中華そば処 琴平荘(こんぴらそう)。元々は旅館として宿泊客を相手に営業していたのですが、客足が遠のく冬季に社長の掛神 淳さんが独学でラーメンの提供を始めたのが現在のお店の始まり。そのラーメンがあまりにも評判良すぎて、今では旅館を廃業して冬季限定営業(令和4年度現在、10月1日から翌年5月31日まで。通年営業ではないので注意!)のラーメン専門店として営業しています。2020年にテレビ番組「情熱大陸」でも紹介されたので、その名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?
はっきり言って僕はただのラーメン好きレベルのど素人ですが、このお店の存在を知ってからは「いつか行ってみたい…」とずっと思っていたんですよね。で、まだまだ寒さが厳しい令和5年の2月、庄内地方に行く用事ができたチャンスを利用して琴平荘への訪問を決めたのですが…地元在住で車持ちの人ならいざ知らず、遠征組にはなかなか訪店のハードルが高いお店なんです。そのハードルを僕はどうやって乗り越えたのか?もしあなたが今後琴平荘への訪問を考えているなら、この記事が今後の参考になれば嬉しいです…
中華そば処 琴平荘へは車がなくても大丈夫!列車組が快適に一巡目を確保するためのおすすめの並び方
中華そば処 琴平荘の公式開店時間は11:00ですが、店内の混雑を避けるために毎朝8時頃から整理券が配布されます。
でも、この条件って列車組にとってはかなり厳しいんですよね。琴平荘はラーメン好きなら誰もが認める「超」がつくほどの行列店。出遅れてしまうと待ち時間が何時間になるかわからないし、一巡目をガッチリキープするためには最低でも朝8時前にはお店に来て並んでいなければならない。しかも、整理券をゲットしてからも3時間どこかで時間を潰さなければなりません。近くにコンビニ(ファミマ)が1軒ありますが、そこだけで開店時間まで時間を潰すのは至難の業です。
中華そば処 琴平荘の行列に並ぶ最も快適な並び方
でも大丈夫。ちょっと余分にお金はかかってしまいますが、僕は今回快適に琴平荘の行列に並ぶことができました。整理券をゲットした後も有効に時間を潰せましたし、この並び方を使えばむしろ自家用車組より快適に待ち時間を過ごせるはず。
その方法とは、前日に近くの旅館で1泊すること。Googleマップで調べる限り、琴平荘から徒歩圏内に「旅館仁三郎」と「料理・宿 坂本屋」という2件の旅館が営業しています。僕は今回、琴平荘から徒歩4〜5分のところにある旅館仁三郎に前泊させてもらったのですが、素泊まりで5000円以下で泊まれましたし、整理券を確保した後もチェックアウトの10:00まで部屋で足を伸ばして過ごせました。
中華そば処 琴平荘では朝8時頃に整理券の配布を開始
僕がこの日(土曜日)に琴平荘に向かったのは朝の7時頃。強風が吹き荒れる中、整理券配布開始時間の1時間前にお店に向かうと、この時点ですでに1名が店頭に立ち、別に駐車場内で1組のお客さんが車内待機している状態でした。これで一巡目はほぼ確定ですが、日本全国どこにでも気合の入った食いしん坊はいるもんですねぇ…そうそう、天候が悪い日は待ち時間中の身体へのダメージが懸念されるので、特に冬場は防寒・防風対策をしっかりしておかなければなりません。
お店のガラス戸には整理券発行についての張り紙がされています。毎朝8時から取得可能になる整理券は、1人1枚ではなく1組1枚の獲得でOK。グループ客なら代表者1人が列に並んでいればいいので、余計に寒い思いをせずに助かりますよね。整理券を取ったら一旦解散、その後実際の開店までは各々で時間を潰します。
この日はだいたい7:30頃からポツポツと車が増えてくる感じでしたね。この日の状況をそのまま当てはめれば、7:30までに行列に並んでいれば、おそらく一巡目はゲットできるのではないでしょうか。ちなみに、この日はお店の神対応で7:40頃に整理券の発行が開始に。無事2番の整理券をゲットし、宿のチェックアウト時間の10時までは暖かいお部屋でお茶を飲みながらのんびり過ごしました。
10:30になると中華そば処 琴平荘へ入店可能に…店内ではお土産用商品を多数販売中!
公式開店時間の30分前、10:30になると中華そば処 琴平荘への入店が可能になります。
かつての旅館の大広間に、6〜8人座れそうな大きめのテーブル席が12卓。相席はなく、一巡目は整理券番号12番までの人で埋まります。その大広間の後方に待機スペースが用意されていて、10:30からは暖かい室内で順番待ちをすることができます。ちなみに、琴平荘のご主人は「売り切れ次第閉店」という営業スタイルが嫌いらしく、14時までに整理券をゲットした人は必ずラーメンが食べられます。週末には大行列になる山形の名店ですが、この心遣いは本当に嬉しいですよね。
さて、店内に案内されても、まだ営業が始まるわけではありません。10:45頃から店員さんが注文を取りに来てくれるまでは自由時間。この間に、大広間の一角にあるお土産用商品売り場を覗いてみてはいかがですか?
Amazonの通販でもお取り寄せできる生麺タイプの中華そば(袋麺 or 箱入り)以外にも、デフォルト中華そばとは違う秋田比内地鶏使用の中華そば、ラーメン以外にはお持ち帰り用のぶっかけ漁師めし、さらにTシャツやラーメンどんぶりなどのマニア向けの商品もありますね(一方、ファミマ限定商品のお店監修カップラーメンは売ってませんでした)。琴平荘の中華そばはふるさと納税でのお取り寄せもできるようなので、気になったらぜひ一度試してみてください…
ふるさと納税をご利用の場合は、上の画像リンクをクリックしてふるなびのサイトに入り、「琴平荘」で検索してください…
あと、売り場スペースの隣にセルフサービスのウォーターサーバーがあるのですが…
その隣に小さな子供用の食器が用意されています。ということは、琴平荘には小さな子供連れで来店しても全然問題ないということになりますね。
平日には10食限定で味噌そばも…中華そば処 琴平荘のメニューはこんな感じ
そんな中華そば処 琴平荘のメニューは…
こんな感じ。看板メニューの中華そばは…
- 中華そば 850円
- チャーシューメン 990円
- メンマ中華そば 900円
- 肉抜き中華 700円
- 中華そば 塩 850円
の5種類(値段は税込)。醤油味はそれぞれ「あっさり」と「こってり」の2つの味が選べて、店員さんによると「あっさり」の方がおすすめとのことでした。
さらに、店頭にはこんな張り紙がされていて…
僕はこの時初めて、琴平荘が味噌そばも提供していることを知りました。これを見て、この日の僕は本気で味噌そばを注文するか迷ったのですが、整理券を取る時に店員さんに聞いたら「味噌そばは平日限定」なんだとか。ちょっと残念でしたが、これで本来注文すべきメニューに集中できると思えば悪くはないですね。ただ、時間に余裕があれば中華そば 塩との連食はやってみたかったな…
チャーシューメン:大きなチャーシューが5枚も乗った中華そば処 琴平荘自慢の一杯、実際食べてみると…
というわけで、今回僕が中華そば処 琴平荘で注文したのは、デフォルト中華そばにチャーシューを3枚追加したチャーシューメン(あっさり)。注文してから待つこと5分強、目の前に運ばれてきたチャーシューメンは…
こんな感じ。トッピングはチャーシューに加えて刻みネギ、焼き海苔、メンマと昔ながらの中華そばに準じた構成になっているのですが、チャーシュー1枚が結構大きくて、丼の表面を覆い尽くしてしまうくらいのボリューム感がありますね。
では、早速スープから…琴平荘と言えば「自家製の焼きあごから取った出汁」が有名ですが、実際にはアゴ出汁だけではなく鶏の旨みも感じます。このスープの出汁には岩手県産の高級丸鶏が使われているほか、鯖やスルメ、帆立なども加えて味が調節されているようです。確かに焼きあごの香ばしさは感じるんですが、あくまで味の一成分。個性のある食材を使っていながらどことなく「普通さ」も感じられ、あっさり醤油味と共に全体的に調和が取れた美味さを発揮しています。
これに対する麺は、表面が軽くざらついた縮れのある中細麺。麺自体はやや加水率が高めで、もっちりプリプリの食感が楽しめるのですが、独特の縮れと表面のざらつきからどことなく打ち立ての蕎麦のような食感も感じられて、食べ終わった後も記憶に残る不思議な麺でした。
で、トッピングのメイン・チャーシュー。こちらは程よい脂肪が入ったロース肉を使ったオーソドックスなチャーシューで、やや厚めにカットされて肉肉しさを楽しめる一方、脂からにじみ出てくる甘味も一緒に楽しめます。
そうそう、チャーシューメンと一緒に頼んでいた味付玉子(お値段 税込100円)は、ラーメンとは別皿での登場です。ちょど良い塩梅でタレの味がしみ込んでいて、割ると中からとろとろの黄味が…さすがの人気店、味玉も最近の流行に合わせてしっかりと作られています。個人的にはスープを汚さずに食べられる選択肢を与えてくれるのも嬉しいですね。
こんな感じの中華そば処 琴平荘のチャーシューメン、割と普通っぽさを出しているところもあり、一方ではマニア歓喜の個性もあり、どんな属性のお客さんでも楽しめる受け皿の広いラーメンのように感じました。味の好みは人それぞれですが、さすがに琴平荘の中華そばが「まずい」ということはないと思いますよ。僕も前泊までして食べにきて十分に満足できましたし…今は5月の暖かくなる時期まで営業してくれるので、この時期に合わせてあなたも遠征してみてはいかがでしょうか?
おまけ:チャーシューメンと一緒に注文した漁師めし。白ごはんの上に細かく刻まれた焼き海苔と鰹節、青のりがふりかけ状にトッピングされています。テレビでやるような刺身が乗った豪華版ではありませんが、これだけでも十分に海の香りが楽しめます。基本醤油をかけて食べるもののようですが、僕は中華そばのスープを使ってお茶漬け風にして食べるのが好きだなぁ…
ちなみにネット上には、中華そば 琴平荘についてこんな口コミも上がっています…
列車組は帰りの時刻表も要チェック!中華そば処 琴平荘へのアクセスは、最寄り駅のJR羽越本線・三瀬駅から徒歩17分
さて、中華そば処 琴平荘へ列車でやって来る人にとっての最後の難関が、帰りの列車との時間調整。当然ながら、東京や大阪のように1時間に何本も通っているわけではありません。しかも、最寄り駅の三瀬駅は無人駅。ただでさえ乗客が少ないと判断されて無人になっている駅ですので、この駅に泊まる列車の数もかなり少ないことが予想されるわけです。
で、令和5年2月現在の三瀬駅の時刻表がこちら…
上り線・下り線ともに、お昼の時間帯にはほとんど列車が駅に止まりません。辛うじて下り線(酒田行き)で11:35発の列車がありますが、この列車に間に合わせるためには開店と同時に入店して、急いでラーメンを食べて駅に向かう必要があります。もしこの列車を逃してしまうと、その後何時間も海と対話する羽目になってしまいますよ…
というわけで、列車組の方は何としても一巡目を確保して、遅くとも11:15にはお店を出られるように計算して行動する必要があります。幸い、近くに八乙女観光タクシー(TEL:0235-73-3200)というタクシー会社があるので、事前にお迎えのタクシーを予約しておけば安心できますよ。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
ちなみに、鶴岡市内には「中華そば 琴の(こんの)」と「中華そば処 琴壱」という、お弟子さんが開業した琴平荘ののれん分け店が2店舗あります。せっかく山形にまで遠征してきたのなら、琴平荘の後に訪れて連食するのもありですね。列車だと11:35に三瀬を出て11:52に鶴岡駅に着くので、時間的にもちょうど良いですし…
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