「日本で最初にできたラーメンってどんな味なんだろう?」と思ったことありませんか?日本最古の中華そば屋は明治43年に東京の浅草で創業した来々軒と言われています。このお店は第二次大戦中の一時閉店を挟んで昭和51年まで営業していましたが、後継者不在を理由に閉店してしまいました。
一方で、「現存する」日本最古の中華そば屋は兵庫県尼崎市にある大貫本店というお店。大正12年に神戸で創業し、第二次大戦後の昭和29年に現在の店舗がある尼崎に移転して今に至ります。令和7年で創業113年を迎えるこのお店では、今でも戦前のものと同じ中華そばを食べることができるのでしょうか?そんな期待を込めて、先日尼崎へ用事で行った機会を利用して大貫本店に行ってきたのですが…
創業113年を迎えるお店だけど、雰囲気は全然老舗っぽくない…大貫本店はこんなお店
僕が大貫本店に到着したのは、とある週末の11:30頃。開店時間を30分ほど過ぎたこの時間帯で、店頭には5-6人の先客が短い行列を作って入店待ちをしていました。この時点から僕が店内に招き入れられるまでの待ち時間は約20分。ラーメン屋としては、ちょっとお客さんの回転はゆっくり目かなぁ…って印象でした。
入店待ちをしている約20分の間にお店の周りを観察していて、ちょっと興味深いことがありました。実は大貫本店の左隣には京都・北白川の総本店を中心に全国に200店舗近く展開する天下一品の支店があるのですが、僕が列に並び始めてから入店するまでお客さんが1人も入っていかなかったんです。その間、大貫本店の方には僕の後ろに並ぶ人や、テイクアウト目的で店内に入っていく人がちらほら…僕が食事を終えてお店を出た時にも天下一品の中をのぞいたらお客さんゼロでした。天下一品に全然お客さん入らないって、こんなことあるんですねぇ…
それはさておき、大貫本店は率直に言って全然老舗の雰囲気を感じないお店でした。店構えも電飾看板を除いて新しくキレイになっているし、店内も白を基調に清潔感満点。デジタルサイネージでお店の歴史やこだわりを紹介しているなど、古さを感じるどころか新しいものをどんどん取り入れていく気概がめっちゃ感じられました。客席数はざっと数えたところ、4人がけテーブル席7卓で28席。店員さんの接客も丁寧で、すごく居心地は良いですね…
全部で12段階のカスタマイズが可能…大貫本店で注文した中華そば+やきめしのセット、実際試してみてどうだった?
それでは、今回僕が大貫本店で注文した中華そば+やきめしのセットをご紹介しましょう。大貫本店では、ラーメンを普通(麺量160g)、ミニ(麺量80g)、大盛(麺量240g)の3段階と、焼き飯を4段階(ミニ、小、並、特大)からそれぞれ1つを選ぶセットメニューが用意されています。全部で12段階のカスタマイズが可能なこのセットメニューから、今回僕は普通×並の組み合わせで注文したわけですが、気になるお値段は税込1850円と、他のお店で注文するラーメン×チャーハンのセットと比べるとかなりお高めな印象…
入店前から注文をとってくれたのもあるのですが、席についてものの2〜3分で中華そばとやきめしが目の前に運ばれてきました。単品で注文すると中華そば(普通)が税込960円、やきめし(並)が税込990円と、なんと焼飯の方が高いんですよね。注文前は正直「えっ?」と思ったのですが、出てきたものを見たら他店のチャーハンの倍くらいのボリュームがあって、これならこの値段も納得だなぁ…って感じです。
中華そば(普通)
それでは早速、中華そば(普通)からいってみましょうか…スープはちょっと不思議な味で、言葉での表現が難しいです。ベースはマイルドな豚骨白湯なのですが、そこに醤油ダレの風味に加えて酸味のようなツンとしたところを感じます。今まで体験したことのない味ですね。これが100年継ぎ足しされてきたお店秘伝の熟成醤油ダレの味なのでしょうか?美味い・まずいではなく、理屈はわからないけど何故かクセになります。
一方、これに対する麺は、表面がツルッとした中太のストレート麺。お店のではこの麺を「自家製足踏みたまご麺」と名付けていて、ネーミングを見ただけでも製麺の作業工程がよくわかります。この麺も他店の麺とは違う独特のコシがあって、噛んだ瞬間「おっ!」となります。大正時代の中華そばの麺がこんな感じだったのかはわかりませんが、最近のラーメン屋の麺とは一味違う麺になっていることは間違いないですね。
そしてトッピングに目を移すと、見た目にとろっとろなのがわかるチャーシューが2枚とメンマ、そしてキクラゲが入っていました。特にチャーシューは今のご時世でも他の人気ラーメン店とタメ張れるくらいのとろとろ具合で、「絶対大正時代にこんなのないだろう!」って感じでした。実際食べてみても見た目通り脂がとろっとろで、口の中で溶けてなくなっていきました。「このチャーシューもっと食べたいなぁ…」って思いましたね。今回チャーシューメンで注文しなかったのがホント残念…
こんな感じの大貫本店の中華そば、実際食べてみて「これ絶対昔と同じ味じゃないだろ〜!」と思いましたね。創業時そのままの味を求めていくのであれば残念な結果になること必至ですので、その点はご注意を。ただその一方で、100年継ぎ足しされてきたお店秘伝の熟成醤油ダレの味は、絶対に創業当時には出せなかったはずなんですよね。というわけで、今のお店でしか出せない味があるのも確かで、やはりラーメン好きであれば一度は体験しておくべき一杯じゃないかな…と、個人的には思います。
やきめし
続いて、大貫本店の一番の名物と言われているやきめしにいってみましょうか。上の画像でもわかるように、全体的に黒い色をしていて、一般的なラーメン屋のチャーハンとは少し違った印象があります。
で、実際に食べてみると、このやきめしにも中華そばのスープで感じたツンとした酸味のようなものがあって、おそらく同じ100年以上継ぎ足しの熟成醤油が使われているんだろうな…というのが想像できます。あと、見た目通りライスはパラパラなのですが、そのパラパラ度が一段上を行っているというか、油っこいところが少しもなくて、味は濃いんですが油の部分ではかなりあっさり食べられます。さらに言うと、何となくご飯の1粒1粒が大きく感じるんですよね…硬めの歯応えもあって、ご飯粒の印象がすごく強く残る焼き飯でした。
大貫本店の卓上調味料には一味唐辛子、マスタード、胡椒、昆布&酢、ウスターソースがあるのですが、ウスターソースがやきめしと合うとのことで試してみました。言葉でうまく表現できないのですが、確かに合いますね、これ。こんな感じで、このお店の焼き飯も他店では体験できない唯一無二の味を出しているように思います。名物と言われるのがよくわかる出来ですし、胃袋に余裕があればミニサイズでも中華そばにつけて注文するのをおすすめします。
大貫本店のその他のメニュー例(値段は税込)
- ピリ辛中華そば 960円
- ジャージャー麺 960円
- チャンポン 1180円
- 中華丼 1040円
- 蒸し鶏ハーフ&ハーフ(熟成ダレ&棒棒鶏ソース) 1120円
- 鶏の唐揚げ 1120円
- 黒酢の酢豚 1450円
注:大貫本店では、お持ち帰りにも対応しています。
楽天市場で通販に対応中!大貫本店へのアクセスは、最寄り駅の阪神電車・尼崎駅から徒歩4分
そんな大貫本店は楽天市場でオンラインショップを開いていて、通販にも対応しています。実際に楽天市場をのぞいてみると、今回僕が注文した中華そばや焼き飯以外にもジャジャ麺やチャンポン、蒸し鶏など多種多様のメニューでお取り寄せに対応しているようですね。日本最古の中華そば店の味をぜひ一度ご自宅で試してみませんか?とりあえずお店の通販ページへのリンクを貼っておくので、もしよろしければお使いください。
それでは、お店の詳細です…
大貫本店 5点満点中
住所:〒660-0884 兵庫県尼崎市神田中通3丁目29
電話番号:06-6411-9583
営業時間:11:30-19:00
定休日:水曜日
駐車場:なし
クレジットカード払い:不可(現金払いのみ)
P.S. 兵庫で美味しいラーメンをお探しのあなた、ぜひこちらの記事にも立ち寄っていってください…
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