博多に着いた11月の夜、予想していたより寒くて「鍋が食べたいなぁ…」と、ホテルへ向かう途中で思い始めた僕。博多と言えばもつ鍋が有名。頭の中の記憶を検索して人気店を数店ピックアップしている途中で、「そう言えば…」とアラ鍋の存在も思い出したんですよね。
昔グルメ漫画「美味しんぼ」で大原社主のとんでもない勘違いに振り回された山岡士郎と栗田ゆうこが魚の残り物(骨やお頭)を使った鍋を出そうとしたところ、ライバルの海原雄山に救われて、無事「魚の」アラ鍋を出すに至った話。「アラ」とは近畿地方では「クエ」と呼ばれる高級魚で、産地の和歌山に行って食べても普通に1万円以上請求されるやつです。
でも、せっかくならアラの美味しい時期に食べたいじゃないですか。で、スマホでアラの旬を調べてみたんですよ。そうしたら「11月〜12月」と書いてある…「今じゃん!」と、少し焦りましたね。間髪入れず、美味しんぼの題材となった相撲茶屋 大塚に電話。翌日カウンター席なら予約が取れるとのお返事をいただいて、次の日の夜7時に無事訪店となったのでした…
現役力士も大勢訪れるちゃんこ屋さん…相撲茶屋 大塚はこんなお店
とある土曜日の夜7時、天神方面から渡辺通を南下して西に折れたところにある相撲茶屋 大塚に到着しました。昔ながらの和風の2階建てで、外から見ても大宴会ができそうなくらいの大きな店舗。お店の正面に立っていると、昭和時代から続く高級な飲食店のようなレトロな雰囲気が感じられます。その入り口には水槽があり、中で大きなクエが2匹、所狭しと泳いでいました…
店内はやはり広々としていて、1階には厨房とカウンター席3脚、そして奥に座敷席がありました。2階にも宴会ができる大広間などがあり、総席数は75席あるようです。僕が座ったカウンター席からは厨房が丸見えで、厨房内でアラを捌く様子の一部始終を眺めることができました。仲居さんによると、厨房の中に入って観察したり、写真を撮ったりするお客さんもいるようですよ…
さて、この相撲茶屋 大塚には相撲の九州場所が開催される時には大勢の現役力士が訪れるようです。店内に流れるBGMも「あ〜どすこい!どすこい!」と連呼する「相撲甚句」と呼ばれる囃子歌で、店内にいるだけで相撲文化にどっぷり浸かっているような感覚になれます。そうそう、もちろん美味しんぼの単行本(全巻揃ってはいませんでしたが…)や作者の雁屋哲氏のサイン色紙もありましたよ。相撲ファンだけでなく、美味しんぼのファンの方も聖地巡礼の余韻に浸って良い気分になれるのではないでしょうか。
名物・アラ鍋を含めた豊富なコースメニューが選べます…相撲茶屋 大塚で今回注文したあら刺 あら鍋セットをご紹介
相撲茶屋 大塚では名物・アラ鍋やちゃんこ鍋を含めたコースメニューが豊富に取り揃えてありますが、できるだけ電話予約時に当日食べる料理をお店に伝えておくことが望まれます。今回僕は「まずアラ鍋が食べられればいいや!」と、比較的軽めの内容の「あら刺 あら鍋コース(お値段 税込9900円、別途サービス料10%が必要)」を注文。このコースに含まれる料理全4品(+デザート)を順にご紹介していきますね…
あらの明太和え
まずはお通しとして出てきた「あらの明太和え」。アラの身の刺身を自家製の明太子で和えてあります。アラの身は弾力があってプリプリ。噛み締めると明太子のピリ辛と一緒になったアラの旨味がじんわりと滲み出てきます。
あらの刺身
続いて登場したのがあらの刺身。どうやらアラは身の部分だけじゃなく、内臓も湯引きにしてポン酢で食べるようです。身は歯応えを楽しめるように分厚くカット。内臓はコリコリしたもの、ちょっと表面がざらついたものなど各種あって、様々な食感を楽しめます。
あら鍋
そして今回のメイン、あら鍋の登場。1人前の材料はこんな感じ。中にアラの目玉の部分が含まれていますが、仲居さんが「目玉の部分は大丈夫ですか?」と聞いてくれるので、苦手であれば一声かければ取り除いてくれます。
まずは出汁からとっていきます。昆布と大根を土鍋の底に敷いて、薄口醤油と酒で味付けしたお出汁を火にかけます。中が煮立ってきたら…
アラの身や椎茸、野菜を中に投入してグツグツ…ずっと横で見ていたんですが、強火でかなり長い時間この状態で煮続けていました。多分、強火で焚き続けてアラの身から出てくるアクをできるだけ出し切ってしまおう!ってことなんでしょう。少なくとも5分以上は煮続けていたでしょうか。ほとんど取れるアクも無くなってきた頃に火を止めて完成。ここまですべて仲居さんが調理してくれるので、あなたは何もしなくても最高に美味しい状態のアラ鍋を楽しむことができますよ。
まずは椎茸やにんじんとともに。この下にアラの目玉の部分が入っていて、眼球周りのプルップルなゼラチン質の部分を思う存分楽しめます。きっとこの中にDHAやらがたくさん含まれているんだろうな。こいつを食べれば、きっと頭が良くなること間違いなし、かな?
続いて、今後はアラの身の部分を含めて。いや〜、たまらんっすわぁ。アラの身がプリップリで、白身魚と思えないほど脂がたっぷり乗っていて…でもこの脂の乗り、刺身で食べた時にはそこまで感じられなかったから不思議。アラの身に熱を通すことで脂が際立つようになるのかな?よくわかりませんが、とにかく旨味が他の白身魚と段違いだということだけはお伝えしておきます。
そして3回目は、土鍋の底で煮続けていた大根の切り身。鍋に入れていたすべての食材のエキスを吸っていて、口の中で噛み切ると同時に全ての旨味を一気に放出。この大根が「まずい」なんてことはあり得ないって、ここまで読んでくれているあなたにはお分かりですよね。
柚子明太子入り スープかけご飯
そしてこのアラ鍋の〆は柚子明太子入りのスープかけご飯。相撲茶屋 大塚特製の柚子明太子を乗せた白ごはんの上から、アラ鍋で残ったお出汁をたっぷりかけていただきます。
鍋の〆といえば普通は雑炊ですが、こんな感じのお茶漬け感覚の〆ご飯もいいですよね。明太子の辛味がお出汁に溶け込んで、軽く刺激的ながら出汁の旨味が身体全体にジワっていきます。しかも、口から鼻へゆずの香りもふわっと漂ってきて…もう何も言うことはありません。しかも、土鍋に残ったお出汁は全部自分のものなので、ご飯を食べ終えた後も…
お出汁だけで満足するまでアラ鍋の余韻を楽しむことができます。今回は品数少なめのコースにしましたが、この時の僕はこれだけで十分満足できました。
胃袋も心も満たされて、じゃあお会計…と思ったところで、デザートのメロンが出てきました。これは嬉しいサプライズ。お会計をしていただいている間にペロリといただきました。アラは高級魚なのでそんなに頻回には食べられませんが、またお金を貯めて博多までアラ鍋を食べに来たくなりました。ホント、博多に住んでいる人がうらやましい…
福岡土産に自家製の柚子明太子はいかが?相撲茶屋 大塚へのアクセスは、最寄り駅の福岡市地下鉄七隈線・渡辺通駅から徒歩7分
もし相撲茶屋 大塚のアラ鍋+〆のスープかけご飯を気に入ったら、帰りにお店特製の柚子明太子を買って帰るなんていかがですか?
博多名物の1つ・明太子。賞味期限も20日と比較的長めなので、買ってすぐに食べられなくなるという心配もありません。お店のサイトによると通販にも対応しているようです。気になったら下のリンクからお店のサイトに入って、詳細をチェックしてみてください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
西日本鉄道天神大牟田線・薬院駅からでも徒歩8分で行けます。
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