今の若者がおしゃれなカフェ巡りをするように、僕より年上の世代の人たちも若い頃に喫茶店巡りをしていたらしい…ならば、そんな人たちにとって京都は絶好の観光スポット。創業50年を超える老舗の喫茶店が昔のままの形で何軒も残っていて、徒歩圏内でそれぞれまったく違った雰囲気のレトロ感を楽しむことができるのですから。
今回ご紹介する喫茶チロル(Tyrol)も、そんな京都の老舗喫茶店の1つ。昭和43年に二条城前で創業したこの喫茶店には、わざわざここに来るために全国からお客さんがやってくるほどなのだとか…
朝の10時ですでに満席…京都の老舗喫茶店・喫茶チロルはこんなお店
そんな喫茶チロルを僕が訪れたのは、とある平日の午前10時頃。お店に近づくにつれて、カレーの香りが少しずつ強く感じられます。時間的にはモーニングとランチのちょうど中間くらいですが、そんな中途半端な時間でもカレーのスパイスの香りを嗅ぐと食欲が自然と湧いてきますね。
でも僕がお店に到着した時は、公式情報で29席ある店内はすでに満席状態。空席ができるまで、僕はお店の外で数分待つことになりました。お客さんの層は年配の方の比率が高く、毎朝ここでコーヒーを1杯飲んでいく…という感じの使い方をされている印象ですね。店内の所々にマガジンラックが置いてあって、みなさん気軽に新聞や雑誌を選んで自分の席で読んでいます。
実際僕も店内で感じたんですが、最近流行りのカフェとは違って、喫茶チロルでは妙に落ち着けるんですよね…レトロではありますが清潔な店内には静かなBGMが流れ、店員さんも若いバイトさんではなく、雰囲気の落ち着いた女性店員さんばかり。きっと、こういう落ち着けるスペースを求めてお客さんがやってくるんでしょうね。これでテーブルに灰皿とマッチ箱が置いてあれば完璧に昭和レトロの喫茶店になるのですが、今は時代の流れか喫煙不可になっているようです。
朝8時開店の喫茶チロルでは、11時までお得なモーニングメニューを提供中
そんな喫茶チロルですが、メニューを眺めると喫茶店というよりは軽食屋さんという感じの構成になっています。
フードメニューは各種トッピングでバリエーションを出したカレーライス(特にカツカレーが人気らしいです)とトースト・サンドウィッチ、焼き飯、オムライス、スパゲッティと、大きく分類して5種類。それらに加えて、朝の9:00-11:00まではモーニングメニューとして各種トーストがリーズナブルに注文できます…
その一方で、喫茶店の定番メニューであるケーキなど、スイーツ系メニューは一切なし。そんなわけで、甘いもの好きな女性には少し使いづらいかもしれません。年配の男性客が多いのは、こんなメニュー構成にも理由があるかもですね…
喫茶チロルのフードメニュー例(値段は税込)
- カツカレー 830円
- ドライカレー 650円
- ハムトースト 550円
- ハム玉子サンド 700円
- やきめし 650円
- オムライス 750円
- カレースパゲッティー 750円
玉子サンド:厚焼き玉子と塩、それだけ。だけど食べてみると…
今回僕が注文したのは合計3品。それぞれ順番にご紹介していきましょう。まずは喫茶チロルの名物の1つ、玉子サンド(お値段 税込700円)。ハーフサイズも注文できて、その場合はお値段 400円になります…
こんな感じで、フルサイズだと分厚い卵焼きが挟まれたサンドウィッチが合計8切れと、これ一皿だけでも十分にお腹が満たされそうなボリューム感。シンプルながら断面がキレイで、見た目にも食欲をそそられます…
では、早速実食…外側のパン生地はトーストされていないのでふわふわで、中に挟んだ分厚い玉子焼きの質感がダイレクトに感じられます。味付けはほぼ塩味だけで、通常パン生地の内側に塗られるバターなどの味は感じられません。シンプルに玉子焼きの味と塩だけ。でも、それがいいんですよねぇ〜。厚焼きたまごにガブリと噛み付いている感じで、卵好きにはたまらない至福の瞬間を味わえます。
ブレンドコーヒー:軽やかでスイスイ飲めて、次の一杯が欲しくなる意外とヤバいやつ
続いて、玉子サンドとセットで頼んだブレンドコーヒー。一杯350円ですが、サンドウィッチのフルサイズとセットで注文するとお値段50円引きになってお得です…
コーヒーカップから漂ってくる香りは穏やかで、最初お湯のようにスーッと口に入ったかと思うと、少し遅れて軽く苦みがやってきて、続いて酸味が平面的に広がっていきます。どちらかというと酸味が強めのタイプですが、喉を通り過ぎた後にも苦味の余韻はしっかり口に残ります。
全体的にやや風味が軽めなので、スイスイと飲めてしまって気づいたらコーヒーカップが空になっていました。市川屋珈琲の市川屋ブレンドのように、「もうちょっと飲みたいな…」と感じて2杯目、3杯目…が欲しくなってきます。
イタリアン:濃厚ソースに野菜たっぷり…その正体は昭和の贅沢品だったあのメニュー
そして最後の注文はイタリアン。「イタリアン」という名前であっても、その正体は昭和の喫茶店ではド定番のナポリタンスパゲッティです…
上の画像は大盛りで、お値段はレギュラーサイズから100円プラスの800円。以前イノダコーヒーで注文したイタリアンと比べて、ボリューム感は倍近くありますね。
では、実食…野菜の旨味が溶け込んだトマトソースは甘めの味付けで、舌や口の粘膜に張り付くようになって持続的に旨さを脳に伝えてくれます。このソースを絡めとったパスタは歯応えを残した柔らかさで、いわゆるアルデンテに近い茹で加減になっています。
そしてパスタに負けず、ピーマン、玉ねぎ、マッシュルームと具の方もボリューム満点。どうしてももったり感が出てしまうナポリタンスパゲッティに野菜のシャキシャキ感が加わって最後まで飽きずに食べられますし、野菜がしっかり取れるので栄養面でも十分満足できますね。
かつて庶民にとってのささやかな贅沢であった喫茶店でのナポリタンスパゲッティ。それをたったの800円でお腹いっぱい食べられるのは嬉しいですよね。やっぱり喫茶店で食べるナポリタンスパゲッティには感情に訴えてくる何かがあります。自宅で作るナポリタンもいいですが、たまにはあえて喫茶店に出かけてナポリタンスパゲッティを頼むのも、毎日を少しでも楽しく過ごすために大切な気がします。
テイクアウトならさらにお得…喫茶チロルへのアクセスは、最寄り駅の京都市営地下鉄東西線・二条城前駅から徒歩4分
さて、こんな感じの喫茶チロルでは、フードメニューのテイクアウトにも対応しています。喫茶チロルのお持ち帰りメニューはこちら…
店内メニューと比べてみると、どうやらお持ち帰りにする方が50円くらいお得になるようですね。人気メニューのカツカレーやイタリアンもお持ち帰りできるようですし、近くのホテルに泊まっている時にはテイクアウトして部屋で食べるのもいいと思います。テイクアウトなら事前の電話予約ができるので、お店が混雑している時でも時間通りに食べられますしね…
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
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