普段はあまり意識しませんが、どちらかというと中華料理って男性好みな料理の気がしませんか?中華料理の代表メニューと言えば麻婆豆腐、チャーハン、餃子…これらの文字を見てビールを連想するのは、僕が呑兵衛だからでしょうか…
今回ご紹介するお店は、京都にある圧倒的に女性の支持率が高い中華料理のお店…いや、正確に言うと台湾料理のお店です。京町家を上手に改装してレトロかつエキゾチックな雰囲気を出したこのお店には、昼夜問わず多くの女性客が店頭に長蛇の行列をつくっています…
微風台南tears2|京都で人気の台湾料理店は日本人に忖度なしの本場の味
微風台南tears2が今の場所で営業を始めたのは2015年。実はこのお店には前身があって、2014年まで香港料理をメインにしたTEARSというお店がすぐ近くにありました。このTEARSを店じまいした翌年にリニューアルオープンしたのが微風台南というわけです。店名の後ろに“tears2”とついているのは、TEARSの後継店であることを示しているわけです。
その微風台南、店内は築百数十年の京町家をリノベーションしたというよりは、できるだけそのまま残したような造りになっています。お店の構造は間口が狭く奥に長い京都独特の「うなぎの寝床」で、手前の土間にあたる部分にテーブル席と、土間から靴を脱いで上がったところにある座敷席。その奥には小さな坪庭もあって、日本人としてはこれだけでもレトロな雰囲気を感じるのですが…
店内に配置された台湾の古い調度品や日本語の古書の数々が、その町屋造りに完璧と言えるほどマッチしているんです。かつて日本の統治を受けていた戦前の台湾の一家庭を見事に再現した?微風台南。レトロな雰囲気をウリにしたお店は数あれど、ここまで本気でレトロを再現したお店は京都でも貴重な存在ではないでしょうか。インスタ映えすること間違いなしです。
日本人ではなく台湾人を意識して作られた微風台南のメニュー:台湾の駅弁をイメージしたテイクアウト用の便當も大人気
その本気のレトロ空間で食べられる台湾料理も本気度満点。下のメニュー画像を見てもらえれば一目瞭然。日本のお店なのにメニュー表記が台湾語です。
実際、このお店の料理は日本人ではなく台湾人を意識して作られているとのこと。日本人向けアレンジ一切なしの外国料理が食べられるなんて、新型コロナの影響で海外旅行もままならない今の僕たちにとってもすごく嬉しいことではないでしょうか。
ご飯ものや麺類から一品料理、デザート、タピオカドリンクまで、台湾料理オンリーでかなり豊富な微風台南のメニュー。お持ち帰り用のお弁当(便當)もあるので、晴れた休日にテイクアウトして近くの鴨川でランチ…なんて使い方もいいですよね。
招牌魯肉飯(ルーローハン)
それでは、微風台南で食べられる本気の台湾料理をいくつかご紹介しましょう。まずは微風台南のメニューの中で人気No.1の魯肉飯(ルーローハン)。サイズを小・中・大の三種類から選べて、追加で煮卵や揚げ豆腐などをトッピングできます…
これは中サイズの魯肉飯に煮卵トッピング。サイズ的にはお茶碗と丼の中間くらいの大きさでしょうか。
では、実食…台湾醤油に数々の香辛料を加えて作られた特製のタレでじっくり煮込まれた豚肉のそぼろは、口の中で溶けてなくなるかのような柔らかさ。一見こってりそうに見えるタレも意外とあっさり目の優しい味付けで、苦手な日本人も多い八角の香りもごくわずか。ご飯の一粒一粒をしっかりコーティングして、お茶漬け感覚のサラサラ感も楽しめます。
この薄味の豚そぼろに味の変化をつける生姜の漬物や高菜とも相性抜群。我が家で何気なく間食をとっているような、ほっこりした気分でスイスイいけちゃいます。ちなみに追加トッピングした煮卵は対照的に少し塩分は高めの味付け。濃いめの味付けが好みの方は、煮卵のトッピングもおすすめです。
台南担仔麺(タンツーメン)
続いてご紹介するのが、台湾の食の宝庫・台南の郷土料理として有名な担仔麺(タンツーメン)。こちらも小・中・大の3種類からサイズを選べます。
こちらも中サイズで、魯肉飯と同じ大きさの器で登場。トッピングとしてエビが1尾に魯肉飯の時とは違った味付けの煮卵、豚の角煮、薬味として刻みネギとパクチーがのっています。
この担仔麺のスープもあっさり目の味付けで、ほんのり甘みのついた醤油ベースのスープに控えめな海老の出汁が優しく身体にしみ渡る感じ。このスープに合わせるのが、日本ではあまり見かけないタイプの中太麺。もちっとした食感はありますが、全体として控えめな感じで、上品な味のスープとよく合いますね。
でもただ優しいだけじゃなくて、中にこっそり潜んでいるフライドガーリックが時折口の中に入ってきて、その香ばしさが食欲をさらに刺激。その結果レンゲや箸を持つ手がフル回転して、あっという間に器が空になってしまいます。多分この担仔麺だけでも2〜3杯はイケちゃうんじゃないかな…そう思わせてくれる一杯です。
紅焼牛肉麺(ホンシャオニューローメン)
3品目は台湾グルメとしてあまりにも有名な紅焼牛肉麺。サイズは選べませんが、汁ありバージョンと汁なしバージョンのどちらかを選べます…
今回は汁ありバージョンを選択。見ての通り、日本のブラック醤油ラーメンを彷彿とさせるスープの黒さですが…
このスープを飲んでみると、ブラック醤油ラーメン以上にあっさり味。八角など漢方系のハーブが効いて、独特の甘味と香りがあります。
一方の麺は中太の平打ち麺ですが、日本のラーメンのようなコシはありません。日本でラーメンばっかり食べていると、こういう麺に出会った時に「えっ?」となるかもしれませんが、むしろこれが海外のスタンダードですからねぇ…
具材の牛肉はホントにとろとろで、口の中に入るとあっさり崩れていきます。しっかり味がしみ込んでいるし、白ご飯に乗せたらおかずなしでもイケちゃうやつですね。牛肉麺も食べる店によって味は変わってきますが、現地で食べる牛肉麺の雰囲気は十分に出ていると思います。
花枝丸羹(ホァズーワンゴン)
4品目は花枝丸羹という名前の、いわゆるイカのあんかけ料理です。プラス220円で麺を追加できますが、今回はスープのみにしています…
こちらも黒酢ベースで黒味がかったスープになっていて、ピンポン球大のイカ団子が4つ分入っています。パクチーが薬味で入っているので、苦手な人は注文時に除いてもらうようにお願いするといいでしょう。
黒酢の酸味が程よく効いたスープと、意外と柔らかくて食べやすいイカ団子。以前台北で食べた兩喜號のエビあんかけとは全然違う味付けですが、こういうバージョンもあるんですね。面白いです。
ちなみに、このスープは黒酢がついてくるのですが、この黒酢には漢方系の香りがついているので、これを使うと酸味だけでなく漢方系の香りもスープについてしまいます。こちらも苦手な人はご注意を…
豆花(ドウホァ)
そして最後にデザートメニューの豆花。プレーンとレモン味の2種類があって、プラス88円でタピオカやあずきなどを上にトッピングできます…
今回はプレーン・トッピングなしで注文。見た目は杏仁豆腐のようですが、食べると普通に絹ごし豆腐です。でも、ここに黒蜜がかかるだけで立派なデザートになってしまうから面白いですよね。これは自宅で簡単に再現できそうなので、気になったらスーパーで材料を買って試してみてはいかがでしょうか?
男性的にはもう少しボリュームがあれば嬉しい…微風台南tears2へのアクセスは、最寄り駅の京阪電鉄・神宮丸太町駅から徒歩5分
全体的に味付けがあっさり目の微風台南の台湾料理。そんな身体に優しい味付けも女性客に受け入れられやすい理由の1つかもしれません。ただ、ボリューム的にはやや少なめな印象があるので、男性客なら2〜3品を同時に注文しないとお腹が満たされないかもしれません。
それでは、お店の詳細です。店舗データはこちら…
微風台南 TEARSⅡ (台湾料理 / 神宮丸太町駅、京都市役所前駅、丸太町駅(京都市営))
昼総合点★★★★☆ 4.5
住所:〒602-0877 京都府京都市上京区桝屋町359
電話番号:075-211-9817(予約不可)
営業時間:ランチ 12:00-15:00、ディナー 18:00-22:00
定休日:月曜日
駐車場:なし
クレジットカード払い:不可(PayPay払いは可)
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