京都では抜群の知名度を誇る西陣の人気焼肉店・焼肉江畑(やきにくえばた)。元々は天ぷら屋として創業し、その後焼肉屋に業種転換してすでに40年以上営業中の老舗。食べログ焼肉百名店を2018年から現在まで5年連続受賞中で、噂ではかの有名なグルメ漫画・美味しんぼでも紹介されたことがあるという(注:未確認情報です)、もはや全国の焼肉好きから標的にされるような京都の焼肉の象徴的なお店です。
そんな超人気店・焼肉江畑の焼肉がどんなものか、実際に試してみたくなってとある土曜日の夜に訪店を決定。JR京都駅から206番系統北大路バスターミナル行きのバスに乗り換えて約30分、これから楽しめる絶品焼肉にワクワクしながらお店に向かっていくと…
常連さんと店員さんが一緒にお酒を飲んでワイワイ…焼肉江畑はこんなお店
焼肉江畑のある西陣の西側のエリアは、昔の京都の風情が色濃く残る場所。元々は遊郭街として栄えた場所で、今は夜の街の雰囲気はありませんが、千本日活の映画館やスナックなどがまだ残っていて、昭和時代を駆け抜けた世代には懐かしさを感じるものがあるのではないでしょうか。
焼肉江畑もかつての廓(くるわ)をリノベーションして店舗として利用していて、その外観を見てもなかなかの歴史的情緒を感じます。この日の僕はお店への到着が予定より遅れて夜のピークタイムになってしまい、かなりの待ち時間が発生することを覚悟しましたが、幸い店頭に行列はなくすんなり入店となりました。
入り口を潜ると左手には厨房とカウンター席、右側には小上がりの座敷席が6卓…1〜2人での利用はカウンター席に、3人以上の利用では座敷席に案内されるシステムになっています。3人以上での利用では事前の予約がOKですが、1〜2人の時は予約不可で、10組分あるカウンター席に空きが出るのを並んで待たなければなりません。ちなみに、焼肉江畑の総席数は食べログ情報で40席あるとのことです。
さて、僕はたまたま1つ空いていたロースターの前の席に案内されたのですが、大衆居酒屋並みのワイワイガヤガヤした賑やかさにちょっと気後れしてしまいました。多分カウンター席に座っていたほとんどのお客さんが常連さんなんでしょうね。お客さんが店員さんにお酒をシェアしながら楽しそうに会話も楽しんでいます。大将なんか、すでに顔を真っ赤にして焼肉を焼いていたし…
焼肉店としてはちょっと異質な雰囲気のある焼肉江畑、何度か通い詰めて店員さんと仲良くなれれば、巷には知られていないおすすめの焼き方を教えてくれるなど良いことがあるようです。一方で、一見さんでこの雰囲気に乗り遅れてしまうと、カウンター席での滞在は少し心理的にしんどいかもしれません。決して差別されるようなことはないのですが、楽しそうな会話に横槍を入れて注文を入れるのは気が引けますし…
焼肉江畑のメニューはどれも高めの値段設定…原資を十分に確保してから訪店しましょう
そんな焼肉江畑のメニューですが…
上の画像では文字が小さくなって読みにくいのですが、第一印象として「高い」という印象を受けるのは否定できません。焼肉系は最低でも一皿1000円から、焼肉の定番であるバラ焼(お値段 税込1500円)とロース焼(お値段 税込1700円)は、他店であれば特選和牛クラスの値段設定。一般的な焼肉店の2倍近くするので、江畑の焼き肉を堪能するためには原資を十分に確保しておく必要がありますね。
その焼肉メニューより驚いたのがお酒の値段。特にビール1瓶900円は、僕が今まで見てきた中でもNo.1の値段かもしれません(コーラなどのソフトドリンク系も1杯500円します)。そんなわけで、ここ一軒でお腹いっぱい食べて飲んで…をすると、おそらく諭吉さん(もうすぐ渋川栄一さん)がひらひらと財布から飛んでいくことになるでしょう。見た目は大衆的な雰囲気のあるお店ですが、実態は間違いなく高級焼肉店なので、そこを勘違いして訪店すると痛い目を見るかもしれません。
焼肉江畑のメニュー例(値段は税込)
- センマイ生 800円
- ハツ生 900円
- タン生 1200円
- ミノ焼 1000円
- 盛合せ焼 1200円
焼肉江畑で今回注文した5品をご紹介。確かに値段は高いけど、クオリティーは間違いなくその上を行っていた
それでは、今回僕が焼肉江畑で注文した焼き肉計5品をご紹介しましょう。ホントはこれらの他に刺身系の牛肉も食べたかったんだけど(特にタン生はいくつかのフードブログで大絶賛!)、1週間後にとっても大切な用事があって、万に一つでもお腹を壊すわけにはいかなかったので…残念。
タン焼
まずは焼肉の定番の1つ、タン焼(お値段 税込1400円)。脂がめっちゃ乗っているのが見た目でわかりますよね。その見た目通り、このタンは焼いてもめちゃくちゃ柔らかくて、噛むごとに脂がどんどん溢れ出てきます。また、デフォで振られた粉山椒が地味に仕事をしていて、塩味の中にほんのりと清涼感のある香りが感じられて、旨味だけでなく香りでも高級感をしっかり楽しめます。
天肉焼
続いて注文したのが天肉焼(お値段 税込1200円)。他店より厚めにカットされた天肉の上から甘口で濃厚な焼肉のタレがサッとかけられています。天肉って焼くとコリコリして硬めの食感になるものですが、江畑の天肉は柔らかさもしっかりと残っていて、他店の肉より厚めなのに食べやすいです。結構なボリューム感がありますし、頬肉独特の旨味もタレの味に負けず濃厚で、これ一皿でご飯3杯くらいいけちゃうかもしれません。
テッチャン焼
3皿目は焼肉江畑の店員さんおすすめのテッチャン焼(お値段 税込1000円)。牛の大腸のことで、他店ではシマチョウと呼ばれることもあります。
このお店ではテッチャンを片面だけ焼いて食べるのをおすすめしていて、大将に片面がまだツルツル光ったままのテッチャンを目の前に出されました。確かに美味かったですよ。脂が焦げた香ばしさは元より、シコシコの歯応えに加えてツルツルぷるぷるの食感がすごく気持ちよくって…でも、僕がこの焼き方を試したのは1枚だけで、あとは店員さんの目が離れたところでこっそり両面焼きにして食べました(1週間後の用事を考えると、絶っ対にお腹を壊せなかったので…)。この焼き方は焼肉江畑のテッチャンだからこそできるものなのかもしれません。
サーロインステーキ焼
4品目は、焼肉江畑の全メニューの中でもお値段がとびきり跳ね上がるサーロインステーキ焼。値札を見るとお値段 3800円〜と書いてあり、肉のボリュームによって値段が変わるので、今回僕が食べた量(100g)でどれだけの金額になったのかわかりません。
このサーロインステーキ焼は、まず店員さんがロースターで表面に焼き目をつけて、その後奥で薄くカットした後塩胡椒を振って目の前に出してくれます。本当に表面を炙っただけなので、中はレアというか生肉に近いギリギリの状態。このままでも食べられますが、もう少し熱を加えたければ目の前のロースターでお好みの焼き加減に調節も可能です。
で、このサーロインステーキ焼ですが、控えめに言っても神レベルの美味さでした。表面の香ばしさに加えてゼリーのような断面のぷるぷる感、そして断面からドバドバ出てくるんだけど全然しつこくない脂の旨味…見た目は生肉に近いくらいなのに、肉の中心までしっかり熱が通っていて、生焼けとレアの境界をギリギリまで攻めた焼き方も感激レベル。そのまま食べても美味ですし、付属のおろしポン酢にもよく合います。ロースターでさらに熱を加えれば、断面についた脂が焦げて香ばしさが格段にup。「焼肉屋でステーキってどうなの?」と思う人もいるかもしれませんが、極限のレアからしっかり熱を通したウェルダンまで全ての焼き加減の肉を一度に楽しめるって、普通のステーキハウスではできないことですよね?
ギアラネギ
そして最後の5品目は、焼肉江畑の名物かつ裏メニューのギアラネギ。これも値札が出ていないので、いくらするのか僕にはわかりません。
このギアラネギも、店員さんが最後まで調理をしてくれます。まずは牛の第4の胃袋・ギアラ(別名・赤センマイ)にしっかり熱を通して…
その上から刻んだ九条ネギをどっさり乗せて、焼肉のタレを上からかけて少し焼いたら出来上がり。このギアラネギは、調理中にネギでロースターが焦げるので、最後に注文するのがお店の暗黙のルール。店員さんもギアラネギの調理が終わったら、断りなくロースターの火を消して立ち去っていくので、そこは注文の前に知っておいてくださいな。
さて、肝心のお味の方は…結構肉厚で脂も乗っていて、思ったより食べ応えがありますね。そこに濃厚な焼肉のタレがかかったシャキシャキ九条ネギが加わって、これだけでお腹も心も満足させるくらいの力強さを持つ一品になっています。当然ご飯も進みますし、お酒のお供としても最適。特に初めて江畑を利用する時には、このギアラネギは必食と言っても良いかもしれません。
以上、今回僕が注文した焼肉5品、確かにお値段高めですが、全体的にそのクオリティーは間違いなくその上を行っていたと思います。一言で言えば、さすが人気店!という感じですね。で、お会計も思っていたより安かったです。この5品にお通しの生キャベツがあって、烏龍茶2杯飲んで…正直1万円超えも覚悟していましたが、結構お釣り返ってきましたから。あえて聞きませんでしたが、僕が食べたサーロインステーキ焼、一体いくらだったんでしょうね…
最後にあえて気になる点を1つ挙げれば、店員さんが完全に焼き方を見てくれるわけではないことかなぁ…自分の目の前にいた時には見てくれますが、そこから離れてしまうと放置です。実際、そこがわかりにくいという口コミもありますし、その意味でも少し難易度が高いお店と言えますね。まあ、そこを差し引いてでも、焼肉好きを自称する人なら京都で一度は訪れるべきお店の1つだと思います。
祇園で姉妹店・祇園えばたも営業中!焼肉江畑へのアクセスは、最寄り駅の京福電鉄・北野白梅町駅から徒歩16分
こんな感じの焼肉江畑には、令和3年6月に祇園にオープンした「祇園えばた」という姉妹店があります。こちらは大将の弟さんが切り盛りしていて、メニューがおまかせコース1本の高級焼肉店。ただ、お肉は全てお店側で焼いてくれるので、絶対に焼き加減を失敗することがありません。焼肉江畑と同じ上質な肉を最高の焼き加減で出してくれるお店…もしかしたら、本店よりこちらを先に訪問して江畑の焼肉の真髄を味わっておく方が賢いのかもしれませんね。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
JR山陰本線・二条駅からだと、京都市営バス206番系統北大路バスターミナル行きに乗り、千本出水バス停下車徒歩3分です。
お店の評価に客観性を持たせるために、他のブログの口コミも紹介しておきますね…
そろそろ焼きタイム。
赤・黒・黄色日記:北野白梅町 江畑(えばた)
レトロなガスロースターが似合うお店です。
タン焼き。こちらはタンの先を使っているようで。
タン生ほどの衝撃はありませんが、美味しい。
P.S. 京都で美味しい焼肉をお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
P.P.S. 焼肉江畑から少し北に歩いた千本中立売には、創業してから90年以上続く京都の名居酒屋があります…
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