毎年大晦日に食べる年越しそば、あなたはどうしてますか?僕は例年カップ麺で済ませることが多いのですが、去年(令和4年)はちゃんとお店で年越しそばを食べよう!と思ったんですよね。
で、どこで食べようか?とお店を探す時に、真っ先に頭に思い浮かんだのが、前々から一度は行ってみようと思っていた総本家にしんそば松葉(まつば) 本店。創業文久元年(1861年)の超老舗、京都名物・にしんそば発祥の店として知られるこの蕎麦屋は、毎年大晦日には夜中の3時まで営業をしてくれるんです。
と安易な発想でお店を決めてしまったのですが、この後当初の想像をはるかに超える事態に巻き込まれてしまうのでした…
年に1度の特別な夜、総本家にしんそば松葉 本店の行列も特別だった…
僕が総本家にしんそば松葉 本店に到着したのは夜の8:30頃。店頭には普段見られない行列ができていて、「松葉は有名店だし、さすがに大晦日で行列ゼロってことはないよなぁ」と思いながら、余裕綽々で列の最後尾に並びます。
行列とは言っても、お店の入り口から数えてせいぜい20人弱くらいの行列。蕎麦屋なので比較的お客さんの回転は早そうだし、あわよくば20〜30分で…そんな期待をしながらスマホで時間を潰していると、予想より早く並び始めてから15分ほどで店内に入れました。
予想外だったのはここから。松葉 本店の建物は4階建てのビルになっていて、1階がお持ち帰り商品などを扱う売店(通販もやっています)、地下1階と2階、3階が客席になっているのですが(4階は厨房らしいです)…
店内に入ったあたりでそれまで一列に並んでいたお客さんが3つに分かれていくんです。それぞれの行き先は2階、3階、そして地下1階の客席。つまり、店内に入ってもまだまだ行列は続いていたんです。そして、その行列の様子がこちら…
これ、僕が2階席へ上がる途中の踊り場から撮影したものですが、狭い店内にものすごい人だかり。みんな「新型コロナ?何それ、美味いの?」とでも言わんばかりにぎゅうぎゅう詰めで列に並んでいます。
こんな感じでひたすら耐える時間が続き、最終的に席に案内されたのが並び始めてから1時間後くらいでした。総本家にしんそば松葉 本店の総席数は100席あるらしいのですが、それくらい大きなキャパのあるお店で1時間待ちの行列って…率直に言って、二度目はちょっと勘弁って感じです。
140年以上続く伝統の味…総本家にしんそば松葉 本店で看板メニューのにしんそばを食す
それでは、この日の僕が注文した総本家にしんそば松葉 本店の看板メニュー・にしんそば(お値段 税込1650円)をご紹介しましょう。画像はこちら…
一見かけそばのように見えるのですが、右側にチョンと黒いものが見えますよね?これは「身欠きにしん(みがきにしん)」と言って、三枚におろしたニシンの身を天日干しにしたもの。この身欠きニシンを甘露煮にしたものが一本、この蕎麦に隠れているわけです。長さがちょうど丼の直径くらいあるので、実は身欠きニシンだけでもそれなりのボリュームがあります。
さて、今回は実食へいく前に、にしんそばについてちょっとだけウンチクを垂れましょうかね。にしんそばとは、松葉の二代目・松野与三吉さんが明治15年(1882年)に発案した、かけそばの上に身欠きにしん(みがきにしん)の甘露煮を乗せたもの。海から遠い京都では、当時から身欠きにしんは貴重なタンパク源かつ保存食で、この身欠きにしんと蕎麦を合わせて栄養のバランスが取れたメニューを…と開発したのが、松葉の元祖にしんそばというわけです。
とウンチクを垂れたところで、そろそろ実食へといきましょうかね…まず、蕎麦をすする前から鼻に漂ってくる出汁の香りがすごいです。この香りを嗅ぐだけで「日本人でよかったぁ〜」と感じるのは僕だけでしょうか?
そばは表面がざらついていて、柔らかめの茹で加減。コシの強い麺が好みの人には物足りなさを感じるかな…でも、歯切れは良くて喉越し良好。遅れてそばの香りが出汁の香りと一緒になってふわっと香ってきます。出汁も関西らしく薄味で、その分そば自体の味をしっかり感じられるようになっています。
これに対して、身欠きにしんは色からもわかるようにコッテリ醤油味。ガチガチに天日干しされて身が硬くなっているのですが、ある程度の力を加えるとホロっと崩れていくように噛み切れます。この身欠きニシンをほぐしてしばらく置いておくと、お出汁にニシンの脂と旨味が溶け出して、薄味のお出汁が次第にコク深い味に変わっていきます。その頃になると身欠きニシンにもお出汁が染み込んで柔らかくなり、絶好の食べ頃というわけです。蕎麦は時間が経つと伸びてしまうので難しいところですが、あまり早くに食べ終わってしまうとにしんそばの魅力を十分に楽しめずに終わってしまうかもしれません。
はっきり言うと、にしんそばという食べ物は今の若者向きではありません。元々ニシンという魚もあまり評判が良くないし、美味しいものに囲まれて育ってきた人にとっては「まずい」の一言で片付けられてしまう食べ物かもしれません。
でも、これ京都で140年以上続いてきた食べ物ですからね…今後もそう簡単に廃れていく食べ物には思えません。現代風ではないけれど、素朴で歴史を感じる、かつ昔の人の知恵が詰まった食べ物。日本の歴史を感じたい時なんかは特に「総本家にしんそば松葉 本店でにしんそばを食べる」というのは予定に組み込んでおく価値があるものだと思います。
総本家にしんそば松葉 本店のその他のメニュー例(値段は税込)
- あなごそば 2200円
- 鴨なんばんそば 2000円
- 冷しにしんそば 1815円
- 俵そば 1650円
- 天ぷらそば 1650円
- にしん定食 2145円
- 天丼 1820円
すぐ側にある北店、そして京都駅店も営業中…総本家にしんそば松葉 本店へのアクセスは、最寄り駅の京阪電鉄・祇園四条駅から徒歩0分
さて、こんな感じで大晦日の夜は半端ない行列ができる総本家にしんそば松葉 本店、普段はここまでの行列はできていないのでどうかご安心を。また、本店のすぐ北側に総本家にしんそば松葉 北店、そして京都駅新幹線改札内に総本家にしんそば松葉 京都駅店もあるので、京都で昔ながらの蕎麦を食べたくなったらぜひ一度立ち寄ってみてください。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
総本家にしんそば 松葉 本店 (そば(蕎麦) / 祇園四条駅、京都河原町駅、三条駅)
夜総合点★★★★☆ 4.5
住所:〒605-0075 京都府京都市東山区四条大橋東入ル川端町192
電話番号:075-561-1451
営業時間:10:30-20:40
定休日:水曜日、木曜日(祝日の場合は営業)
駐車場:なし
クレジットカード払い:可
阪急京都線・京都河原町駅からだと徒歩2分で行けます。
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