晦庵 河道屋(みそかあん かわみちや)。江戸時代の1688年頃に創業したとされるこのお店は、生前のデヴィッド・ボウイやスティーブ・ジョブズが通ったことで一部の蕎麦通に知られています。
そんな海外の著名人が日本滞在中に通い詰めたお店はどんなところなのか?そして、そこでどんな蕎麦が食べられるのか?前々から気になってこのお店のことをマークしていた僕は、とある週末のお昼過ぎに訪店のチャンスが巡ってきて晦庵 河道屋を訪問しました。海外の著名人が通う店ということで、ある程度お財布に負担がかかることを覚悟していたのですが、実際は全然違って…
京都の中心にあってとっても静か…晦庵 河道屋はこんなお店
晦庵 河道屋がお店を構えるのは、御池通りから麩屋町通を南に少し下ったところ。その通り沿いには京都の御三家と呼ばれる俵屋旅館・柊屋・炭屋旅館の3つの高級老舗旅館があって、著名人がふらっと歩いてお店に立ち寄る環境は整っています。
その麩屋町通にある門をくぐって少し中に入ったところにある隠れ家的な店舗は、高級感を感じるどころか古風で飾りっ気のない素朴な雰囲気。いわゆる「うなぎの寝床」という感じの細長く奥に伸びた建物内に、全部で70席の客席があるようです。
僕はお店の入り口を入ってすぐ左側にある座敷席に案内されたのですが、このお店にいると妙に気分が落ち着くのに驚きました。本当に素朴で何もなくて、京都のど真ん中にいるはずなのにとっても静か。加えて、席から見える中庭が風情があっていんですよね。ここで何気なくボーッとしている時間がすごく貴重に思えるくらい。もしかしたら、そんな空間と時間を海外の著名人は気に入っていたのかな…という気もします。
創業300年以上の老舗蕎麦屋・晦庵 河道屋で食す京都名物・にしんそば、ぶっちゃけどうだった?
今回僕が晦庵 河道屋で注文したのは、京都名物の1つであるにしんそば(お値段 税込1600円)。注文してから待つこと約10分、目の前に運ばれてきたにしんそばはこんな感じ…
ちょっと小さめの丼で出てきたので、ボリューム的にはやや少なめの印象。でも、この丼から立ち込める出汁の香りがすごくって、その出汁の香りを嗅いでいるだけでうっとりしてしまいそうになります。
でも、そんなことをしていたらあっという間にそばが伸びてしまうので、早速いただきましょうか…蕎麦は一般的なそばよりも若干太めでしょうか。表面が軽くざらついていて、箸で持ち上げた時に質感のようなものを感じます。最初は程よいコシを感じるくらいの麺の茹で加減だったのですが、後半は出汁を吸って柔らかくもちもち食感に変化…というか、やっぱり伸びるまでの時間が早そうなので、このお蕎麦は出てきたらさっさとすすってしまう方がいいですね。
一方のお出汁は、見た目色が黒くてギョッとする人もいるかもなのですが、実際に飲んでみると意外とあっさり味なんですよね。節系の出汁と香りがガッツリ効いていて、出汁だけでもゴクゴク飲めちゃう感じ。そばの表面のざらつきの作用か、蕎麦をすすっている時も出汁がしっかり吸い上げられて、口から鼻へ削り節の香りがふわっと漂ってきます。そばが喉を通り過ぎた後にもその出汁の香りが逆流的にやって来て、最後の最後までその上質な出汁感を楽しむことができます。
さて、にしんそばのもう1つの主役、身欠きにしんは、箸で持ち上げようとすると簡単に崩れてしまうくらい柔らかかったですね。味は甘味が強めの醤油味で、全然塩辛くないのでそのままでも普通に食べられます。口の中ではほろっと解けるようにして崩れていく柔らかさで、小さな子供でも食べられそうな印象すら受けました。にしんそばの元祖・松葉本店の身欠きにしんよりずっと食べやすく、あっという間にペロリでした。
こんな感じの晦庵 河道屋のにしんそば、やっぱり気持ちボリューム的には少なめだったんですけど、後になって振り返ってみると、これくらいの量がちょうど良かったのかもしれません。お腹いっぱいにしてしまうと、食後の余韻を楽しむ余裕がなくなってしまいますから。
それにしても、やっぱりお店の素朴な雰囲気がいいですね。この雰囲気が好きな人は何度でも通い詰めたくなりますよ。近くには晦庵 河道屋を超える創業550年以上の老舗蕎麦屋・本家尾張屋があるのですが、ここと対等、あるいは勝るくらいの和の情緒を全身で感じられます。そんな雰囲気最高のお店で庶民価格でお蕎麦が食べられるなんて、京都における最上級の贅沢の1つと言っても過言ではないかもしれません…
晦庵 河道屋のその他のメニュー(値段は税込)
- ざるそば 950円
- 山かけ 1300円
- 志っぽく 1300円
- 鴨せいろ 1600円
- あなごそば 1700円
- 親子丼(かけそば付き) 1700円
- 天丼(かけそば付き) 2100円
- 芳香炉 1人前4400円(2人前か3人前で注文、事前予約可)
聖護院近くで河道屋 養老も営業中…晦庵 河道屋へのアクセスは、最寄り駅の京都市営地下鉄東西線・京都市役所前駅から徒歩3分
そんな京都の老舗蕎麦屋・晦庵 河道屋には、聖護院近くで営業している暖簾分け店があります。そのお店・河道屋 養老も明治43年創業の老舗蕎麦屋で、こちらでも見事な日本庭園を眺めながら、優雅な気分で蕎麦をすすることができます。
この河道屋 養老も昭和の名俳優・勝新太郎が通った店として有名で、過去には高松宮殿下が訪れたこともあるそうな。そんな京都でも格式の高い2つのお蕎麦屋さん、蕎麦好きなら一度は試してみないといけませんよね?
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
京都市営地下鉄・烏丸御池駅と阪急京都線・京都河原町駅から徒歩8分の距離です。
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