大阪屈指のグルメ街・福島に花くじらという名前のおでん屋さんがあります。食べログの星評価で3.8と高評価、ミシュランのビブグルマンにも選出されたことのあるこのおでん屋さん、そりゃあ人気になるのはわかりますが、口コミによると待ち時間1時間はザラというほどの混雑ぶりなんだとか。
この口コミを見て、僕は「本当に1時間待つのか?」「1時間待って食べるだけの価値があるのか?」という2つの疑問が頭に浮かんだんですね。その疑問を検証すべく、急に気温が下がって極寒になったある冬の夜に、福島の名店・花くじら本店に向かったのでした…
花くじら本店の待ち時間1時間はガチだった…でもすぐ近くの支店・歩店は本店よりかなり入りやすそうな雰囲気あり
僕が花くじら本店に着いたのは、とある平日の夜7:15くらいでしょうか。JR環状線の福島駅から南に向かって5分ほど、国道2号線を越えて福島天満宮のある交差点を右に入ってすぐのところにお店はあります。
このように花くじら本店は狭い路地に挟まれた三角形の頂点の位置にあって、見るからにお店のキャパシティーは大きくなさそうですね。入店を待つお客さんの行列はお店の裏側の路地に沿って続いていて、この時で14〜5人は並んでいたでしょうか。人気店なので、このくらいの行列は想定範囲内。「まあ、30分は余裕でかかるけど、1時間はかからないだろうなぁ…」と入店までの待ち時間を予想しながら列の最後尾に並びます。
このお店裏の路地に並んでいると、お店の換気扇からおでん出汁の匂いがぷんぷん漂ってきて、なかなかの拷問状態になるんですよね。匂いを嗅ぐたびに温かいおでんと冷たいビールが頭に浮かんできて、おでんへの期待値がどんどん高まっていきます。それでいて、お店の裏側からはお客さんの出入りが見えないので、自分があとどのくらい待てば順番が来るのかを把握することができません。
そんな状況に加えて、この日は前日までより一気に気温が低くなったのもあって、かなり精神的にキツい待ち時間となりました。結局1時間10分ほど待って入店。1時間待ちの口コミはガチであることが立証されました。
ただ、花くじら本店から30mくらいの場所に歩店という支店も営業しています(以前は北店という店舗もありましたが、閉店してしまいました)。本店の行列から覗いている限りでは、歩店の方はほとんど行列がないのでは?という印象でした。今回僕は初訪店ということで本店にこだわりましたが、そこまで本店で食べることにこだわりがないのであれば、最初から歩店の方に行くのが賢いように思います。
ほぼカウンター席の小さなお店ですが、どうやら2階は座敷席で6名以上なら予約可らしい…
花くじら本店の店内は予想通りの狭さで、調理場を囲むようにしてカウンター席が13脚と、お店の隅に取ってつけたような小さなテーブルが1卓置いてあります。それも入り口側の壁を取っ払って無理やり拡張して、道路とはビニールシートとすだれで仕切っているような、「これって建築基準法とか道路交通法とかに違反しないの?」って感じの屋台的な造りになっていて、バイトさんがお客さんの間を通って行き来するのもえらく大変そうでしたね。
僕はお店の一番奥側にあるカウンター席に案内されたのですが、ちょうど僕の後ろに2階へ上がる階段がありました。僕の滞在中ここを他のお客さんが行き来することはなかったのですが、上から大きな笑い声が絶えず聞こえてきて、かなり賑やかにやっているようでした。
ネット情報によると、どうやら2階は座敷席になっていて、6〜12人で来店するときに限り事前予約で2階席を使えるようです(注:未確認情報です)。お店の規模的に大人数の宴会には不適ですが、少人数で宴会をするなら事前予約で花くじら…というのは選択肢としてキープしておく価値があるかもしれません。
メニューに値段書いてないじゃん…でも大丈夫。花くじらのおでんは庶民に優しい激安価格
さて、花くじらのおでんメニューの説明に移りましょう。まずは下の画像をご覧ください…
大根、玉子、ちくわといった定番メニューからねぎま、UFO、ねぎ袋など少し変わったメニューまで、おでんメニューが全部で30種類以上。まあ、色々頼んでもお腹いっぱいになれるくらいの種類は揃っていますね。
でも、メニューに値段書いてないじゃん…こういうのを見ると、お会計が心配になってきませんか?ご安心を。値段を聞いてみたら、メニューの上の段が1つ100〜200円、下の段のほとんどの品が1つ300円(税込)と、僕たち庶民に優しい激安価格。仮にメニューの全種類を注文しても、支払いが1万円を超えないわけです。
こういうところは「さすが大阪!」という感じがしますね。前に京都の麩屋町103(旧:麩屋町うね乃)に行った時は、本当に会計が怖かったですからねぇ…というわけで、値段のことは一旦忘れて、思う存分花くじらのおでんを楽しむことにしましょうか。
ちなみに、注文は自分でメモ用紙におでん種と数を記載して店員に渡すことで成立します。地元密着の居酒屋って感じがして、こういうのも味がありますよね…
これだけ食べてお会計5000円以下!抜群のコスパに加えて、ほっこり家庭的なお出汁も花くじらの人気の秘訣
それでは、この日に僕が注文したおでんメニューのご紹介といきましょう。まずは画像をご覧ください…
1巡目は大根、玉子、ちくわ、厚揚げ、餅きんちゃく、チーズロールキャベツの6品。安くてもボリュームがあって、しかも一口サイズに包丁を入れてくれているので食べやすいんですよね。続いて…
すじ、こんにゃく、ごぼてん、ひろうす、UFOの5品。とにかく湯気がすごくて、写真が曇ってしまっています。そうそう、お皿は基本的に1人1枚を使い回すので、1皿を食べ切ってから次をオーダーする方がいいですね。さらに…
ちょっと変わり種系のえび餃子、ウインナー、つくねの3品。えび餃子だけ別皿でやってきたのですが、見ると出汁が他のおでん種のものより白濁していて、より濃厚な印象があります。まだまだ終わりではありません。4巡目は…
たこ、ほたて貝、はりはり巻きと、先ほどのメニューにはなかった季節もののかき(お値段 300円)。本当はこれにころとさえずりを注文していたのですが、残念ながら売り切れだとか…
こんな感じで、花くじらのメニューの半分くらいは試しましたかね。鰹ベースのお出汁が種によく染み込んでいて、どれも美味しくいただけました。特にほんのり甘味がついてほっこり優しい出汁が大阪人のツボにハマっているようで、ネットで花くじらのおでん出汁を再現したレシピがヒットするくらい。
まあ、個人的にはどのお店でもおでん出汁は飲み干してしまいたくなるくらい美味いのですが、花くじらのお出汁はより家庭的というか、「もしかしたらスーパーで売ってるかも…でもやっぱり売ってないじゃん」みたいな、手が届きそうで実は届かないという絶妙なところをついているように感じました。
さて、今回僕が注文したメニューの中から、いくつか気になったものを少し具体的にご紹介しましょうか…
チーズロールキャベツ
まずはチーズロールキャベツ。まあ、読んで字の通りなのですが、中に入っているのはカマンベールチーズでしょうか?ちょっと塩分が効いたチーズがキャベツの層の隙間に敷き詰められています。
おでん出汁の甘さとチーズの塩加減が良い感じにブレンドして、ほっこり優しいおでんの中でちょっと刺激が加わる変化球的な一品。キャベツも煮過ぎてクタクタにならずシャキシャキ感が残っているので、ホッコリの中にも刺激を求めたいときにはおすすめです。
はりはり巻き
続いて、花くじらの冬の名物・はりはり巻き(お値段 400円)。1束の水菜をクジラの皮で巻いた、他所ではお目にかかれないメニューの1つです。
水菜も鯨の皮も、それ自体にはあまり味がなくてあっさりしている食べ物。でも、ここにおでん出汁がしっかり染み込むことで、出汁の美味さをしっかり楽しめる味のあるおでん種になります。
水菜のシャキシャキ感も感じられるし、一方の出汁が染み込んだくじらの皮の味わいがシブいこと…鯨の皮の独特な味がおでん出汁と合わさっていぶし銀的にじわじわと舌を刺激して、熱燗をクイっといきたくなってしまいます。日本酒のアテには最高ですね、これ。
はなくじら
そして最後にご紹介するのが、お店の名前にもなっているはなくじら。鯨の皮を湯引きして酢味噌をかけたもので、他店では「おばけ(尾羽毛)」と呼ばれるメニューです。
湯引きしたクジラの皮は、脂肪分が抜けるので味はほとんどありません。その代わり、湯引きでプリプリ感が出てくるので、どちらかというと食感を楽しむ感じでしょうか。
なので、味の方はここにかかっている酢味噌が決め手。白味噌を使った甘めの酢味噌がクセになり、皮のぷりぷり食感と共に珍味ぶりを大いに発揮しています。これもやっぱり日本酒と合わせるのがベストですかね…日本酒が苦手な人にはその魅力が十分に伝わりそうにないのが残念ですが。
こんな感じで、結構注文したにも関わらず、お会計は5000円いきませんでした。本当はこの後ラーメンで〆にしようと思っていたのですが、思ったより夜遅くなったのでこの日はこれでおしまいです。
コスパ満点だし、何度食べても飽きない家庭的な味付けだし、大阪人がリピートしたくなるのはよくわかりますね。でもそのために1時間待ちをするかと聞かれたら、僕はちょっと躊躇するかなぁ…時間も大切なので、もっと早く入れるお店を選ぶかもしれません。
お持ち帰りにも対応!花くじら本店へのアクセスは、最寄り駅のJR東西線・新福島駅から徒歩2分
そんな花くじらですが、実はお持ち帰りにも対応していて、テイクアウトなら行列に並ばずにすぐにおでんが食べられます。近くに食べる場所があるなら、わざわざ行列に1時間並ぶようなことをしなくて済むわけですよね。家がお店から近いという方には、僕は店に並ぶより絶対にお持ち帰りをおすすめします。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
梅田駅からも徒歩20分くらいの距離なので、帰りは梅田までのんびり歩きながら酔いを覚ますのもいいかもしれませんね。
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