出汁をたっぷり吸っていて、箸を当てるとほろっと崩れ、口の中でお出汁と一緒に溶けていくかのような柔らかさ…たこ梅に来たら、まずこの大根は必食でしょうね。おすすめです。
鯨はりはり袋とモッツァレラチーズ
続いて注文したのが11月限定メニューの鯨はりはり袋と、創作メニューの1つ・モッツァレラチーズ。画像左の鯨はりはり袋の中には「ころ(脂抜きした鯨の皮)」と「さえずり(ひげ鯨の舌)」が入っているのですが、ほとんどが水菜なので一口で食べてしまうと鯨を感じることなく不完全燃焼に。一方のモッツァレラチーズは、お出汁の熱で溶けたチーズのとろとろ食感を楽しむメニュー。最近チーズ系のおでんだねを出すお店が多くなってきた気がするし、もはやおでんの具材としても定番化してきたかもしれません。
ひろうす
ひろうす…いわゆる「がんもどき」です。たこ梅のひろうすは、とにかくデカい!テニスボールくらいの大きさがあります。断面を見ても外側の揚げ豆腐の部分が分厚くて、他店のひろうすとは違ってかなりハードな食べ応え。これ1つで結構お腹を満たせるので、空腹の時はとりあえず1個注文しておくといいでしょうね。
きゅうり叩き梅肉和え
ここできゅうり叩き梅肉和えを注文して、ちょっと箸休め。続いて注文したのは…
たこの甘露煮
たこ梅の名物メニューの1つ、たこの甘露煮。創業時代から日々足し続けて独特の旨味を凝縮させた出汁で煮込んでいるとのことです。しっかり甘味のついたタコ足はぎゅっと締まって噛みごたえあり。辛口の日本酒のお供におすすめの1品。
さえずり
先ほどの鯨はりはり袋で納得いかなかったので、追加でこちらも名物メニューの1つ、さえずりを注文。一言で食感を表現するなら「弾力がありすぎて噛みきれない肉の脂身」ってところでしょうか。最初はひたすらスポンジを噛んでいるような感じなのですが、しばらくするとおでん出汁と同じ優しい甘味がじんわりと感じられるようになります。辛抱強く噛み続けないと味がわからないので、早食いさんが注文するときはくれぐれもご注意を。
汁かけご飯
そして最後に締めとして注文したのが、白ごはんにおでん出汁をたっぷりかけた汁かけご飯。トッピングを鯨の大和煮と豆腐のどちらかを選べて、今回は鯨の大和煮を選択しています。
お茶漬け感覚でおでん出汁とご飯をサラサラかき込めるのも魅力ですが、鯨肉を意外としっかり載せてくれていて嬉しいサプライズ。柔らかく煮込まれた鯨肉は牛肉のような食感もあり、思った以上に舌も心も満たされます。
以上の10品とお通し、ドリンクをつけて、お会計は税込で6000円ちょっと。率直に言って、敷居は高くないけれどお値段は高いな…と感じました(福島の花くじら本店と比べて1.2〜1.5倍くらい高い印象)。とは言え、江戸時代から180年近く続いてきた老舗中の老舗。その味だけでなく建物も創業当時のまま守られていることを考えれば、文化財保護という意味合いでこのくらいの値段は許容範囲内でしょう。
梅田に支店が2店舗あり…たこ梅 本店へのアクセスは、最寄り駅の大阪メトロ堺筋線(近鉄奈良線)・日本橋駅から徒歩3分
こんな感じのたこ梅は、今回ご紹介した道頓堀の本店の他、新梅田食道街の中に2店舗(たこ梅 北店とたこ梅分店)支店を営業しています(ホワイティうめだ内にあったたこ梅 東店は、令和3年3月末で閉店しました)。梅田近辺でおでん屋さんをお探しの時には、これらの支店の利用を考えてみてはいかがでしょうか?本店とは違って土日祝日には15時から営業しているので、遅めのランチとしてもおでんを楽しめるかもしれません。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
お隣の大阪メトロ御堂筋線 なんば駅(近鉄奈良線 大阪難波駅)からだと徒歩7分の距離です。
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